秋桜…君はどこでこれを/ケイ早希 クリスマスローズの白、桜の淡いピンク色、菜の花の黄色、朝顔の青または紫…ひまわりのオレンジ色
「秋と言えば…」
ピンクやワインレッドに近い深いピンクの秋桜が記憶の景色の中で揺れている。電車に乗り郊外に出れば一面秋桜が広がる景色に出会える。秋と言っても夏の終わりが近づく初秋。秋桜は秋が深かまれば目にすることはできない。誕生日に薔薇の花束を贈るのも勿論考えた、考えたけれど28本の薔薇って考えるとなんだか気が引けた。
「薔薇の花束…うーん」
かれこれ花屋の前まで来てお店に入ることなく辺りをウロウロして30分は経っただろうか。完全にこれでは不審者だ。薔薇の花束が頭に過るのに私がそうしない理由は。
『君のための花だ。こうして君に寄り添う事で花の美しさも君と…俺の記憶に永遠に刻まれる。やはり君に花は良く似合う』
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