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    ロクハリに双子ちょっとの予定

    ##ミラあんだー
    #ロクハリ
    rokuhari
    #双子ハリ
    twinHarp

    ケミカルクッキー 冒頭 よく響く声で饒舌に進められる話に、あくびのひとつもせず付き合っている自分のことを褒めてやりたい。
     そんなことを考えながら目の前に積まれたクッキーを無心でかじるハリーの耳に、一際演技じみた台詞が飛び込んでくる。
    「そこで私はこう叫んだ――」
     程よく抑揚のつけられた台詞と共に物語の山場(もう何度目の山場だろう)が語られ、これが何度も聞かされた自慢話じゃなければ、それなりの感動も覚えたかもしれない。そう思うくらいには、その場の情景を想像させる彼の迫真の演技が続く。こんなところでたった一人の小僧相手に披露される演技力を前にしながら、いっそ自身の設立した決闘クラブを演劇クラブにでも転向させればいいのに、とハリーは思う。
     話に夢中ですっかり冷えきった語り部のカップは手つかずのまま。その分、適当に相槌を打つ以外にやることがないハリーのお腹は紅茶とクッキーでぱんぱんに膨らんでいた。ぱさついた生地に水分を取られ、乾いた口に含んだ少し苦みのある紅茶を味わいながら、ハリーは壁に掛けられたロックハートの投げるウィンクを数えて貴重な昼の自由時間を浪費して過ごしていた。
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    mi4ra1_under

    DONEそのうちローブの下に潜っていくのが定着してくる。ハート先生からハリを守る双子
    お願い、僕を匿って! 中庭に面した廊下を歩いている途中、面白いものを発見した。
    揺れる低木から突き出ている人の下半身を前にして、フレッドとジョージは互いの視線を交わす。

    「こりゃ一体、どういうことだと思う?」
    「さあ? 事情はまったく想像できないが」

    言いながらジョージはにやっと笑った。

    「なんだか見覚えのある尻だと思わないか?」

    細い枝が密集した低木の下にしゃがみ込み、今もなお葉と枝の中へ突き進もうとしているその人物へ、フレッドとジョージは声をかけた。

    「やあ。間違いなけりゃ、ハリーだよな?」
    「何処かへ向かう途中かい? そこに道なんてあったっけ?」
    「あ!フレッド?ジョージ?」

    二人の呼びかけに、枝葉の中から返事があった。聞き覚えのあるその声に、ジョージの推測は正しかったということが分かる。枝をみしみし軋ませながら下がってくるその姿にフレッドとジョージはもう一度視線を交わした。笑うのを堪えた顔で見合って、こくりと頷く。ようやく体の上半分まで現したハリーの真面目な表情が見えたとき、二人は笑わないでおいて良かったと心底思った。全身小枝と葉っぱに塗れ、くしゃくしゃした黒い髪にまで枝葉を絡ませたハリーはそれらを取り払うよりも先に伸ばした手で、フレッドのローブの端を掴んだ。
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