Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    k1rar1k

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐯 🐺 💖 💪
    POIPOI 10

    k1rar1k

    ☆quiet follow

    白菜さんのつぶやきに乗っかって書かせていただきました!
    におわせ伏のあざと伏もたまには良い。

    私の推し、伏黒恵くんは超人気モデルだ。ちっさい顔に切れ長の瞳とそれを縁取る長い睫毛、細くて長いと思ってた手足は適度に筋肉があって、先日の雑誌に載ってた上半身裸の後ろ姿は美しくてカッコよすぎて雑誌に鼻血を零したのは内緒だ。そう、もちろん次の日の朝コンビニに駆け込んで同じ雑誌を二冊買ったのは言うまでもない。
    最近はちょっとだけドラマにも出るようになって、今季の月9ドラマにも主人公の親友ポジションで出たけど、演技練習してたんだな…って思うくらいナチュラルで凄く上手だったし、なんと映画も決まって先日ようやくトレーラーがお目見えになった!それはそれはもうカッコよくて死にそうになったくらい!映画は親戚だって言ってた禪院真希ちゃんとのもので、真希ちゃんといえば男女問わず『姐さん』と言われて親しまれてるくらいの、これまた超絶かっこいい美人さんで!!
    禪院フェイス。と呼ばれる位の美形が二人並んだポスターは、駅中のでっかい掲示板に貼られるのだろうなと思うと今からわくわくしてたまらない!
    自分のSNSを見れば同じようにワクワクしてる女の子たちが多くて、わかるわ~の気持ちでひたすらにハートを連打していった。

    「っと…出た出た。リアコ勢」

    恵くん絡みでフォローしていった子たちの中には、恵くんを好きすぎるがあまりに所謂『リアコ勢』になった子たちも数名いる。本当に純粋に恵くんが好きな子もいれば、メンヘラじゃん…と思うような子まで多種多様。それも恵くんの魅力だから仕方ないのかな、と思う反面、時折恵くんが心配になってしまう。

    「えーっと…なになに?『しろくろちゃんを砂浜でお散歩させてる写真、もうひとつ影ある気がする。絶対女じゃん…ゆるせない。だれだよ。しねよ』…いやコッワ」

    流石に死ねよは言い過ぎだろ…と思いながら恵くんのSNSを見て当日の写真を見た。これは確認。そう、私もちょっと気になっただけ!別に恵くんに彼女がいようがどうだっていいタイプの人間だから、私は!
    そう強く思いながら、スクロールして件の写真を見たら確かに人のような…?影があるような…ないような…

    「いや、考えすぎじゃない?地元の人かもだし、白黒ちゃんたち大きいからスタッフさんとか、お友達の人かもしれないし」

    写真を拡大してみても、確証になるようなものは何もない。
    白黒ちゃんのリードを持つ恵くんの右腕に付けられたリストバンドと、相当嬉しいのか尻尾がブレた黒ちゃんと、恵くんを振り返って見てる笑ったような顔をした白ちゃん。
    興味ない、みたいな顔して動物大好きなんだよな、恵くん。もう本当に推し。

    「…うーん、考えるのやめよ」

    私は一人そう呟きながら缶チューハイに口を付け、ホームボタンをタッチした。
    そして盛大にその中身を噴き出した。

    「めっ…めぐ、めぐみぎゅんっ??!!」

    そう、ほんの30秒前に恵くんがSNSを更新していたのだ。
    写真付きで。





    伏黒恵@megumi_f.official

    こんばんは。
    最近の添い寝担当
    ふわふわです
    おやすみなさい






    「じょっ…じょうほうが…情報が完結しない…ッ!!」

    ピンク色のテディベアを抱えた恵くんが、そのくまちゃんにキスしてる自撮り画像が載せられたその投稿
    いや顔めっちゃ綺麗だな…テディベア抱えた恵くんも可愛くて可愛いに可愛いを掛けたらどうなるんだ…?と頭の中ではめちゃくちゃに混乱しているのに、どこか冷静に何かを見ている自分がいた。
    そう、このテディベア、最近どこかで見たのだ。どこだっけ。

