呪専(灰七→)五七「今日から七海が任務復帰らしいよ。大丈夫かな」
ガタンと音を立てて自動販売機から出てきた缶コーヒーを取り出しつつ、夏油が振り返る。八月も終わりに近づいているというのに、自然豊かな高専の周囲は相変わらず蝉が五月蝿い。未だ教室に入るには少し早い時間なので、昇降口を入ってすぐの、ベンチのある自販機の周りに三年生の三人は集まっていた。
「ダイジョブなわけねーだろ、同級生が死んでんだ。しかも目の前で」
紫煙と共に吐き出された身も蓋もない家入の言葉に夏油が苦笑した。その隣に立つ五条は無表情に紙パックのいちご牛乳のストローを咥えている。
「……弱っちいから死ぬんだよ、それだけだ」
ぽつりと溢れた声に家入が僅かに目を眇めた。
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