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    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

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    伊那弥彪

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    一応宇妓、一応原作軸、だけど色々ご都合主義。序章な感じで終わってる。オリキャラ出てくる。何でも許せる方向け。
    白猫もこんな感じだったらなぁ!

    ##宇妓
    ##柱鬼

    やって来ました異世界突如現れた光に包まれ、音柱・宇髄天元は目を瞑った。光が晴れた事を瞼越しに確認し、スッと瞼を開ければ、目に映る光景に思わず言葉を飲み込んでしまう。

    「ここは…」

    自分は確か先程まで吉原遊廓で、上弦の陸の兄と対峙していた。だが、目の前に広がる光景は地平線の見える喉かな農道……

    「……またココに来ちまったのか」

    宇髄は見覚えがあった。この光景に…。
    ふと自分の身なりを確かめると……

    「…やっぱり今回も変わってやがる。つか何だ?この地味〜な服は」

    まるでおとぎ話に出てくる翁のような和風の格好。そして、手には日輪刀ではなく、何やら橙色の南瓜風の篭。中には洋風の菓子が入っている。

    「…あ〜。もしかしてもしかしなくても『花咲かじいさん』か?この眉目秀麗な俺様が?」

    頭を抱え、今の状況に深い溜息をつく。

    「たく…前回は西洋の海賊でド派手な俺様にピッタリだったってぇのに……」

    ブツブツと文句を垂れながら、「とりあえずどっか人の居る所に…」と辺りを見渡す……その時だった。

    「ぃ……」

    高めの濁った声が背後から聞こえてきた。その声に宇髄はハッと思い出す。
    あの時、光に包まれていたのは自分だけではなかったと……。
    鋭い目付きへと変貌し、身を構えて、宇髄は後ろを振り向いた。刀は無いが元忍び…その身のこなしはとても軽やかで、相手との間合いも充分に取れた。
    臨戦態勢のつもりだった。来るならいつでも来いと。
    だが、振り向いた先に目にした姿に宇髄は鋭い目付きを丸くした。

    「テメェ…何かしやがったのかぁぁ?ここは一体何処だぁ?」

    そこには先程まで死闘を繰り広げていた宿敵・上弦の陸・妓夫太郎がいた。自分の身に起きた事が宇髄の手によるものなのか、懐疑の目で訴えている。余程今の状況が不愉快なのか、ボリボリと顔を掻き毟り、傷を付けてはその凄まじい回復力で傷を治していく。

    「妹に貸した筈の左眼は戻ってきちまうし…何より他の鬼の声が聴こえてこねぇ……テメェ一体何しやがったんだぁ小僧ぉ…」
    「………」
    「黙ってねぇで何とか言えやぁぁッ」

    自分の問い掛けに目を丸くしたまま何も返さない宇髄に、妓夫太郎は苛立ち、声を荒らげる。
    宇髄は把握している。今のこの状況を。だが、どうしても目の前の姿には、思考が追い付かなかった。
    そしてようやく出た言葉は…

    「…お前、随分と可愛い姿になっちまったな」
    「ぁぁッ!?」

    その淡々とした宇髄の言葉に妓夫太郎は苛立ちが爆発し、ガリッと強く自分の顔を引き裂く。
    そんな妓夫太郎の姿は、紫の猫耳、紫の猫手、紫と橙で彩られた横縞柄の下衣と尻尾、そして、南瓜の飾りの付いた首紐。おぞましい人食い鬼とは思えぬ程の姿…。
    自分は何も間違った事は言っていないと宇髄は胸を張って更に言葉を続ける。

    「可愛いだろ。猫だろそれ。何だ?もしかしてその尻尾動かせたりできんのか?」
    「うるせぇぇぇッ!!この妙ちくりんな格好はこの際どうでも良いんだよなぁぁッ!!テメェが何かしたのかって聞いてんだよッ!!」
    「俺は何もしてねぇよ。俺だって被害者だ」
    「被害者ぁぁッ!?」
    「おう。異世界に呼び込まれちまったっつう被害者だ」
    「………は?」