    メキメキッと音を立てながら缶チューハイの缶を無意識に握りつぶしていると、手に持っているスマホが着信を告げた。ディスプレイには親友の名前が出ていて、私は4コール目くらいで応答ボタンをタップして耳に押し当てた。

    「もしもし?どうしたの?」
    『ねぇ、伏黒恵推しだったよね?』

    親友はもしもし、も何も言わずに突然私の推しの名前を出した

    「そうだけど…」
    『伏黒くん、うちの推しのグッズ持ってる』
    「えっ?なに?どれ?」
    『テディベア』
    「・・・・・えっ?!」

    すぐにスピーカーに切り替えて改めて恵くんの投稿を確認する。
    そうだ、このピンクのテディベアは親友の家で見たんだった。でもこれ確かファンクラブ限定のちょっとお高いやつだったような…
    ちょっとマテ、親友の推しは若手俳優の虎杖悠仁だった筈だ。なんで、どこでどう接点あったんだよ?!

    『このテディベア、ブランドコラボのやつでお高かったし足にナンバリングもされてるんだけどさ…伏黒くんが持ってるやつ、拡大してみてくんね?』
    「どっち?…あ、右足か。ちょい待って、えーっと………1?」
    『そう、1なんだよ…普通1って本人か制作会社とかしか持てないんだよね…』
    「え……マジ…?」
    『マジ』

    親友共々、ッスゥーーーーーーーー…と大きく息を吐いたのは同時だった

    『ねぇ、あんたは気付いてなかったかもしれないけどさ、伏黒君結構匂わせてたよ』
    「えっ恵くんが?!嘘でしょ!!」
    『リストバンドはうちの推しのグッズだし、いつぞや着てた服は推しが着てたのと同じやつだった。その証拠に同じところにシミがある。あと帽子とか、コーヒー飲んでる食器とかイロチのオソロだよ』
    「マジカヨ…」

    私は検証するべく恵くんと親友の推しのSNSの写真を見比べることにした。そして気付く。ガチで匂わせしてたのだと…

    「マジ…マジだ…この服アンタの推しのじゃん…えっこのリスバンも白黒ちゃんお散歩してる時に写ってた…え、てか待って?この日ってあんたの推しも海行ってんの?えっ?」
    『…黒だね』
    「ええーーーーー………」

    急に突き付けられた現実に私は打ちひしがれた。けれども恵くんが好きな気持ちは変わらないし、こんな匂わせする程の仲の良さならむしろ大歓迎ではないか?だってあんなに人付き合いが苦手と言っていた恵くんなのだから

    「ねぇ、一つ聞いていい?」
    『なに?』
    「…担下りる?」
    『まさか。むしろうちの推し選んで仲良くしてる伏黒くん好感度爆上がりだし、私は悠仁一択です!!』
    「だよね。私も恵くん一択!!幸せならそれで、」
    『オッケーです』
    「だよねー!!」

    電話越しにお互い親指を立ててグッド!としているのだろうと思うとおかしくておかしくて、笑いすぎて涙が出た。

    『んじゃ、私からも聞くけどさ』
    「なに?」
    『どっちよ』
    「虎伏でしょ」
    『アンタと友達で良かった』
    「オラァ!酒飲むぞ!!家来い今から!!!!この際だから全部検証してやろうぜ!!!」
    『途中酒買うから20分で行くわ!!』


    そうしてカッチリ20分後、本当に親友は大量の酒を抱えてうちに来たのだった。


    以下、親友と検証した結果、恵くんからの匂わせ証拠である

    ・虎杖悠仁公式グッズ テディベア所持 (最新)
    ・虎杖悠仁公式グッズ リストバンド着用 (FC通販限定商品)
    ・虎杖悠仁公式グッズ リュック・帽子着用 (同上)
    ・トレーナー (同じ所にスレ及びほつれ有)
    ・ニット (同上。サイズ同じなのに着られ方違いすぎて気付かんて)
    ・玄関先でのスニーカー着用 (見切れで色違いおソロ)
    ・鏡前の歯ブラシ (オレンジと緑。お互いの公式イメージカラーじゃん)
    ・「おやすみ」投稿写真 (よく見たら後ろにもう一人いる)
    ・コーヒーとマグカップの写真 (後日虎杖が色違いをアップしてる)



    いや、本当に色々ある。まだまだある
    けれどもうこれが限界だ。ゆるしてくれ、同士よ!!!あとは託した!!


