夕方、リビングのソファーに座りいい番組がないかとリモコンでコロコロとテレビ番組を替えていると、仕事から帰ってきたアルジェンティが着替える間もなく隣に座り、何か言いたげな様子でこちらを見つめてきた。
「どうかしたか?」
「あの、今度の十四日何の日か覚えていますか?」
「十四日…?」
そう尋ねられ、近くに掛けられていたカレンダーを確認する。二月の十四日と言ったらバレンタインデーだ、と視線をアルジェンティへ戻すと目を輝かせながらこちらを見つめていた。
「バレンタインだろ?毎年カップルがチョコを贈り合う」
「はい、バレンタインデーでして…その一つお願いが…」
「珍しいなアンタがお願い使うなんて」
「そうですか?」
「使っても二ヶ月に一回とかだからな。まぁ、無理難題なもんじゃなけりゃ聞くけどな」
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