夜の空を飛んでいる。本日のクルザス西部地方は雲一つ無い快晴であった。見上げた夜空では無数の星が瞬き続けている。――この天気なら問題無さそうだ。
吐き出した白い息を見送って、ウォルは手綱を握り直す。イシュガルドで暮らした半年間である程度乗ったとはいえ、フライング種であるチョコボにはまだ乗り慣れない。彼は後ろを飛ぶやちよを振り返った。もしかすると、初めて乗ったかもしれないが大丈夫だろうか、と様子を伺ったが彼女は平然とチョコボに体重を預けている。……これが運動能力の差なのだろうか。普段から竜騎士として文字通り跳び回っている彼女と後方支援が主な彼とでは身につくものが違うとはいえ、なんとも複雑な気持ちである。
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