    そして後日さらなる爆弾投下をされる事を、私たちはまだ知らないのだった…




    ・・・・・・・・・・




    草木も眠る丑三つ時。私は鳴り続けるスマホの着信によって目が覚めた。いや、起こされた。着信音が鳴りやんだと思ったら今度はスタンプ爆撃を受けて、かつて自分でも聞いたこともないような低い声を出しながらスマホを手に取ると、寝起きすぎて認証されないフェイスIDにパスワードを入力して既読を付ければ、数秒の間をおいて再び電話着信の画面が光る。相手は親友。2:30を示す左上の時計を見て何かあったのかと飛び起き、慌ててスマホを耳に押し当てた。

    「もしもし?どうしたの?!」
    『ねぇほんとねぇマジでうちの推しとアンタの推しが』
    「はぁ?」
    『今すぐうちの推しのSNS見て??!!お願いだから!!!!』
    「えっちょっと待って」

    親友からの連絡が推しのSNSかよ…と思う気持ちと、私の推しの恵くんが何かあったのかと思って急いで最近フォローした虎杖悠仁のSNSを見た。
    そして叫んだ。

    「はぁあああああ??!!」
    『ねぇっ!もうっ!わたしどうしたらいいか分かんなくて!!こんな時間だけど電話しちゃったの!!』
    「いや、ちょ、待って…なにこれ…」

    虎杖君の投稿時刻は約20分前。投稿内容は下記に記そう。




    虎杖悠仁�木曜10時!ドラマ見てね☆@yu_ji.itadori.dayo

    添い寝しに来ました
    めちゃめちゃくまちゃん大事に抱えててかわいーよね!
    あれ、でもひょっとして添い寝しに来た意味ない?( ノД`)シクシク…
    でも一緒に寝ることにするよ
    みんなおやすみー!




    「…えっこれ腕枕で寝てるの恵くんだよね?」
    『そうなの』
    「真希ちゃんじゃないよね?」
    『いやいやいや、真希ちゃんはやる方だろ』
    「……恵くんかぁ…」
    『胃もたれしてんのよ…わかる?マウントどころの話じゃねぇんだわ…』

    助けてくれない?と親友が大きなため息を吐きつつ話すのを耳に入れながらも、私は虎杖君の投稿に釘付けになっている。
    だって、ええと、そう。恵くんは例のピンクの虎杖くまちゃんを抱っこして、左側を下にして寝てるんだけど、その頭の下には逞しい腕があって。紛れもなく親友の推し・虎杖悠仁の腕で、その腕枕でスヤスヤ寝てる恵くんと、上半身裸で腕枕しながらちょっとキメ顔しながら自撮りをする虎杖君。
    きっとこれ投稿し終わったら恵くん抱えて寝てんだろうな…と容易に想像が出来てしまう。

    「急な公式からの…」
    『推しが上裸なのは大体いつもだし理解は出来るんだけどさ』
    「わかる。わかるよ言いたいこと!!」
    『でしょ?!同性とか彼氏でも上裸の男にくっつきたいかって言われても私はちょっとって思うんだけどさ、でも伏黒くんはそうじゃないってことでしょ?!』

    親友は電話越しにボスッ!ボスッ!と枕か何かを叩くような鈍い音を響かせながら整理できない情報をどうにか整理しようと早口でまくし立てる。それを聞きながらわたしは投稿された画像をなぜかスワイプして大きくしてしまった。いや、美しい推しの寝顔は貴重だから…仕方ない。許してくれよ。

    「やってますねぇ…何がとは言わんけど…」
    『時間が時間だからね…何がとは言わんけど……後でしょうね』
    「後でしょうなあ……うわ、荒れてる」
    『炎上っていうか……個人的には相手が伏黒くんで良かったって思うんだけどさ』
    「あー…リアコ勢?」
    『そうそう』

    リプライ欄は、は?から始まり、いいぞもっとやれ。と楽しむ人や、どういう関係?!と気になる人。信じられない、と冷める人。仲良しですね!と達観してる人。それぞれである。そしてやはり気になってしまう、所謂リアコ勢の人の呟きが。

