燐灰石がとけこんで「武道はいつも可愛いな」
彼はいつもそう言って姿が変わらずそこに居た。武道が9歳の頃から彼はずっと、武道の隣で成長を見守って来た。不思議な人だと武道は今でも思っている。変化をせずにいる人、本当に彼は何なのか武道はこれからも解けない謎を想い続ける。
それは武道が小学生の時での出会いだった。
学校から帰り、住宅街から外れ気づいたら廃墟のような所にいた武道はその中を散策することにしたした。
「ここどこ?」
中を歩き回り疲れた武道は廃墟の地べたに座り、持ってきた水筒を開け飲んでいると隣から突然声がしたのだ。
「美味いか?」
「え!?誰!!」
体が跳ね空中から尻が浮く武道を見た彼は、笑い声を上げ楽しそうに一頻り笑うと、悪げもなく自己紹介を始めた。
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