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    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

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    伊那弥彪

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    隊士if宇妓(♀)、宇弟→妓、妓女体化、妓隊士化、何でも許せる方向け

    ##宇妓
    ##女体化

    魅力的な君謝花妓夫太郎は任務を終え、弟・梅に自分の無事を伝えると、急ぎ足である場所に向かった。そこは、世話になっている音柱・宇髄の屋敷。弟と同様に何かと心配してくる宇髄へは任務が終わる度に顔を出すという事が恒例となっていた。その道の途中、妓夫太郎はあるものを発見する。

    「…ん?何だありゃぁぁ」

    それは妓夫太郎にしては珍しい気まぐれだった。いつもなら道端に何が落ちていようと見て見ぬふりをするのだが、今日だけは何となく見ておこうと思ったのだ。妓夫太郎は歩み寄っては覗き込む。その道端に落ちていた大きなものを……。


    宇髄は屋敷で今夜からの任務の準備をしながら妓夫太郎の帰りを待っていた。無事に任務を果たしたという報せは既に受けている。だが、その無事な姿を見るまでは安心できない…

    (あ〜…やっぱアイツを早く嫁にしねぇとなぁ)

    アイツとは勿論妓夫太郎の事である。宇髄と妓夫太郎は既に男女の仲…蜜月関係であった。そんな仲の妓夫太郎が一人で鬼と対峙するなど本当は許したくない宇髄。早く鬼殺隊を引退して嫁になってくれねぇかな…と溜息をつきながら思いに耽る。

    「お〜い、柱ぁぁ」

    思いに耽っていると、たった今頭の中を埋め尽くしていた愛しい声が耳に届き、宇髄は顔をバッと上げた。そこには愛しい女性……‥が、何やら肩に担ぎ上げている姿……。

    「……は?」
    「これ道で拾ったんだけどよぉぉ。どうすりゃいい?」

    宇髄は困惑した。まるで猫や犬を拾ってきたように告げてくる妓夫太郎に。だが、妓夫太郎が肩に担いでいるのは、黒装束に身を包んだどこからどう見ても人間…

    「何でッ人間拾ってくんだよ!行き倒れなら蝶屋敷にでもぶっ込んで来い!」

    俯いては頭を抱え、声を張り上げる宇髄…。こういう少し(?)他の人間と違う感性をもったところも妓夫太郎の良いところで好きだと思えるのだが、流石に人間を拾ってくるとは思いもしなかった。

    「え?でもよぉ…コイツ、こんな顔してるぞ?」
    「は?顔?」

    妓夫太郎の言葉に顔を上げ、妓夫太郎が「ほら」と目の前まで連れてきた顔に、宇髄は目を見開き驚愕した。
    気絶しているのか目を閉じたその顔は、自分と瓜ふたつの顔…そして、自分とは対象的な黒い短髪に地味な額当て…
    宇髄は知っている。この男を……

    「即刻、落ちてた場所に捨てて来いッ」
    「え?蝶屋敷じゃなくてかぁ?」
    「良いから捨てて…いや、コイツにお前をこれ以上触れさすわけにもいかねぇから俺が捨ててくる。どこで拾ったコレ」

    そう言いながら宇髄が妓夫太郎が担いでいた男を自分へと引き寄せようとした時、二人に鋭い殺気が向けられた。

    「妓夫太郎!こっち来い!」

    咄嗟の判断だった。宇髄は男の体を蹴り飛ばし、妓夫太郎を自分へと引き寄せては後方へと下がらせ、その大切な身を自分の背に隠す。そして、手入れを行っていた日輪刀を構え、キッとその対象を睨み付けては、ドスの効いた低い声で語り掛ける。

    「起きがけに随分な挨拶だなぁテメェ」
    「……最悪な目覚めだ。貴様の顔が目の前にあるとはな」
    「ハッ!腹への一発でガッツリ目ぇ覚ましてやったんだ!お優しいお兄様だろ?」
    「ふざけた事を…」

    宇髄によって蹴り飛ばされた男は表情一つ変えず、その場にすくっと立ち上がり、腰に差していたクナイを構えては宇髄へ殺気を放つ。その様子を宇髄の後方から見ていた妓夫太郎は、その男の顔に目を見開いた。顔は本当に宇髄と瓜ふたつで瞳の色まで同じ…そして先程の宇髄の言葉…

    「……あれ、アンタの弟かぁぁ?」
    「あぁそうだ。何度か話した事あるだろ」

    宇髄天元の弟…忍びとして生き、感情を捨てた人間…そう聞いていた。妓夫太郎は更に宇髄の弟を凝視する…
    宇髄と同じ色の瞳だというのに、まるで雪が降ってるかのように冷たいその瞳…

