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    もみじ

    @momizi_0619

    メイン小説書いてます!
    腐ってます。
    Twitterは次書こうとしてる小説の内容書いていたりするから、時々覗いてくれると嬉しいなぁ。

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    もみじ

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    芥敦メインの太敦です。太敦は殆ど要素ないです。
    病みネタ、自傷表現があります。苦手な方はご視聴をお控えください。

    pixivに上げようと思ったけど、没ったからこっちに。なんだかんだこっちは初投稿〜!

    ##太敦
    ##芥敦

    生きていればいいじゃない。キャプション必読!


    『嗚呼、またやってしまった。』
    敦は血の滴る左腕を見ながらそう呟いた。此行為も、最早何度目かも解らない。只ふとした瞬間、此世の中から消えたくなる瞬間が有る。でも、消える訳にも行かない。簡単に逝ける様なものでは無い。

    「はぁ...」
    重く、苦しい溜息を吐いて敦は布団に入った。血は、固まってしまうと取れにくい。其れを理解した上でも尚敦は眠りについた。

    「ん、」
    敦は起きて早々、左腕を見て後悔した。自傷行為をしてしまったことと、後処理をしなかったこと。
    敦は台所へ行ってゴシゴシ洗う。別に痛くなんてない。手首から肘にかけてビッシリと紅い線が入っている。傷と傷の間から覗く傷跡。敦は其れを数秒眺めてから仕事の支度を始めた。
    体が重くて、仕事すらやる気になれない。敦は本日何度目か解らない溜息を付いて、支度を始めた。

    「おっはよー敦君!おや?其の左腕は如何したんだい?もしや、私の真似かい?!」
    「おはようございます、太宰さん。ふふ、そうですね。そう云う事にしておきます」
    ──何時もの、笑顔で。

    「敦ー。駄菓子無くなっちゃったから買ってきてー」
    「はい、解りました!」
    ──愛想を振り撒いて、

    「敦くーん。私の分の資料、まとめといてぇ」
    「はいはい、帰って来てからやりますよ」
    ──感情豊かに...

    「敦、無理してないか?」
    突然、国木田に話し掛けられる。
    「え?何のことですか?」
    ドキッとした。バレていないか、不安で。
    「否、違ったらいいんだ...すまない、勘違いかもしれん」
    「ははっ、きっとそうですよ。国木田さん、ゆっくり休んでくださいね」
    ──こうやって、笑えば...

    「敦、君?」
    太宰が近寄ってくる。
    「何ですか?資料なら帰ってからやりますって。」
    「いや、えっとだね...」
    珍しく言葉を詰まらせる太宰に、敦は首を傾げる。
    「敦ー、早くー」
    「すみません、太宰さん。お話なら後程...お先に駄菓子、買ってきます」
    「あー、うん。そうかい。気を付けて」
    「はい!」
    敦は駆け出した。
    「いやぁ、中々面倒な事になってるんじゃないの?」
    「そうですよね...そろそろ止めないと...」
    「太宰らしくない。ズバッと行けばいいんだよ、ズバッと」
    「本当ですか?」
    「名探偵の云う事が聞けないのかい?」
    「従います」


    「えーっと、駄菓子駄菓子...」
    敦は歩きながら、探偵社から1番近い駄菓子屋に寄った。
    「よ、敦。こんな所で如何した?」
    突然後ろから話しかけられた。振り返ってみると、オレンジ色の髪に帽子を被った、中也だった。
    「中也さん!今はお遣いです。」
    「そうかそうか。ん?敦、其の腕の包帯如何した?」
    「あっ、之ですか?之は、先日の任務で痛めちゃって...」
    「そうか...」
    中也は少しの間黙っていた。敦がオロオロしていると、中也は一言放った。
    「お大事に、な。」
    「は、はい...」
    一言だったのに、何処か重くて、苦しくて。敦はゆっくり頷くと、お礼を伝えて中也と別れた。
    (危ない...危うくバレるところだった、)
    敦はホッと一息付き、今度こそ買い物を実行した。
    「確か之、乱歩さん善く食べていたような...」
    自分の記憶を確かに、乱歩が気に入っているお菓子を思い出す。
    籠にぽいぽい、と入れていたら中々の量になってしまった。
    (多分、乱歩さんは此量3日もあれば食べ切っちゃうだろうな...)
    心の中でそんな事を思いながら、敦はレジに向かった。

    「お次の方どうぞー。」
    店員さんに呼ばれ、敦は籠を抱え直してレジに向かった。
    「3860円になります」
    駄菓子だけで約4000円とは...敦は乏しい財布を開いて現金を出そうとする。
    「之で」
    「?!」
    突然横から入ってきたのは、黒い外套を着た人だった。
    「あ、あくた...」
    敦が名前を呼ぶ前に、芥川は駄菓子の入った袋を持ち、敦の左腕を掴んで引っ張った。

