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    ▲の頭にナマコブシが生え、▽の肩にユキハミが生えた話

    見慣れないpkmnが現れた!!「………ぅ…………ぅぅ…?」
    ノボリははっ、と気がつくと、自分は自分の机に書類仕事の途中で眠ってしまっていたようだった。
    (……いけませんね。近頃気が抜けているのでしょうか……)

    机の上にいつの間にか落ちていた制帽を手に取り、背筋を伸ばそうとした時、いつもより頭が重たい事に気がついた。

    (………???)

    体調が悪いわけでも無い。それに、徹夜だってまだ3日だ。
    何故…?と思い、頭に触れた時、プニッとした感触があったのだ。

    「はっ!?!?」

    ペタペタと触ると、それはひんやりとしていて、モチモチとしていて……

    「ブニブニィッ」

    という、鳴き声も聞こえた。
    恐る恐る近くにあった自らのスマホを取り出し、あまり使わないカメラの機能を使い、内カメにして見てみると、そこには黒くてつぶらな瞳の見慣れぬポケモンが………



    「……………クダリぃぃぃぃいいい!!!!!」


    ーーーーーーーーーー

    「クダリ!!みっ、見慣れぬポケモンが!!何か悪戯しましたk」

    ノボリは見慣れぬポケモンが頭に引っ付いてるのを見て、パニックになり、それが付いたままクダリを探してギアステ内を猪突猛進、走り回った。

    ………何人かにカメラを向けられながらだったが、そんな事も気にならなかった。

    そしてやっとクダリの後ろ姿を見つけ、問い詰めようとした時。

    「ノボリ……!!どうしよ……引っ付いてて離れない………!!!!」

    その左肩には白い、そして丸みを帯びたトゲトゲのついた、これまた見慣れぬポケモンが……

    「どうしよ……離れてくれないし、重いし、肩外れる……!!僕、食べられちゃうかも…!!

    って、ノ、ノボリ……そ、れなに…!?」

    クダリもノボリの頭の上の黒いポケモンに気がついたようだ。

    「ああああ貴方の悪戯では無いのですか!?」
    「ちちちち違うよ!!こ、この子だって、ノボリのせいじゃ無いの!?」

    二人がギャイギャイ騒いでいると、何事だと人が増え始めていた。

    「何の騒ぎ……って、ボス達、何しとんですか?」

    「「クラウド!!!」」

    二人は同時に叫んだ。

    「どうしよう!離れない!食べられる!!」
    「見慣れないポケモンに、いつのまにかひっつかれていて!!乗り移られてしまうかもしれません!!」
    「え………新種の制帽とちゃうんですか?」(めんどい)

    「「そんなわけない!!(です!!)」」

    結局、近くにいたサブウェイ利用者から、それらは黒いのはナマコブシ、白いのはユキハミだという事を教わったのだ。


    「………なかなか離れませんね…」
    ノボリは頭の上のナマコブシの脇腹(?)をツンツンと指で触れると、くすぐったいのか、「ブニブニィ〜」と鳴き、モゾモゾと動いた。

    「……ナマコブシのせいで、僕に付いてたユキハミ、頭の上に乗り出した。重い。首折れる。」
    クダリは頭の上にずしっと質量を感じている。
    「調べたところ、3.8kgあるそうですよ。
    例え首が折れても、ユキハミだけは落とさないようにしてくださいね?」
    お客様の大切なポケモンかもしれませんし!と、ノボリは念を押した。
    「僕のこと、二の次?」
    むすっと頬を膨らませたクダリ。
    「それにしても、帽子が被れませんね……」
    「ノボリのナマコブシ、全く動かないよね。」
    クダリのユキハミは後から乗ってきた為、帽子の上に乗っていてくれてるが、ナマコブシはずっと頭に張り付いていて、動かないのだ。
    ノボリの頭から伝わってくる体温が心地いいのだろうか。
    「ま、最悪ナマコブシの上から被ればいいよ。」
    「嫌そうにしたら、被れないでしょう?」
    と言いつつ、試しに被せると、とげに引っかかってしまった。
    「……………」
    「…………まぁ、それは置いといて。」
    「置いとくのですか。」
    制帽を回収し、机の上に置いた。
    「この子達のトレーナー、どこだろう。」
    「迷子かもしれませんし、もしくは……」
    「……もし、見つからなかったら、育てよう?」
    クダリはユキハミの口当たりにおやつを差し出すと、「シュワ〜」と鳴いてもそもそと食べ出した。
    ポロポロと食べこぼしが制帽にかかるが、気にしない。
    「………アローラ地方と、ガラル地方というところに生息してますし、流石にトレーナーはいるとは思いますが……」
    「僕、ちょっとこの子達気に入ったかも。

    この口が可愛い。」
    と言って、クダリはノボリの頭の上のナマコブシをぶにぶにとつつく。
    「このだいもんじみたいな口、可愛い。それにぶにぶに気持ちいい。」
    ふと、片手でガシッと体を掴んだ時、

    びゅるっ!!と口から白い手のようなものが飛び出し、クダリの顔面クリーンヒット!!急所に当たった!

    「〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

    鼻にしっかり当たったのか悶えるクダリ。
    危険を察知し、攻撃を喰らう前にしれっと逃げていたユキハミ。

    「だ、大丈夫ですか…?」
    「僕、無理、痛い。やだ。」
    涙目のクダリ。
    白い手で、ノボリの頭上でVサインを出すナマコブシ。
    「ナマコブシ、クダリが突然掴んで申し訳ありませんでした。気を悪くしないでくださいね…?」
    「あのね、被害者僕だよ?」
    「突然掴んだ貴方も悪いでしょう?」
    顔に少し手形のような赤い跡がついてしまったクダリは、少し落ち込んでしまったようだ。

    すると、ユキハミが突然クダリの顔面クリーンヒット!!
    クダリは倒れた!!

    「ぶべっ!?」
    何事か!?と、ユキハミを離そうとした時、そのひんやりとしたお腹がクダリの顔についた手形を優しく冷やされていることに気がついた。
    「おやおや、ユキハミが貴方を慰めてくれているようですね。」
    ハミィ〜と嬉しそうにモソモソと動くユキハミ。
    「〜〜〜〜〜ぷはっ!ありがと、ユキハミ。」
    顔に張り付いていたユキハミを剥がすと、ユキハミはその小さな手をパタパタと動かしていた。

    「…………重いけど、全然悪い子じゃ無いね。

    重いけど。重いけど。」
    「鍛えましょうね。」
    「ノボリこそ。」

    その時、コンコンコン、と部屋にノック音が響いた。



    「二匹とも、トレーナーが見つかって、良かったね。」
    「ええ。ガラルからきた、電車の大好きな方だったとは。」

    二人は二匹を見送り、事務室に帰る途中だった。

    「今度、ガラル行ってみよ?僕、電車気になる。」
    「勿論です。その為にも、早く仕事を終わらせませんと。彼らとの楽しかった時間の分、するべき事もしませんと。」
    「は〜い。」

    ガチャリ、扉を開けて、机を見ると

    「ボス〜!!見慣れないポケモンが!!」

    机の上には、ウニのようなトゲトゲとした……見慣れないポケモンがいた。
    そしてそのポケモンに、大量のバチュルが引っ付いていた。

    「「………え?」」

    新たな迷子が現れた!!
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