はじめてのエスコート「……デート?」
創一朗さんから出た言葉に驚いて、ぱちぱちと目を瞬かせる。だが、そんなあたしの様子に気づいたふうもなく、創一朗さんは話を続けた。
「せやねん。今度お偉いさんとこのお嬢ちゃんエスコートせなならんくてなぁ。ほんで、デートの練習相手探しとるんよ」
そ、そんなの、なんやかんやあって創一朗さんが気に入られて、お見合いして結婚するルートじゃないか。そんなのだめ! いや!
「あ、あたし! あたしがやります!」
そうだ、あれやこれとケチをつけて、創一朗さんにエスコートなんてできないってことにしなきゃ。そうじゃなきゃ、何処の馬の骨とも知れない女に創一朗さんが取られちゃう……!
「へ、ええのん? 俺、道丹ちゃんはそういうんいっちゃん嫌がるかと思ってたんやけど」
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