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    同期オフィスラブ(まだ全然オフィスにいない)七マリちゃん
    ◆の後からが更新分

    「一ツ森! 二ツ森! 三ツ森!」
    盛り上がる酔っ払い達に巻き込まれないよう少し離れた席から、小波は先輩達に囲まれた同期を心配そうに見やった。
    同期入社で同じ支店に配属になった七ツ森は逃げ切れず、お猪口を持たされて古臭いコールで日本酒を煽っている。七杯目を飲み干して、うぇーい七ツ森ー!なんて囃し立てられている彼は限界が近いように見えた。
    「小波さん、楽しんでる?」
    「はい! 今日はありがとうございます」
    女性の先輩社員に手元のグラスにビールを注がれながら、小波が答える。
    「毎年恒例の新歓なんだけど、飲み会自体が久々だからちょっと盛り上がり過ぎな感じがするよね。普段はここまでじゃないし、仕事ではとっても頼りになる良い人達なんだよ。……ま、流石にそろそろ助けてあげないとかな?」
    苦笑いしながら先輩が言った。小波が彼らの盛り上がり方に少し引いていたのがバレていたのだろう。
    彼女は「七ツ森くん!こっちに来て私ともお話しよー!」と叫んで七ツ森を小波の隣に座らせ、水をもらってくると立ち去った。
    「七ツ森くん、大丈夫……?」
    「あー……めちゃフワフワしてる……」
    酔った七ツ森は舌足らずで、とろんと眠そうな目も相まってとても可愛らしく感じた。
    「お水、飲める?」
    「んー……」
    生返事をしてそのままウトウトと舟をこぎ始めた彼は、小波の袖を掴んで寝てしまった。
    行き場を失った水を手に、どうしていいか分からない小波がオロオロしていると先輩社員から声がかかる。
    「ありゃりゃ、七ツ森つぶれちゃったか。おーい七ツ森、大丈夫か? 立てる?」
    「はーい……」
    ぺしぺしと先輩に背中を叩かれのっそりと立ち上がった彼は小波の袖を掴んだままで、小波もつられて立ち上がる。
    「お、いいね、仲良し同期! ふたりとも社員寮なんだっけ?」
    「あ、はい、そうです」
    「じゃあ小波さん、悪いけど七ツ森のこと任せていい? 歩けるし、吐き気は無さそうだし、大丈夫でしょ。社員寮方面の男が居ればよかったんだけど、ウチの支店に寮のヤツいないんだよね」
    「わかりました」
    まだまだ飲み会を続けるらしい先輩社員達に見送られながら二人でタクシーに乗り込み行き先を告げる。
    しばらく走るうちに七ツ森は寝入ってしまい、小波の肩に頭を預けてきた。お酒の香りに交じってほんのり届く香水の香りにドキリとした。
    (っていうか、こんなに首まげて痛くないのかな。かえって寝づらそうだけど……)
    違うことを考えてドキドキを遠ざけようとしたものの、頬にあたるピンク色の髪の毛もサラサラでイイ匂いがして余計にドキドキしてしまう。
    (早く着いて~~!)
    逃げ場のないタクシーの中で、小波はギュッと目を瞑ってなんとかやり過ごすのだった。





    「七ツ森くん、着いたよ、起きて」
    小波がポンポンと膝を叩くと、七ツ森は彼女の肩口に目元を擦り付けながら唸る。
    「もう! ほら!」
    「……はーい」
    まだ酒の抜けない口調の七ツ森がヨロヨロとタクシーを降りる。
    小波は二人分の鞄を手にし、ふらつく彼を支えようと近づくが、あまりの身長差に彼の脇の下にすっぽり収まる形になってしまい寄りかからせるには心許ない。
    ともかく部屋に送り届けなくてはと腰に手を回し、社員寮のエレベーターへと誘導した。

    小波達の寮は会社がアパートを借り上げる形のため共有スペースはほぼ無く、七ツ森の部屋も小波の部屋も同じ間取りだ。階数で男女が別れている以外は学生時代の一人暮らしとほとんど変わらない。
    しかし、足元の覚束無い七ツ森を全身で支えながら解錠を促して入室した小波は、自分の部屋とは全く違う雰囲気に緊張を隠せなかった。その上、男の人の部屋に入るのも初めてだった。
    ドキドキと高鳴る心音が七ツ森に伝わらないようそっと体を離して呼びかける。
    「おうち着いたよ!」
    「ん……サンキュ……うー、あちぃ……」
    「お、お邪魔します…」
    靴を脱いで寝室に入っていく七ツ森を追いかける。彼の鞄を持っているうえ、先輩に介抱を任された小波はこのまま帰るわけにはいかなかった。
    しかし、室内を見た小波は顔を真っ赤にして叫ぶ。
    「わ!? ちょっ、七ツ森くん、ちょっと待って!?」
    酒で火照って暑いのだろう、スーツの上着やネクタイを取り払った七ツ森は、そのままワイシャツやインナーにも手をかけてポイポイと脱いでゆく。
    普段のスーツ姿より広く見える肩幅やキュッと締まった腰が小波には目の毒で、両手で顔を覆った。
    バックルを外しているのが指の間から見えて、あまりの恥ずかしさにギュッと目を閉じた。
    ベルトが落ち、衣擦れの音が止むまでじっと耐えてからソロリと目を開くと、スウェットの下だけを身につけた七ツ森がベッドに横になろうとしている所だった。
    「ちょっとでいいからお水飲もう? あと、このままだと明日遅刻しそうだからアラームも。鍵はポストに入れておくからね?」
    引き締まった裸の上半身に照れながらも小波は何くれと無く世話を焼き、七ツ森が寝入ってから真っ赤な顔で彼の部屋を後にしたのだった。
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