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    Manjiro_820_

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    【君とな2】1107 蘭武 展示作品

    武道と蘭が同い年(高校1年)設定です。
    (千冬、竜胆も同い年)

    ドキドキ☆ハラハラ林間学校!!高校に進学して、初めての夏が来た。
    一年生のオレ達は来週末に林間学校がある。
    千冬とは同じ班だし、レクリエーションとかもあるみたいだし楽しみだな〜。なんてウキウキとしていると。
    「武道ィ〜」
    「ら、蘭君」
    教室の後ろのドアから蘭君が入ってきた。
    灰谷兄弟と同じ学校と気付いたのは入ってからだった。
    オレは一組で蘭君は五組。一組と五組は校舎が離れているのに何故かよくうちのクラスへ遊びに来る。
    多分、隣のクラスの二組に竜胆君がいるからついでだとは思うんだけど……それにしても頻繁に来るんだよなぁ。
    「来週の林間学校、オマエはオレと一緒の班な?」
    「えっ、でも蘭くん他クラスなのに」
    「ンなこと関係ねーよ。オレが一緒っつったら一緒になんの。お前に拒否権とか無いから」
    いや、オレがどうとかいうより先生たちは何も言わないのか……?蘭君じゃ言えないのかな……。
    「り、竜胆くんは……?」
    「あ?竜胆は同じ班じゃねぇけど。何?オレより竜胆が良かったわけ?」
    すると蘭君は間髪をいれずにガッとオレの頬を片手で掴んでぐにぐにと揉んできた。
    「イタッ……そっそういう意味じゃ……」
    「ふぅ〜ん?どうでもいいけど、当日はちゃんと楽しませろよ?」
    「えぇ……」
    早くも雲行き怪しい……
    来週の林間学校、一体どうなっちまうんだ……!?



    「武道、チョコ食べる?」
    「あ、ありがとうございます」
    「武道、ポテチ好きだろ?やるよ」
    「ありがとうございます……?」
    「武道ー、みかん」
    「ありが……とう……?」
    バスでオレの隣に座っている蘭君はさっきからずっと食べ物を俺に与えてくる。
    え、なんだろう。餌付けされてんのかな。
    オレが与えられた食べ物たちを黙々と食べていると、その様子をじっと蘭君が見てくる。
    「へ、なんすか……?」
    「……いやー?」
    蘭君はそう言うと視線を逸らし窓の縁に肘を置いて、外の景色を眺め始めた。
    うーん、本当掴みどころのない人だな。嫌いな訳ではないけど。



    「各自部屋に荷物を置いたら川沿いに集合すること、いいな?遅れんなよー」
    先生の支持を受け、オレたちは部屋へ向かった。
    寝る場所は班ごとで分けられていて、オレ、千冬、蘭君が同室だ。
    部屋の扉を開けると、手前に二段ベッドが利用端に並んでいて、奥にちゃぶ台とテレビが置いてあった。
    各部屋に洗面台とトイレは付いてるらしい。
    けれど、蘭君はちょっと(?)お気に召さないようで。
    「うげェ……マジでここで寝るわけ……?せっま……」
    「文句言わないで下さいよ、オレらの家に比べたら広い方だよなァ?相棒」
    まぁ、確かに。千冬の言うとおりオレらの一人部屋に比べたらだいぶ大きい方だ。これを狭いと言ってしまう蘭君っていったい……
    「うん」
    「マジかよ。オレんちのリビングより狭いんじゃね?」
    クソ〜〜〜、金持ちめ……羨ましい。
    高層マンションの最上階とかに住んでたりすんだろうな〜。
    「荷物置いたし、集合場所行くぞ」
    千冬が早くしろと言わんばかりの顔で入り口にもたれ掛かっている。
    集合場所に着くとオレらの班が最後だったらしく、すぐに最初のレクリエーションの説明が始まった。
    「えー、お前らにはこれからこの山を登りながらスタンプラリーをしてもらう。各地点に先生方が待機してるからそこでこのカードにスタンプを押してもらうこと。全部押してもったら山を下って俺のところまでくるように。回る順番とかは班で決めろよー。それじゃ、カード配るから班長前出てこい」
    山登りかぁ、キツそう……蘭君は運動得意そうだけどダルいとか言いそうだな。
    「ハァ〜?山登りとかダッル〜〜」
    やっぱり。赤いジャージをだらしなく着こなし、気怠そうな声を出していかにも面倒くさいといった感じの表情だ。
    班長の千冬がカードを持って戻ってきたのでオレたちも出発することにした。
    蘭君は後ろから渋々着いてきた。



