天国と過酷本霊時代飽きるほど見た顔がその頃のまま美しく笑う。
「おや、猫殺しくん」
南泉は眉間にシワが寄るのを止められなかった。
「お前には会いたくなかったよ」
そう、こいつには会いたくなかった。
なんせ本霊時代、この戦いが始まるほんの少し前。
オレはこいつに告白して振られているからだ。
翻って今、二振は同じ布団に寝ている。まったく恋仲ではないのに。
本丸生活とはかくも過酷なものだったのか。
天国と過酷
天国と地獄は隣り合わせとはよく言ったもので。
オレはかつて恋した奴と背中合わせに寝るという新手の地獄を味わっていた。
なんにせよ貧乏が憎い。
真面目だがやりくりの下手な主と手綱を持つには主に甘すぎる近侍長谷部のコラボレーションのおかげで当本丸は常にかつかつのさらに下を行っている。
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