新刊の裏表紙のはなし新刊「眠れぬ夜に」の裏表紙、大友くんの近くに英文が少し書いてありますが、これはスティーヴィー・ワンダーの「Another Star」の出だしでした。
(表紙の朝利くんはイギリスのマザーグースで、夜のかわいい英国少年、のイメージです。この時点の彼はストーリー開始前なのでまだ想いが曖昧)
意味はいろんな人が訳していますが、
「お前には他にもっと明るい星があるんだろう、
けど俺にはお前の光しか見えない」
て感じです。
両片思いを二人が自覚して終わる話なので、その後、朝利にはいろんな女の子が群がるんだろうけど、自分にはあいつしか見えなくなっちまった……的な余韻としてデザインに入れました。
ここまでが新刊の話。
で、さらに、スティーヴィー・ワンダーにしたのは、個人的なクソデカキャラ解釈がありまして…
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大友くんの名セリフ「Let it roll」ですが、これは歌のタイトルになっていて(というか歌のタイトルが有名だと思う)、名高いアーティストのものがふたつあります。
ひとつはガンズ・アンド・ローゼズのギター・ベース・ドラムが新メンバーを加えて結成したロックバンド、ヴェルベット・リヴァルバーの曲。
(和訳と動画↓)
[歌詞和訳] Velvet Revolver | Let It Roll | 洋楽が好き
https://yougakudetail.com/p=749
タイトルのほかにサビでもLet it rollと歌っています。
これはこれで王道Rockでハチャメチャにかっこいいので聴いてほしい。
ただ、こっちの歌詞は片想いでめちゃくちゃになる想いを描いていて、Let it rollの「roll」の意味合いとしては「ことが順調に進む」という自動詞の用法で、上記サイトでは「どうにかなるだろ」と訳されていますし「まーうまくいくだろ」程度の意味だと思います。
同じLet it〜だと「Let it go(ありのままで、と訳されたけど、直訳はなるようになるわ)」に近い、と思う。
それはそれで楽観的な大友くんらしくはあるけど、自分たちが能動的に試合をつくっていくVANS戦にはちょっと合わない。
そこでもうひとつの曲。
黒人R&Bアーティスト、フロー・ライダー。
歌詞にはなく、タイトルだけがLet it rollです。
Let It Roll/Flo Rida 歌詞和訳と意味 - 探してたあの曲!
https://aanii.net/let-it-roll/
こっちは明るいパーティーソングで、歌の半分はラップなんで、はっきりしたメッセージというより、ともかく楽しくやろうぜ! という歌詞です。
で、多分こっちの「Let it roll」は他動詞の、回して前に進めるとか、そういう感じなんじゃないかと。「パーティを続けようぜ」的な。
……という知識があってからの。
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VANS戦での大友くんは、「やってやろうぜ!」と翻訳されており、どちらかといえばフロー・ライダー寄りの意味で使っているのでは?
という俺の独自解釈があります。
桐木パイセンをはじめ、試合をうまく運んでメンバーが楽しくやれる、それこそがVANS戦だと思っているので。
そしてこの、フロー・ライダーから派生して、R&B、こと担い手が黒人の、アメリカのブラック・ミュージックの明るさと担い手の天才的な才覚、しかしその裏で背負っているもののシリアスさが、大友くんのざっくりしたイメソンに(俺の中だけで)なっていまして……
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というわけで新刊、スティーヴィー・ワンダー。
彼のジャンルはR&Bだけではないですが、まあ黒人音楽シーンといえば彼です。あとレイ・チャールズも探したけどちょっとおじいちゃんすぎた。
まあ天才なんですスティーヴィー・ワンダーは。何を歌わせてもうまい。
高校生の彼らには少々昔の歌ですけども、ま〜サブスク時代でいつの何でも名曲を聴ける時代なので許してください。
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なお結婚本にも若干書きましたが、大友くんがアメリカの音楽、朝利くんがルーツのUKの音楽を好み、洋楽好きのくせにケンカになってしまう……という幻覚も長らく持っております……。
そんな感じでした!