    正直レクリエーションなんてクソほど面倒くせーしサボりてぇ。でも、武道がやけに張り切っているので仕方なく着いてきた。とっとと終わらせて自由時間は寝るか。
    「おい、たけみ……ち?」
    横にいるはずの武道の姿はなかった。
    「おい千冬。武道居ねぇぞ」
    「え?うわ、マジだ。どっかでバテてんのか?」
    ……面倒くせぇ。
    「千冬、先行ってろ。オレが武道探してくる」
    「お、おー……」
    登ってきた来た道を下り、武道の姿を探す。
    ある程度下ったところで金髪頭が道のど真ん中で座り込んでいるのが見えた。
    「何してんの」
    「や、ちょっと……ハァ……ハァ……普段運動しないから足がもう限界……ハァ……」
    「はや。まだ軽く坂道登っただけじゃん」
    「うぅ、スミマセン……ち、千冬は?」
    「先に行っとけって言って先行かせた。……しゃあねぇな。きゅーけーだ、休憩」
    こっちこい、と蘭君は散策路の端の木陰になっているところに座り、オレに手招きをした。
    蘭君の隣に座り、清々しい程に晴れた青空を眺める。
    「涼しーな、ここ」
    「そうですね……」
    そよ風が頬を優しく撫でるのが心地よい。
    とても静かだし、なんだか眠くなっちゃうな。



    「あれ?兄貴と武道じゃん」
    「お〜りんどー、ヤッホ」
    手をひらひらと振る蘭君。竜胆が来たってことはもう二組も出発しちゃったんだ。
    「……一組の班はもうだいぶ前に出発してたよな?こんなところでなに油売ってんだよ」
    「ン〜?サボり〜」
    オレの体力が無いばっかりに……申し訳ない。
    「そろそろ行くか?」
    「ハイっ!お陰様でだいぶ回復しました!行きましょう!千冬も待ちくたびれてるだろうし!」
    蘭君はゆっくりと立ち上がり、オレに手を差し伸べてくれた。



    スタンプラリーを無事に終え、自由時間を過ごしたあと昼食の準備にとりかかる。昼食は班で各自作ることになっている。
    オレは野菜を洗うのと切る担当。作るのはカレーらしい。
    「うぅん、イチョウ切りってこうで合ってるのかなぁ」
    野菜の切り方で手こずっている武道をオレはただ座って眺めていた。千冬が手伝えってさっきかはうるさいけど知ったこっちゃねぇ。
    「なぁなぁ、今武道一人だぜお前気になってんだろ?話し掛けにいけよ」
    「えー、まじ?行っちゃおうかな」
    別の班のモブ共がひそひそとそんな会話をしているのが耳に入って来た。
    「貸せ」
    「へっ?え、蘭……くん?」
    武道から包丁を奪い取り、武道が手こずっていた野菜を切っていく。全ての野菜を切り終えると、武道が目を輝かせて拍手をした。
    「へぇ〜!蘭君って料理上手なんだねっ!」
    「まーな?あれ〜?もしかして武道、蘭ちゃんに惚れちゃった?」
    「はいっ!」
    「……そう、かよ」
    冗談のつもりだったのに、マジで返してきやがって。
    ……いや、こいつがそう意味で言ってるわけじゃないってことは分かってる。
    落ち着け、冷静になれオレ。こんなヤツ相手に取り乱すなんていつものオレじゃない。
    オレのペース崩されてたまるか。
    それより、さっきの奴ら武道狙いだよな?
    さっきのモブ共の方へ視線をやると、モブ共と目が合ったので睨んで牽制をしておいた。



    「夜のレクリエーションは肝試しらしいぜ」
    「へー!楽しそう!」
    「めんどくせ……」
    「二人ペアになって、目的地の神社まで歩いてもらう。神社に番号の書かれた石が置いてあるから自分たちのペア番号と同じ石を取って戻ってくるように」
    なるほどね、その石を取りに行くまでの道中で脅かし役が待機してて脅かしくるってわけか。単純な子ども騙しだな。
    千冬には悪りぃけどオレが武道と組せてもらうか。
    「武道、いっしょに……」
    「ペアはくじで決めるぞ」
    「アレだけ班行動してたのにここでくじ引き!?」
    いや、落ち着け。
    このカリスマ蘭ちゃんだぞ、運が味方についているはず……
    「ウソ、だろ……」
    くじの結果、オレと千冬、武道は……あのモブ共の一人……
    武道を狙っていた奴だ。
    「チッ……」
    「相棒じゃないからって舌打ちしないで下さいよ」
    「ハァ、そーじゃねぇよ」
    「?」
    くじには出発する順番の番号が振られていた。
    7番の武道は早々に出発していった。オレは……23番、最後か。



    「結構道暗いね〜、足元気をつけよう」
    千冬と蘭君、大丈夫かなぁ。
    「た、武道ってさ、好きなやつとか……いる?」
    クラスメイトの立花くんが突然、そう聞いてきた。
    「好きな人?ウーン……」
    好きな人、かぁ。なんでそんなこと聞くんだろう。
    怖さを紛らわす為かな。
    うーん、好きな人……好きな人……あ……
    「オレの好きな人は……」
    「う、うわあああああああっオバケ出たああああああっ」
    クラスメイトの立花くんは一目散に逃げていく。
    脅かし役の人が出たのか!?
    オレはとりあえず立花くんを追いかけた。
    「えっ?ちょ、まって……うわぁ!?」
    けれど突然、足元が不安定になり身体のバランスが崩れる。
    さっき雨が降ってたから土が泥濘んでたんだ……!!
    落ちる……っ!