    「人形みてぇな奴だなぁ」
    「その通りだ。奴は人形。俺の親父が作り出した忍びの人形だ…」
    「…でも人間だよなぁ?」
    「まぁな。だが、鬼の方が数倍対処しやすい。だからお前は前に出てくんじゃねぇぞ」
    「いや、そういう事じゃなくてなぁぁ…」
    「ん?」
    「アイツ、何で行き倒れてんだぁ?アンタの話だと、結構な手練だろぉ?」
    「………確かに」

    妓夫太郎の言葉に宇髄も疑問が湧いてきた。弟は数々のおぞましい苦行を乗り越えてきた男…そんな男が果たして道端に行き倒れるのか?見たところ負傷もしていない…まさか、何か裏があって…そう考えていると、

    ぐ〜きゅるる〜……

    何やら音が聞こえてきた…その音によってしばし沈黙が流れる…
    沈黙の後、聴覚の優れた宇髄は違っているとは確信していたが、一応念の為に自分の背からひょこっと顔を出している妓夫太郎へと視線を向ける。

    「俺じゃねぇぞぉぉ」
    「うん。だよな。んで俺でもねぇ」

    この場にいるのは三人。宇髄と妓夫太郎と…
    宇髄は弟へと視線を向けた…そこには、先程まで殺気を向けていた視線を逸し、腹を擦っている弟の姿……

    「…お前、マジか」

    弟が行き倒れていた理由:空腹。
    そのあまりにも阿呆らしい理由に宇髄は呆気にとられてしまう。

    「しょうがないだろ…嫁たちとの連絡が途絶え、金の持ち合わせが無く、食えるものと言ったら兵糧丸のみだったのだから。だが与えられた任務は遂行しなければならない。家に帰って飯を食う事も、動物を狩って食う事もできなかったのだ」

    空腹の理由を淡々と語っていく弟に宇髄は変わらず呆気に取られたまま…そんな中、妓夫太郎がボソッと呟くように語り掛ける。

    「なぁ、それ…嫁たちに金持ち逃げされてねぇかぁぁ?」

    妓夫太郎の悪気の無い一言に宇髄はブフォッと吹き出し、弟はピクリッと反応をする。

    「アレらがそんな事する筈ないだろ。そこの愚兄の嫁たちとは違って、己の立場をよく理解しているからな」
    「相変わらず道具扱いか。だから金を持ち逃げされんだよ」
    「持ち逃げされていない。鼠が不調で連絡が途絶えているだけだ」
    「どうだか」
    「何だその目は。そんな憐れむような目で俺を見るな。第一貴様は…」

    グゴォォ…キュルルル〜……

    弟の言葉を腹の虫が遮る…それに再び吹き出してしまう宇髄…そんな宇髄に冷静に対応していた弟は青筋を浮かばせてふるふると小刻みに震え出してしまう。

    「すげぇ音鳴ったなぁぁ…よっぽど腹空かしてんだなぁぁ」

    宇髄と弟のやり取り等お構いなしに、妓夫太郎は宇髄の背から出て来ては弟の元へ一瞬で移動する。その妓夫太郎の動きに弟は目を見開き驚愕し、宇髄は慌てふためきながら「バカタレ!」と叫び、妓夫太郎の元へ駆け寄ってくる。

    「ほらこれ。俺が昼飯に食おうと思ってたいなり寿司だ。オメェにやるよ」

    ニヒッと歯を見せながら笑い、妓夫太郎は腰に下げていた袋からいなり寿司を取り出して弟へと差し出す。
    その差し出されたいなり寿司を弟はジッと見つめて、

    「施しは受けない…それが忍びだ」
    「良いから食えよぉぉ。空腹は辛ぇだろぉぉ?俺も昔辛かったからなぁぁ。気持ち分かんだぁぁ」
    「妓夫太郎ー!!」

    弟に向けてヒヒッと笑っている妓夫太郎を宇髄は後ろから抱き寄せては再び自分の背中へと隠す。

    「んだよ柱ぁぁ。何でそんな血相変えてんだぁぁ?」
    「当たり前だろうが!お前は絶対にコイツに近付くな!良いな!」
    「んん〜?まぁ分かった…でもいなり寿司は渡してくれぇぇ」
    「だぁもう!分かった分かった!」

