猫じゃなくて虎!「おやおや〜」
探偵社に、和みの声が上がる。
「其れは、異能力の暴走かい?」
「...そう云う事にしておいてください。」
敦は、頭に耳と、尻に尻尾を生やしてそう云った。
「随分可愛い事になったもんだねぇ」
「与謝野さーん...」
敦は与謝野に助けを求めるが、与謝野はふっと笑ってそっぽを向いてしまった。
「そんな体だが、仕事は可能だろう。働くぞ」
「あ、はい!」
国木田がそう云うのと同時に、敦も仕事に取り掛かる。
「ああ、敦...君、?」
「面倒な奴が来た...」
国木田は太宰の姿を見るなり、溜息をついた。
「おはようございます、太宰さん」
「猫耳...?尻尾...?嗚呼、朝の幻覚...?」
「違います、之は正真正銘異能です。あっ!太宰さんなら之、解除出来ますよね?」
「出来るけど...可愛いから其の儘で」
「えぇー?!?」
太宰はそう云う成り、敦の尻尾や耳を触り出す。
「ちょ、太宰さんっ、擽ったいです...」
「んー?こんなに可愛いのに、此の儘放置なんて...私には出来ないよ」
「太宰さん、はなし、はなしてっ...っ、」
敦は顔を真っ赤に染めて否定する。
「敦君、一寸借りるねぇ」
「好きにしろ」
太宰はさりげなくそう云うと、敦を抱っこして探偵社を出た。
「太宰、さんっ...」
「もう一寸だけ」
太宰は敦の反応お構い無しに耳を触っている。
「んっ、」
太宰が尻尾を触れた瞬間、敦の腰が跳ねた。
「此処、好きなの?」
「ち、ちが...んっ、」
敦の言葉とは逆に、尻尾はゆらゆら揺れている。
「矢っ張り好きなんだ」
太宰は少し口角を上げると、尻尾の根元から先端まですーっと撫でる。
「んぁっ、だ、太宰さんっ...」
「あー、ほんとに可愛い...敦君、私の傍から離れちゃダメだよ」
「わ、解ってます...」
「帰ってから続きしよっか」
「...........はぃ、」
おわり