仙人の恋人2魂が抜けたようだと言うのは、この事だ。
雲深不知処の近くの骨董店のカフェでバイトをしたいと、両親に申し出たのだ。
隣には、あの藍曦臣。両親は、この人の事を覚えていた。
そりゃ、覚えているだろう。終身契約なんて、結ばされたのだから。
「つまり、うちの晩吟を入学したらバイトで雇いたいと?」
「はい。
元々雲深不知処でも教鞭をとっていた事もありますし、
彼に学園での勉強を遅らせるようなことはしません」
人の好い笑顔で、押し切ろうとする曦臣。
まるで父親が、晩吟に助けを求めるように見つめてきたので、
膝の上で拳を作って隣に座っていた曦臣との距離を詰めた。
すると眩暈を起こしたのか、父親は母親に倒れこむ様に寄りかかった。
もはや母親に、泣きついているように抱きしめて肩に顔を埋めている。
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