伊さんにバースデーソングを歌ってもらう話 PCのスクリーンだけが辺りを照らす事務室で、時刻を確認すると日付の変わる数分前。
私は慌ててメッセージアプリを立ち上げ、とっくに帰宅しているはずの彼女へ誕生日を祝福するメッセージと、直接お祝いできない謝罪を打ち込んだ。
再び時計を確認し、日付が変わった瞬間に送信ボタンを押す。
本当なら直接出向いてケーキとプレゼントを渡し、盛大にお祝いしたかったのだが山積した業務がそれを許してくれなかった。
ため息ひとつついて業務に戻ろうとPCに視線を移したところで、スマホがメッセージの着信を伝えた。
スマホをタップすると『絶対に許さない』というメッセージが表示されて息を飲む。
彼女は術師、私は補助監督。互いに慌ただしい日々だ。
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