    「信じてたのに。…いや、何を信じてたの?」
    『シラネ。自分との恋?』
    「うーん、それが理解できないんだよなぁ…」
    『推しに可愛いと思ってもらいたいっていうのはさ、可愛いと思ってもらえてるから勝ち、とかでもないし、なんなら実際選んだ相手美人だし、うちの推しから見れば』
    「それなー。わたしの推しが選んだのマッチョのイケメンだから見る目あるわ」
    『あざっす』
    「てかさぁ、変な女よりずっと良くね?って思うのわたしだけ?絵になるじゃん」
    『それなー。変な女が匂わせしてたらうちの推しマジ見る目ない!!って担下りてたかもしれないけど、伏黒くんなら全然いいわ。アッ案外独占欲あるんですね?!可愛いですね?!ってなったもん』
    「あざーす!!」

    ひたすらにホームを更新していくと、投稿に気付いた人たちの叫びが並んでいく。
    同じように、アイドルとかよりずっと良い!接点どこなんだろ?と、わたしたちみたいに検証始める人など様々な反応。ちょっと過激なコメントに対しては、もう何も合わないと思って運営に報告してブロックした。推しにも酷い言葉を使ったり、犯行予告のようなものを送るのは、もうファンでも何でもないから。
    それにしても、くまちゃんに顔を半分埋めて気持ちよさそうに眠る伏黒くんの寝顔はとても可愛いし綺麗だしカッコいいしで、思わず口元がにんまりと笑ってしまう。虎杖君の近くが安心する場所なんだな、って写真1枚を通して分かってしまうんだから。
    良い人に出会えてよかったね。なんて私は思ってしまった。

    『虎杖悠仁のマウントえぐい。ってコメント多いかな、こっちは』
    「あっマウントなんですね」
    『あ、知らないか。最近だとレジィおいたんにガルガルしてたよ』
    「ちょっと無意味に可愛い言葉使わないでくんない?」
    『ほら、レジィおいたん伏黒くん結構お気に入りじゃん?だから荒れてたんだよ、本人が』
    「へぇー…知らんかった」
    『そこそこ見た目良くて、それなりに金も持ってるからねー、レジィおいたん』
    「なるほどねー。もう手垢ついてるからやめろってしたかったのか」
    『多分だけどね』

    親友の言うレジィおいたん、ことレジィ・スターは演出関係で名の知れた人物だった気がする。それこそ、舞台とかコレクションのショーとかの。それに恵くんも出たことがあるから接点があるのは分かるけど、そこにガルガルしちゃうのか、虎杖君。怖いもの知らずだな。

    『とりあえずこれをどうしても発散したくて伝えたかったんだわ…ごめん起こして』
    「いや、いいよ。今日も会社だけど半分寝ながら頑張るわ」
    『わたしもだよ。お互い頑張ろうな…』
    「虎伏にカンパイ…おやすみ友よ」
    『私も虎伏考えながら寝るわ。おやすみ~』

    電話を切ってからわたしは虎杖君の投稿をスクショして画像も保存させて頂いた。もしかしたら起きたら投稿消えてるかもしれないからね!それからアラームの数を多めにセットして、寝れないかもしれないと思った眠気はあっという間にやってきて、わたしは再度眠りについた。

    そして翌日、SNSを見ればそれはそれはお祭り騒ぎだったのは言うまでもない。
    ただ件の投稿は消されてなくて、夢ではなかった事を証明してくれていた。
    あと案外わたしの寝起きが良かったのは自分でも驚いた。顔は浮腫んでたけど。


    それから数日経ってまたSNSを見たら虎杖君が更新してくれていたんだけど、その内容と言えば恵くんが家に来たから料理頑張っちゃった!と言ってテーブルを囲っている写真なんだけど、恵くんの姿は見えないけれども美味しそうな料理の向こう側で、黒のセーター(虎杖君の)を着てる恵くんが例のくまちゃんを抱えてる写真付き。
    そのくまちゃんもテーブルに前のめりになって料理を見てるっていう、めっちゃくちゃ可愛い写真すぎてこれもまた保存させて頂いた。個人で楽しむ分にはOKだからね!だって前のめりになってる、ということは、これは恵くんがくまちゃんをそういう風にさせているっていうこと!どんな顔でそんな事してんの~?!と思えば思う程、本当に恵くんを推しててよかったって思う!!
    その投稿にはあの顔面国宝って呼ばれてる五条悟もコメントしてて、僕も行きたい!っていう内容に対して、虎杖君が返信するのではなくまさかの恵くんが「五条さんが来たら狭くなるので…」って返してた。いやなんで。同棲?同棲してんの??半同棲でもいいよ??
    結果、五条宅に二人が行く形になったようで、くまちゃんに『トラ』と名付けた恵くんがあまり更新しないSNSをとんでもなく可愛い形で更新したものだから、恵くんファンの子たちの阿鼻叫喚がタイムラインを埋め尽くされた。



