バッファローのいたずら 冬なのに随分と暑い夜だ。
真夜中過ぎのイエローウエストのどこかの裏通りを、キースは鼻歌を歌いながら歩いていた。今晩は初めて行く酒場の雰囲気を楽しんだ後に、行きつけの店で飲み直し、例の如く自分がどこにいるか分からなくなるくらいに酔っている状態だ。ふわふわして気持ちがいい。たぶん、もうじき橋が見えてくる。タワーに戻るにはそこを通るしかない。
霧でも出ているのか、視界が悪かった。橋を渡り始めると、妙に揺れる気がする。トランポリンみたいに揺れて、大丈夫なのか? とキースは妙に冷静に考えた。
千鳥足でさらに数歩進むと、花のようないい匂いが鼻腔に届き始める。相変わらず橋はボヨンボヨンと揺れている。不思議と歩くのに問題はなかった。
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