    「ちょ、芥川!」
    やっと離して貰えたのは、路地裏に着いた頃だった。
    「貴様、其の腕は如何した。」
    「此の前の任務で痛めたんだよ。」
    「貴様の再生能力でも、か?」
    芥川がそう云うと、敦はビクッと震えた。
    「そ、そうだよ。傷は治るけど、筋肉痛とか...そう云うのは治らないんだ」
    敦は咄嗟に嘘をついた。
    「ほう...ならば、やつがれが包帯を巻き直してやろう」
    「はっ?!必要ない!今日の朝、変えたばっかりだし」
    「どうせ貴様の事だ。洗っただけで放置しただけで有ろう。其れだけでは足りぬ。」
    「そ、そうだけど!やらなくても大丈夫...自分でやるから」
    敦は左腕を己の右手で掴んで、包帯を強く握り締めた。
    「ならば、力ずくで対処せねば」
    「たっ、たんま!!解った、解ったから...」
    芥川が羅生門を出したのを見て、敦は折れた。

    包帯を、一周一周外していく。此の作業は、人前では絶対にしたくなかったのに。
    「ひ、引くなよ...僕だってしたくてやっている訳じゃないんだ」
    「承知の上だ」
    剥がしながらも、若干の抵抗を挟むが変化なし。
    残り、一周。
    矢張り水洗いだけでは効果がなかったのか、薄ら血が滲んでいた。
    包帯を外して、最後はガーゼ。ガーゼは最早赤で染まっていた。
    広い範囲でのガーゼをゆっくり剥がす。
    戦闘で見慣れたはずの掠り傷が、どうも酷く見えた。
    芥川も、眉間に皺を寄せていた。
    「気持ち悪いだろ。人に見せるものじゃない。」
    敦はそう云い乍らぐしゃぐしゃになった包帯で腕を隠した。
    が、其れは羅生門によって防がれた。
    「ちょ、何だよ!」
    振り返って反撃しようとするが、其れは芥川の顔によって制御された。
    「あくた、がわ...?」
    芥川は、敦の心の気持ちを顔に出しているようで、何処か寂しそうな顔をしていた。
    「何も、お前がそんな顔をする必要なんて無いだろ...」
    敦は覚束無い足取りで芥川に近付いた。芥川は攻撃してこなかった。
    「........すまなかった」
    「え、?」
    芥川の口から出た言葉は、謝罪の言葉。
    「何で、お前が謝るんだよ」
    「やつがれが、確り見ていれば、」
    「.......っふ、ははっ!お前、変なところで兄属性出して来るなよ。これっぽっちの怪我、直ぐ治るって...」
    「怪我?己でやったのでは無いのか」
    図星だった。敦は一瞬固まるが、直ぐに取り戻して返事をした。
    が、芥川は其れを見逃さなかった。
    芥(自分でやったのだな...)
    「人虎、此方へ来い」
    「は?!」
    「手当て位ならしてやれる」
    「あーそーですか。お好きにどうぞ」
    敦は諦めが全て、芥川に左腕を差し上げた。
    「うっ?!一寸、莫迦!腕ちぎれる!」
    「痛覚はあるのだな」
    「は?!お前もっと他に試す方法あっただろ...」
    もう抵抗するのも疲れてきて、敦は段々と静かになってくる。

    「おい、終わった....っはぁ、貴様は仕方の無いやつだ」
    手当てが終わった芥川は、敦を見てみると、敦は壁にもたれかかって眠っていた。
    「と云うか、そろそろ出てきても善いですよ、太宰さん。」
    「おや、解って居たのかい」
    「手当ての前から既に」
    「いやぁ、真逆駄菓子を奢るなんてねぇ。そこ迄頼んでないのに」
    「やつがれのしたかった事です。気にしないでください」
    「其れにしても、ありがとう、芥川君。助かったよ」
    「やつがれよりも、貴方の方が潔く見せて呉れたのではないんですか。」
    「さぁね。如何だろう。多分、君でも私でも変わらなかったと思うよ。」
    「其れより、早く連れて帰ってください。居心地が悪い」
    「其れはすまなかったね。帰ろうか、敦君。」
    眠っている敦を、太宰は軽々持ち上げて横抱きにすると、芥川にもう一度お礼を伝えた。
    「また今度、手伝いをお願いする時があるかもしれない」
    「解りました。」
    太宰がそうお願いをすると、芥川は嫌味を云わず引き受けた。随分柔らかくなったなぁ、と太宰は思いながら敦を抱えて社員寮へ戻った。


    敦の腕には、清潔な包帯が巻かれていた。
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