    伏黒恵@megumi_f.official
    こんにちは!トラだよ!
    ごじょうさんのおうちにきました!
    おくつがおおいです
    トラもおくつほしいな
    (でっかい革靴に足突っ込んでるトラの写真)


    伏黒恵@megumi_f.official
    やぬしがいました!
    きょうは、なべぱーてぃーといってます
    トラのぶんはありますか?
    (ちょっと遠目に写る五条とトラの写真)


    伏黒恵@megumi_f.official
    めぐみとゆうじもいっしょです!
    めぐみがトラのバッグをつくってくれました
    トラはきょうもバッグにはいってきたよ!
    (オレンジ色のトートバッグに入るトラの写真)
    (超ローアングルから撮られた後ろ姿の恵くんと虎杖君の写真。しかも虎杖君は恵くんの腰に手回してる)



    伏黒恵@megumi_f.official
    やぬしがおやつを、つまみぐいしてます
    トラはみてるぞ・・・
    (物陰から五条を見るトラの後ろ姿の写真)



    伏黒恵@megumi_f.official
    このひきだしは、なんでしょう?
    みてみよう…
    (引き出しをあけるトラの写真)



    虎杖悠仁�木曜10時!ドラマ見てね☆@yu_ji.itadori.dayo
    伏黒、一生懸命撮ってる…
    可愛いが渋滞してる
    ぬいぐるみはトラって名前なんだって!
    俺に似てるね☆
    (引き出しをあけるトラの写真を撮るのに一生懸命な恵くんの後ろ姿と、シーッてしてる虎杖君の自撮り写真)


    Satoru.Gojou@goodlooking.gj
    恵と悠仁が来たよ~!!
    これはクマを撮る恵を撮る悠仁を撮る僕
    (引き出しをあけるトラの写真を撮るのに一生懸命な恵くんの後ろ姿と、シーッてしてる虎杖君が自撮りしてるのを自撮りしてる五条の写真)



    夏油傑@susususuguru
    なにこの光景
    (引き出しをあけるトラの写真を撮るのに一生懸命な恵くんの後ろ姿と、シーッてしてる虎杖君が自撮りしてるのを自撮りしてる五条に中指立ててる写真)


    伏黒恵@megumi_f.official
    げとうさんもきました!
    せっかくなので、だっこしてもらいました
    トラ、いっぱいとうさつされてました
    ごじょうさんに、モデルりょうもらわなくちゃ…
    (顔の前にトラを翳してる夏油傑とトラの写真。せっかくの顔が見れない…!!)



    伏黒恵@megumi_f.official
    ゆうじが、おやさいをきっています
    げとうさんは、おさけのみながら、おだしとってます
    トラにもおさけのむ?ってきいてきます
    トラはみせいねんなので、のんだらいけません
    めぐみにおこられちゃいます!
    (対面キッチンの反対側から覗き込むトラと虎杖君と夏油傑の写真。え、ちょっと待って夏油傑のそばにある酒一升瓶なんだけど)



    伏黒恵@megumi_f.official
    おいしそうなおなべができあがりました!
    めぐみたちは、これからごはんです
    トラは、おやすみなさいします
    (大きい鍋を囲う4人の写真。恵くんがトラを赤ちゃん抱きしてる…!ママ…!!)




