彩るものと彩られるもの おれが帰宅すると、ヒロくんが大きな箱ふたつと一緒にリビングの中央を陣取っていた。ソファ用のテーブルはテレビ側にぴたりと寄せられ、ソファの上には沢山の布が積み上がっている。
「おかえり藍良。出迎えなくてごめん」
ヒロくんが立ち上がって律儀に抱きしめてきたので、おれはよしよしと頭を撫でてあげた。おかえりのハグも必須じゃないんだから、忙しい時はいいのに。
何をしているのかだいたい察しはついたけれど、何事かと聞いてみた。
「それはいいけど。その荷物どうしたのォ?」
「僕の故郷から送られてきた荷物だよ。またこんなに沢山」
どうやらふたつとも同じ場所から送られてきたものらしい。ひとつに入りきらなかったんだ。おれは自然と笑っていた。
5730