海塩のソルティココア(一部抜粋) マスターの厚意に甘えて、今晩はカフェに泊らせてもらうことにした。マスターお手製のクリームシチューを夕食にいただき、少し食休みを挟んでゆっくりと湯船に浸かり疲れを癒す。至れり尽くせりだ。
「ただいま~、お風呂いただいたね」
「おかえりなさい、おひいさん……あ」
ジュンが時折使うというバスローブを借り、タオルで髪を拭きながらリビングに戻った日和を見て、ソファで寛ぐジュンはなにやら嬉しそうにはにかんだ。うん? と日和が首を傾げると、ジュンが自らの頭を指さしながら口を開く。
「おひいさん、人魚みてぇ」
「あぁ、ひょっとして髪が濡れているから? そんなこと言われたのは初めてだね」
確かに上半身の見た目は頭のヒレ以外にはそう変わらないので、バスローブの合わせの隙間から素肌が覗く今は余計にそう見えるのだろうが、なかなか新鮮な感想だ。ここでは他に人魚を見かけることも無いので懐かしさもあるのだろう。前かがみになって顔を近づけてやると、ジュンは嬉々として髪に触れてくる。
3938