    妓夫太郎から渋々いなり寿司を受け取った宇髄は、見下ろしながら弟にそのいなり寿司を突き出し、いつもよりも低めの声で告げていく。

    「ほら。受け取れ。コイツからの有り難い善意だ。受け取らねぇならぶっ飛ばす」

    本当は妓夫太郎からの贈り物を弟には渡したくなかった。だが妓夫太郎の気持ちが痛い程伝わり、嫌々ながらに渡していく。
    幼い頃食べる物さえ与えてもらえず、飢えを凌ぐために鼠や蛇、虫等を食べていた妓夫太郎…そんな妓夫太郎だからこそ、空腹で行き倒れたこの弟に善意を向けたのだろうと。
    その気持ちを蔑ろにするのなら許さないと宇髄は弟へ無言の圧をかけていく。

    「…良いだろう。受け取ってやる。ただし、貴様からではなく、その女からという事でな」
    「そう言ってんだろうが」

    弟は無表情のまま、差し出されたいなり寿司を受け取り、宇髄へと背を向けた。

    「…忍びの癖に敵に背を向けんのか?」
    「今は敵ではないと認識しておく…だが、今度会った時は覚悟しておけ」
    「上等だ」

    殺伐とした雰囲気に包まれる血を分けた兄弟…そんな兄弟を妓夫太郎はフゥ…と深い息をついて見つめていた。
    弟が立ち去った後、宇髄は妓夫太郎へと苛立った視線を向けて、声を荒げてしまう。

    「お前な!俺が何でお前を俺の背に隠したのか分かってんのか!?アイツの思考は常人とは違うんだ!例えお前が鬼殺隊士だったとしてもなぁ…!」
    「なぁ柱ぁぁ」
    「何だ!」
    「腹減ったから飯奢ってくれぇぇ」

    どこまでも我が道を行く妓夫太郎に宇髄は全身の力が抜け、頭を抱えて俯いてしまう…そこも可愛いとこであると思ってはいるのだが。

    「お前自身腹減ってんならアイツにやるなよ…」
    「んん〜?でも俺には飯を奢ってくれるお優しい柱様がいるからなぁぁ」

    ヒヒヒッと特徴ある笑い方をしてはピョンッと宇髄の背に飛び乗っていく妓夫太郎。その細い腕を宇髄の頸に回してしがみつき、宇髄におんぶを強要していく。

    「お前、まさかこの状態でどっか食いに行く気か?」
    「腹減って動けねぇもん」
    「…たくっ、しょうがねぇな」

    宇髄はハァと溜息をついて、妓夫太郎の足を抱え、そのまま歩き出していく。溜息をつくその顔には微笑みが浮かんでいて、妓夫太郎への愛おしさが溢れていた。
    自分にだけ甘えてくる妓夫太郎が可愛くて愛しくて、ついつい甘やかしてしまう。直そうと思っても、こればかりはもうどうにもならないと諦めている節もあり、そんな自分にも笑ってしまう。

    「んで?何食いてぇんだ?」
    「ん〜……何でも」
    「オイ」
    「アンタと一緒に食うもんなら何でもうめぇからなぁぁ」
    「可愛い事言ってくれんなぁ本当。さっさと嫁になれ」
    「弟の進学費用貯まったらなぁぁ」
    「んなもん俺が出すわ」
    「そこまでしてもらっちゃぁ、アンタの嫁さんたちに申し訳ねぇよぉ」

    そうとめどなく話し続けながら、二人は街へと向かっていった。笑みの絶えない表情のままで。




    宇髄の屋敷を後にした宇髄の弟は、木の上で妓夫太郎から貰ったいなり寿司を口にしていた。久しぶりに腹に溜まる食物。それは今まで忍びとして生きてきた彼にとって初めての味だった。

    (…面白い女だったな)

    特別美人というわけではない。顔にも痣があり、笑い方も品があるわけではなかった。だが何故か心が揺さぶられる。

    (それにあの身のこなし…おそらく、奴と同じ鬼狩りとかいう集団の一人なのだろう)

    女なのにそこら辺の男よりも強い。そして、周りにいる忍びよりも確実に強いであろう彼女…

    (あの女との間の子ならば、我が血族は強くなれる筈…)

    いなり寿司を食い終わり、親指で口を拭っては、ずっと無だったその表情に笑みを浮かべていく。

    「…あの女、必ず俺の嫁として貰い受ける。覚悟しておけ。天元」



    次回
    妓「え〜…おれのために〜きょうだいであらそうのはや〜め〜て〜」(棒読み)
    善「やる気出して!お願いだから!!」

    書くかは不明。
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