    宇髄の言葉に思わず苛立ちを忘れ、目を見引く妓夫太郎。口もポカーンと開けて、「随分間抜けな面すんなぁ」と宇髄はマジマジとその顔を見つめた。

    「……異世界、だとぉ?」
    「おう。前にも遭遇しちまってな。そん時は他の柱と一緒だったが、今回はお前と来ちまったみてぇだ」
    「……異世界……」

    宇髄の言葉を受け、ブツブツと呟きながら思考し始める妓夫太郎。そんな妓夫太郎の態度に宇髄は多少驚きを見せる。てっきり「んな馬鹿な話信じれるか。脳みそ爆発したのか?」と馬鹿にしてくると思っていたが、目の前の鬼は自分の言葉を真剣に受け取り思考している。おそらくだが、先程口にした他の鬼の声が聴こえない等の自分の状況と照らし合わせているのだろう。薄々感じていたが、この男はとても頭のキレる鬼なのだと痛感した。
    考えが纏まったのか、妓夫太郎は呟きを止め、視線を宇髄へと向けてくる。

    「……んでぇ?この異世界とやらからは、どうしたら脱出できんだぁ?」
    「へぇ。俺の言葉を信じんのか」
    「…上位の鬼の血鬼術なら兎も角、鬼狩り程度に俺ら兄妹を完全に遮断するなんてできるわけがねぇからなぁぁ」
    「あぁ。二人で一つだっけか?…今頃「お兄ちゃーん」って泣き叫んでんじゃね?」
    「気色悪ぃモノマネすんじゃねぇ!俺の妹はもっと愛らしい声だわ!!」

    宇髄の渾身の高音に再び苛立ちを見せる妓夫太郎は、今にも襲い掛かる勢いである。そんな妓夫太郎を宇髄は手を前に出しては制止するよう促す。

    「待て待て。おそらくだが、俺とお前、どっちか欠けちまったら元の世界に戻れなくなるぞ」
    「ぁッ!?」
    「さっきも言ったろ。前にも遭遇しちまったって。そん時に、この世界に来た奴の中で誰か一人でも欠けちまったら元の世界には戻れなくなるって言われたんだよ」
    「言われたって誰に……」

    その時だった。二人の頭の中にその声が聴こえてきたのは……

    『その通りです。アナタ方二人、どちらも欠ける事なく、試練を全うしなければ元の世界へ戻る事はできません』

    男なのか女なのか分からない…だが、妓夫太郎はその声が鬼や人間の声では無いことはハッキリと分かった。

    「誰だぁッ?」
    『申し遅れました。私、この"ハロウィンワールド"の神でございます』
    「…よぉし。ブチ殺す」
    『落ち着いてください。お話を聞いてください。お願い致します』
    「生憎、神とか仏とか嫌いな性分でなぁぁ」
    「まぁ待て。ブチのめしてぇ気持ちは充分分かるが、相手は声だけだ。今の俺達にはどうする事もできねぇよ。まぁブチのめしてぇ気持ちは充分分かるがなッ」

    大事な事なので二回言いました。
    殺気立つ二人に神を名乗る声は震える声で言葉を続ける。

    『先程もお伝えしましたが、お二人には協力して、このハロウィンワールドの試練に立ち向かって頂きたいのです』
    「ぁ?協力ぅ…?」
    「やっぱそう来たか…」
    『お二人どちらも欠ける事なく、試練を全うして頂けたら無事に元の世界へお帰しする事を約束致しましょう。どうか試練を乗り越え、このハロウィンワールドを救ってください』 

    物腰の低い声での頼みだったが、妓夫太郎は顔を顰めては舌打ちをする。

    「…随分と勝手だなぁ。勝手に連れて来て、妙ちくりんな格好させて、その上、鬼狩りと協力だぁぁ?俺はこんな世界がどうなろうと知ったこっちゃねぇんだよなぁぁ」
    「へぇ奇遇だな。俺も全く同意見だ。前回は仲間と一緒だったから苦じゃなかったがな」
    『でもどちらかが欠けては元の世界には戻れませんよ…?』

