「おはようございます!!!」
今日も校門前から聞こえてくる威勢のいい声に類は自然と頬が緩むのを感じた。
気温が少しずつ上がり始める初夏の季節。司と同じクラスになり、互いに想いあっていることが分かって、付き合いだしたのがついこの間のように感じられる。司と過ごす度に新鮮に好きの気持ちが溢れ出るのだ。自分の頬が緩んでいることは自覚していたが、それを隠さないままに類は司へ声をかけた。
「司くん、おはよう」
「おお!類、おはよう!」
いつもと変わらない司の様子に類はまた微笑みを深める。今日も今日とて声が大きい恋人は校門前で挨拶運動に勤しんでいるようだ。新学期になったばかりの頃は司の声量に驚く一年生もいたが、数ヶ月も経てばみな慣れたらしく、「おはようございまーす」とどこか気の抜けた返事が帰ってくる。
11390