事故って恋って *1
取引先から会社に帰る途中、信号を渡ろうとしたら目の前で赤になっちまった。
「チッ、ツイてねぇ。」
上司の阿呆官じゃあるまいし。まぁ?運動も兼ねて歩道橋で渡るか。オレ様は信号のすぐ隣の階段を登り出した。そう言えば、今週末までの案件の確認をしておこう。ポケットから手帳を取り出してパラパラとめくる。
「えぇとぉ、あった。ここだ。」
歩きながら軽く書き込む。下階段に差し掛かった所でポケットに手帳をしまう、が、引っかかって上手く入らない。
「んぁ…?」
立ち止まって入れ直そうとすると、ドン、と背中に何かが当たった。
「ヒギャア!?」
「What 」
ぐら、と景色が回って、階段から落ちたと気付いた時にはもう地面は目の前。
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