    物腰の低い頼み方だが、やっている事は脅迫だ。元の世界に戻りたいのなら、敵対する間柄でも協力し、試練とやらを乗り越えこの世界を救えという…。断る事を一切許さない達の悪さに、宇髄と妓夫太郎は同時に舌打ちをする。

    「元の世界に戻る為だ。しょうがねぇ…」
    「それはこっちの台詞なんだよなぁぁッ」
    『納得していただけたようで何よりです』

    宇髄へと向けたい殺意を妓夫太郎は神と名乗る声に向け、「テメェはもう黙れや」とドスの効いた声を発する。一瞬『ヒェッ』と怯える声が聴こえ、その後声が聴こえてくる事はなかった。

    「んでぇ?これからどうすりゃ良いんだぁ?テメェは一回やり遂げてんだろぉ小僧ぉ」
    「小僧っつうな!俺はもう二十三だわ!!」
    「そうかそうかぁ。二十三かぁ。俺からしたら充分小僧だなぁぁ…ヒヒッ」

    歯を見せ、ニタリと笑う妓夫太郎に、宇髄は顔を顰める。
    見た目は同年代…いや、年下に見える、しかも今は愛らしい猫の格好をした男から「小僧」呼ばわりされ、宇髄は何とも言えぬ複雑な気持ちを感じた。

    「いいか!俺の名は宇髄天元!小僧じゃねぇ!」
    「あ〜分かったからさっさとこれからどうすりゃ良いか答えろよなぁ」
    (コイツッ…!)

    余裕綽々で人を小馬鹿にした態度の妓夫太郎に、宇髄は額に青筋を立てる。だが妓夫太郎のペースに飲み込まれまいとフゥと一息をつき、気持ちを落ち着かせてはニッコリと微笑みを浮かべた。その宇髄の微笑みにギョッと思わず動揺し、身構える妓夫太郎。次の瞬間…

    「教えて欲しけりゃそれ相応の態度取ってくれよな?可愛い猫ちゃん?」

    怒りはあった。だが、できるだけ声に表れないよう優しい声色で囁き、そして、先程からフリフリと動くその色鮮やかな尻尾を宇髄は握り締めた。自慢の握力で握り潰そうとも思ったが、この先共に行動する為、拗れては駄目だと気持ちを抑え、程よい力加減でにぎにぎと握り締める。
    動く尻尾だ。おそらく握る感触は伝わる筈。鬼の妓夫太郎には痛みよりも、何とも言えないむず痒い感触がちょっとした仕返しになるだろうと宇髄は考えていた。だが、

    「んなぁあんッ!」
    「……は?」

    身体を大きくビクつかせた妓夫太郎の口から出てきたのは、甘く淫靡な声……その声に宇髄は固まり、妓夫太郎は咄嗟に自分の口を手で抑えた。

    「な、何しやがんだテメェェッ!」
    「……」
    「いきなり尻尾握るなよなぁぁッ!なぁぁッ!」

    キッと睨みながら凄む妓夫太郎。その表情は対峙していた時と同じ筈なのだが、顔は真っ赤に染まり、瞳も小さく震えて、あの鬼気迫る気迫は微塵も感じれなかった。
    そんな妓夫太郎に、宇髄の心臓はドクンッと高鳴る。高鳴っては、身体中を熱が走り抜けていく。

    (イヤイヤイヤ。落ち着け俺!相手は鬼だぞ!?上弦の陸だぞ!?)

    そう。相手は宿敵だ。そんな気を起こすような相手ではない事を確認する為に、宇髄は妓夫太郎の姿を上から下まで見つめる。
    やせ細った身体なのに程よくふっくら付いた胸筋、鍛えられた腹筋の溝、下衣との境目にチラリと覗く痣……
    何かがムラッときてしまった宇髄……

    (ムラッてなんだよ!ムラッてよぉぉッ!!)

    こうして別の意味で拗れた二人の仲…
    そんな二人はこれから共にこの異界の地で試練を乗り越えていかねばならない……。

    抑えきれるか!?宇髄の欲望!!



    つ、づく……?
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