「…あんたさ、おいしそうに食べるよね。」
ざわざわといろんな音が聞こえる食堂。そこにある席の一角、僕の真向かいに座る友達…カトラリーはそう呟いた。
「少食な方だと思ってた。胃袋は大きいんだね。」
「そう、かな…」
僕は食べる手を止めた。確かに、そろそろ食べ終わりそうな僕に、まだ半分残っているカトラリーがそう言うのも納得できる。腐りかけてたパンを食べていた僕にとっては今日の朝ごはんのロールパンはとてもおいしい。ついついいっぱい食べてしまう。
でもそのロールパンも最後の一つだ。名残惜しそうに口に運んでいると、何故かカトラリーが眉を顰めた。
「あ、それはダメ。許さない。」
カトラリーは食べかけのロールパンを指さした。何がダメなのかよくわからなくて、僕は首を傾げる。
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