「一ツ森! 二ツ森! 三ツ森!」
盛り上がる酔っ払い達に巻き込まれないよう少し離れた席から、小波は先輩達に囲まれた同期を心配そうに見やった。
同期入社で同じ支店に配属になった七ツ森は逃げ切れず、お猪口を持たされて古臭いコールで日本酒を煽っている。七杯目を飲み干して、うぇーい七ツ森ー!なんて囃し立てられている彼は限界が近いように見えた。
「小波さん、楽しんでる?」
「はい! 今日はありがとうございます」
女性の先輩社員に手元のグラスにビールを注がれながら、小波が答える。
「毎年恒例の新歓なんだけど、飲み会自体が久々だからちょっと盛り上がり過ぎな感じがするよね。普段はここまでじゃないし、仕事ではとっても頼りになる良い人達なんだよ。……ま、流石にそろそろ助けてあげないとかな?」
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