    「いやバカかよ可愛いかよ????!!!!」

    思わず口が悪くなってしまったけど許して欲しい。だって恵くん達が五条悟の家に行ったのは分かったけど、何この可愛い投稿。なんでトラ目線で話してんの?!
    最後の投稿は今から約2時間前で、わたしは遅くなってしまった自分の夕飯の準備をしながら、スマホ片手にキッチンでフライパンを振っていた。今日のご飯は手っ取り早くピラフにした。でも鍋いいな、今度親友呼んでやろう…そう思っていた矢先だった。フォローしてる子の一人が『いますぐ顔面国宝のSNS見て。配信してる』と、URL付きで呟いているのを見て、私は秒でピラフを皿に持ってテーブルに付いた。さながら超人気料理店の料理長のような動きだった。

    「えっ、五条悟の配信ってこと…?え、3人いるよね?」

    スプーンでピラフを掬って口に入れながら五条悟のSNSを見れば、現在配信中のマークが光っている。これか、と思ってタップすれば数秒のラグの後映し出された映像を見てわたしはまた噴き出したのだった。
    酒缶に埋もれてる夏油傑、時折アップになってコメントを読む五条悟…いやマジでこの人も顔良いな。それと、…いや、あの、それと…

    「恵くん酔っぱらってる?」

    トラを抱えながらフラフラへらへらと笑う恵くん。トラの手をもって虎杖君にねぇねぇってして、虎杖君がトラを撫でたら不服そうな顔をして猫みたいに虎杖君の肩におでこぐりぐりしてる恵くん。そしてそれを肩抱き寄せて自分も恵くんの頭にすりすりしてる虎杖君……

    「おいおいおいあざといな??!!」

    鉄製のスプーンが変な方向に曲がるくらい、わたしは力いっぱい握りしめてたらしい。
    もう誰がどうあざといとか、考えるのが急にめんどくさくなってしまった。だって推しが酔っ払って推しの推しに甘えてる姿なんて絶対見る事なんてないと思ってたし、何より公式からの虎伏……感謝するッ!!!!としか言いようがない!!!!
    あと夏油傑の胃袋はどうなってんだ、ザル通り越してワク通り越してなに?ブラックホールなの?

    スマホの中の4人はわちゃわちゃと話しながらコメントを読み上げては笑って、今のこの空間を楽しんでいる。あー、いいなぁこの感じ。コメントは滝のように流れてるけど、凄いのは五条悟が自分の知り合いのコメントは目敏く見つける所だ。

    「恵、真希から起きろって言われてるよ~?」
    「まきさん?」
    「あ、憂太も見てるの?そう、恵酔っちゃったの。ウケるよね~、傑が度数強いの飲ませるからさぁ!」
    「おっこつせんぱい!!」
    「うわびっくりした。恵そんな大きい声出せたの?トラ起きちゃうよ。静かにしな」
    「あっトラ…よしよし、ごめんな」

    わたしは何を見ているのだろう。恵くんが本当にトラを赤ちゃんのように抱っこして、綺麗な指先でぽんぽんしてあやしてる…えっこの世に女神いた?いたわ。恵くんっていう女神が。女神めっちゃ呂律怪しいんだけど。可愛すぎてどうにかなりそう。何見せられてんの、わたし。助けて誰か。

    「恵君相当酔ってるねー」
    「傑が悪いんだろー?」
    「はいはい。まぁでも皆は面白いでしょ?」
    「えーっと…憂太なになに?伏黒君色々大丈夫って?まぁ正常だけど酔って色々鈍ってるね。とりあえず明日は地面に埋まってると思うよ」

    それはわたしもそう思う。忘れてくれって言いそうだもん。
    恵くんは赤ちゃん抱きをしたまま虎杖君にトラを見せてる。新婚さんですか?お子さんお生まれになられたんですね!
    そういえばコメントしてる憂太って、乙骨憂太だったよね。前に恵くんが尊敬してるって言ってたモデルさんだった気がする。確かに魅せる表情が違いすぎててカッコいいんだよね、乙骨くん…

    「ん、みんなどういう関係?あー、そうか。気になるよね」
    「いいんじゃないかい?別に話しても」
    「まぁ変な仲間でもないし」
    「そうだね、んじゃいっか、僕らの関係?はね、まずみんな僕と恵は、恵が小さい頃からの知り合いっていうのは知ってるよね?…うん、そうそう。みんなレスはえーな。僕と傑は腐れ縁。悠仁は傑の後輩。以上」
    「雑ッ」
    「だってそれ以上でもそれ以下でもない」
    「まぁ確かに~」

