豊満誘惑「なぁ柱ぁぁ」
「何だ?」
鬼殺隊隊士である妓夫太郎は、よく面倒を見てくれる音柱・宇髄の屋敷に只今お邪魔中。縁側で隣同士に座り茶を飲んでいた。
「男ってのは、何で女の乳房に弱ぇんだぁぁ?」
妓夫太郎の予想だにしない質問に宇髄は飲んでいた茶を噴き出しそうになったのをギリギリ堪え、ゴホッゴホッと咳き込んでしまう。
「お前ッ…まさか誰かに何かされたのか!?」
「いんやぁぁ。どいつもこいつも恋柱の胸見まくってるから疑問に思っただけだぞ?」
「あ、あぁぁ。甘露寺か……いやそれならそれで伊黒がキレるな」
妓夫太郎の身に何も起きていない事を知り安心した宇髄だが、蛇柱・伊黒が恋柱・甘露寺の胸を凝視する隊士たちに睨みをきかせている姿を想像し、「伊黒頑張れよ…」と本人には聞こえないエールを遠い目をし送るのだった。
そんな宇髄に妓夫太郎は構わず、己の疑問をぶつけていく。
「なぁ、何であんなに女の乳房に気ぃとられんだぁぁ?」
「あぁぁ、何つうか…男の性っつうか…そういう本能っつうか。どうしても目が向いちまうんだよ」
「何だそりゃぁぁ」
「まぁ深く考えんな。男ってのはそういう生き物って事だ」
「ふぅぅん…んじゃ、アンタもなのかぁ?」
「俺様はそんな色仕掛けに引っ掛からねぇよ」
「恋柱の乳房が目の前にあってもかぁぁ?」
「全然。全くを持って平気だ」
笑みを浮かべながら自信たっぷりにそう告げてきた宇髄に、妓夫太郎は「へぇぇ…」と相槌を打ち、何やら考え込んでは口元にニタリと笑みを浮かべる。
「んじゃぁ…」
「ん?」
「俺がこんな風にアンタの腕に抱き付いても大丈夫だって事だよなぁぁ」
ヒヒヒッと笑いながら、妓夫太郎は宇髄の逞しい腕に抱き付いては、その豊満な胸で宇髄の腕を挟んでくる。むにゅっと柔らかな温かい感触が腕に伝わり、宇髄は表情から笑みを消し去っていく。
「んん〜?どうしたぁぁ?」
無表情でジッと見つめてくる宇髄に、妓夫太郎は不思議そうな表情を浮かべ、上目遣いで宇髄を見つめ返す。
「……お前な」
「ん〜?」
無言だった宇髄がようやく口を開く。この気配は怒られるか?と思った妓夫太郎だが、普段から怒られ慣れている為、特に気にする事なく、そのまま腕に抱き付いたまま宇髄を見つめ続けた。そして、
「揉みしだくぞ、その胸」
「………はぁぁ?」
真顔で言われた言葉に妓夫太郎は思わず目を丸くして気の抜けた声を出してしまう。
先程自信たっぷりに告げてきた言葉とは違うような…
「アンタ、色仕掛けには引っ掛からねぇとか乳房は平気だとか言ってたじゃねぇかぁぁ」
「惚れた女は別だわ」
「うげぇぇ…じゃぁ、こうやってアンタの腕に抱き付いて寝るとかできねぇのかよ」
「お前誘ってんのか」
「?何を??」
「情事」
「何でそうなんだよぉ」
「なるだろ普通ッ。腕に抱き付いて寝たいとか言われたらッ」
「それはただ単にアンタの腕が抱き心地良さそうで熟睡できそうだなぁぁって」
「よし!今から抱く!」
「俺は安産型じゃねぇぞぉぉ」
「関係ねぇよんな事」
そう告げて、宇髄は自身の腕に抱き付いていた妓夫太郎を器用に離して抱き上げ、寝室へと向かっていく。
「ちゃんと避妊はすっから安心しろ」
「……今日安全日だぞ俺ぇ」
「……」
頬を赤く染め、ポツリと呟いた妓夫太郎の言葉を受けて、宇髄がちゃんと避妊をしたのかはご想像にお任せします。