    「おー灰谷、松野。戻ってくんのはえーな」
    「あんな子ども騙しで足止め喰らうかよ」
    道中で武道と合流しようと思って早歩きしたのに全然出くわさなかったし。他の奴らはうじゃうじゃ居たのに。
    アイツ、どこにいんだよ。
    「……武道は」
    「花垣?……そーいや立花は先に戻ってきてたけど、花垣はまだ見かけてないな……」
    「えっ、アイツらオレたちより先に出発したよな?……まさか……って、灰谷!?おい…ッ!!」
    気が付けばオレは無我夢中で走っていた。
    武道、武道武道、たけみち……たけみち……
    「……無事で居てくれ……っ」



    「はぁ〜〜〜あ。……助け、来ないなぁ」
    つーかオレが居なくなったこと、誰も気付いてなかっりして。
    立花くんが先に着いていれば気付いてくれるかもしれないけど、彼は無事にゴールに辿り着いたのかな。オレみたいになってないといいけど。
    「さむ……っ」
    途中で降ってきた雨で身体は冷え込み、カタカタと震えが止まらない。
    下に落ちた時に足を痛めて、雨宿りが出来そうな洞窟までなんとか頑張って移動したけど……
    「オレこのままここで死んじゃうのかな、なんて……はは」
    弱音を吐いたのがきっかけになったのか涙が溢れてきて止まらない。
    「うっ、うぅ……」
    膝を抱えて、蹲りながら泣き続けた。
    すると、遠くからザッザッザッと足音が聞こえてきた。
    しかもその足音は物凄いスピードでこちらに近づいてきているようだった。
    「……ッハァ……ハァ……お前……っ……何やってんだよ……」
    「ら、らんくんっ……!!」
    ぱっと、顔を上げるとそこには少し息が上がっている蘭君。
    オレのこと探しに来てくれたんだ。
    「……戻るぞ」
    「はい……」
    蘭君はオレをおぶって、ゆっくりと歩き始めた。
    「ったく、お前のペアはとっくに戻ってきてたぞ」
    「あ、そうなんだ。良かったぁ……」
    「はぁ……?何が良かっただよ。アイツ、脅かし役のユーレイにビビってペアのオマエを一人置き去りにしたんだぞ?サイテーヤローの安否喜んでんじゃねぇよ」
    「ふふふっ」
    「は?何笑ってるわけ……?」
    「いや、オレの為にスゲー怒ってくれるなぁって……」
    「ハァ!?別にオマエの為に怒ってるとか、そんなんしゃねーし!ただオレがイラつくだけだっつの!自惚れんなよアホ道のくせに!地面に落とすぞ!?」
    「ふふ、はい。嬉しくなっちゃって、つい」
    「……そーかよ」
    武道の足は先公曰く見た目の割には大したことないらしく、湿布を貼られて済まされた。



    肝試しの後はキャンプファイヤーなんだと。
    なんでこう、何かとイベントをしたがるんだろうな、ホント面倒くせぇ。
    「ねぇ。知ってる〜?ウチの学校のジンクスでさ〜この林間学校のキャンプファイヤーで告白してすると永遠に結ばれるらしいよ」
    「うそ、私も告っちゃおうかな!」
    クラスの女達がそんな噂をしているのが耳に入って来た。
    永遠に結ばれる、ねぇ。
    「武道」
    「はい!なんですか?」
    「キャンプファイヤー、踊る?」
    武道は少しの沈黙の後にこう答えた。
    「あ、はい。……え、蘭君一緒に踊ってくれるんですか?」
    「だからそう言ってんじゃん。で、どっち?」
    「もちろん!踊ろうっ!」
    武道は花のように明るく笑った。
    キャンプファイヤーの誘いに成功してさえしまえばもうこっちのもんだ。とっとと本題に入ろう。
    「……武道あのさ」
    「はい?」
    「好きだ」
    「……はい!ありがとうございます!」
    ……うん?なんだこのしっくり来ないというか全く手応えを感じない返事は。ありがとうってイエスとノーどっちで捉えればいいんだ?
    「オレも蘭君好きです!見た目に反して良い人ですし!」
    キラキラとした曇りなき眼でオレを見てくる武道。
    あ〜これは完全にLIKEの方だ。うわ〜、その思わせぶりはないわ〜、まっじでないわ〜。



    学校へ戻る帰りのバスでオレは不機嫌MAXオーラを醸し出していた。もちろん昨日の告白が気づかれずに失敗に終わったからだ。
    「蘭君」
    「……なんだよ」
    「昨日は、ありがとうございました」
    「は?なんのこと」
    武道はオレの手を取って、じっとオレの目を見てこう言う。
    「オレを助けに来てくれたことです。……蘭君、凄くカッコよかったッス」
    「……っ、そーかよ」
    オレは顔を逸らして、窓の景色に視線をやった。
    あーーくそ、腹立つ。
    なんでオレばっかこんなドキドキさせられなきゃなんねぇんだよ。
    よし、決めた。
    武道、オマエをぜってー落とす。
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