[ミマモ]接着されたからだ さっき洗面台にある鏡で見たが、改めて自分の身体を見ると、古傷が多いものだった。
何百年も残っているような縫い跡ばかりだ。
それもそうで、昔からブッカーは歩兵として戦場にいたからだ。
生まれた国はもうとっくのとうに滅んでいるが、まさに敵国と戦うためにあるような国だった。
「ふむ……」
「どうしたのブッカー」
手首をみながら温泉の中で考え事をしているとすぐ隣にいた、イグジスに声をかけられた。
ここはゴルトオール城下町にある銭湯だが、エミシアと三人でここを訪れ、少年であるイグジスの入浴を介助するのはブッカーの役目だった。
彼も見た目は幼い子供なのだが、古くから残っているような傷やあざが非常に多く、片足は欠損している。
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