    恵くんは相変わらずぽやぽやして、トラを撫でたりゆらゆらさせたりしてる。虎杖君もそれを見ながら会話に参加しているんだけど、器用だな、虎杖君。

    「んじゃ、そろそろ終わろうか。恵が〆の雑炊楽しみにしてたからさ、食べさせないと」
    「恵君、雑炊食べれるかい?」
    「ぞう…」

    夏油傑の問いかけに、首を傾げながら答える恵くん。あざとい、だがしかし許される。
    そして虎杖君がにっこり笑いながらこう言ったのだ

    「俺があーんしよっか?」

    そしてそれに恵くんはにこっと笑ってみせたものだから、コメント欄ももう物凄い勢いで流れた。コメント全部が『可愛い』で埋め尽くされている。私もしっかり打って送った。

    「それじゃ、終わりまーす!みんなありがとねー」
    「おやすみ、猿共」
    「バイバーイ!」

    恵くんは虎杖君にぴったりくっつきながら、トラの手を使って手を振っていた。そうしてゲリラ的に始まった五条悟の生配信は終わった。温かかったピラフはもうすっかり冷めきっていたけれど、わたしの心は十分に熱かったので親友にそのまま電話をかけた。
    ていうか夏油傑、本当に猿共って言うんだね…初めて聞いたよ…
    親友は3コール目くらいで出てくれた。

    「おつかれ。見た?」
    『見た。新婚さんがいらっしゃったような気がするんですけど』
    「虎杖さん家のご夫婦お子さんがお生まれになったようですね」
    『ご祝儀送らせて下さらないかしら』
    「結婚祝いと出産祝い両方で結構な額包ませていただきたいわ」
    『いい夢見れそうだわ…』

    わたしはまたスマホをスピーカーにして、自分のSNSを見た。
    リアコ勢は『あんな恵くん見たくなかった』とか言ってるけど、受け入れられないのならサヨナラしなさい。と直接言いたいのをぐっと我慢して、そっとブロックはさせて頂いた。恵くんには幸せでいて貰いたいから、わたしはあの笑顔が見れて嬉しかったんだけどな…なんて思うのに、そうじゃない子もいるのか。悲しいものだな。と冷めきったピラフを口にしつつ、親友と話していると1件のリツイートが回ってきた。五条悟のだ。

    「………恵くん、ほんとにあーんされてる」
    『まぁ…するでしょうね』
    「撮るでしょうね…」

    わたしが五条悟だったら絶対に写真撮る。そしてネタにはしないけど、保存は3枚くらいさせてもらうだろうな。
    それから親友と明日昼から虎伏の話しにどっか籠ろうか…などという話をして予定を決めたところで電話を切った。時間はいつの間にか12時少し前。いつの間にかピラフは完食していて、私の手には歪んだスプーンが握られている。きっとスプーン曲げのエスパーもこんな感じでみなぎる熱でスプーンを曲げていたのだろう。わたしは今日からそう思うことにする。
    シャワーを浴びて、明日のためにちょっといいパックでもしようかな、と思い導入液を塗ってパックを開けながらSNSを開くと、今度は夏油傑が投稿していたようだ。
    『みんなでお泊りになったよ』という言葉と共に載せられていたのは、トラを抱えて眠る恵くんと向かい合わせになり、腕枕をしつつも恵くんを抱きしめるように片方の腕はしっかり身体に回っている虎杖君。そして二人の頭上でピースして寝転がってる五条悟と髪の毛ほどいた夏油傑……いやこれ待ち受け決定だわ。

    「…虎杖君、ちょっとドヤッてんな」

    スマホの隣に置いた鏡を見ながらパックを付けて、横目でSNSを見るという器用な事をしている。手についたパックの液は腕や首にぺたぺたと塗り込みながらじいっと投稿を見た。

    そして指先が勝手に投稿していた




    「虎伏結婚報告まだなの?」

    すぐについた数件のハートマークに少しの安堵を憶えつつ、私は明日の親友との予定と恵くんの投稿を楽しみに待つのだった。



    みんなもこれからも、良き推しライフを!!




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖❤❤❤❤😭🌋
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works