ゲーム「だぁぁぁ!!!また負けた!!!」
何度目かの敗北の末、事務所に響く怒号。
俺とロージーは特に仕事もなかったので共にゲームをして過ごしていた。
「お前は突っ込みすぎるからなぁ。たまには防御したりしないと。フォローする身にもなってくれよ」
「うっせぇ!テメェがさっさと回復しねぇからだろうが!」
「えぇ!?俺のせい!?」
もう何回もこのやりとりを繰り返している。イライラして冷静な判断ができなくなっているのでそろそろ休憩しようと言っても絶対にコントローラーを離そうとしない。
「おいキオ!もう一回だ!」
「おいおい…躍起になってもいい事ないって。一旦休憩挟もうぜ?」
「ゼッテェやだ!!」
………ダメだ、こうなったらもう勝つまで諦めないな。
仕方ないとコントローラーを握り直した所で事務所の扉が開いた。
「今戻った」
「あっ、おかえりボーラさ…」
「アニキ!!おかえりなさいっス!!」
ボーラさんの姿を見た瞬間。ロージーは頑なに離そうとしなかったコントローラーを机の上に置いて一目散に駆け寄る。
ほんと、分かりやすい。
分かりやすくて、少し、寂しい。
どれだけゲームで上手くフォローする事ができても、どれだけ共にボスを倒しても
(やっぱ敵わないなぁ)
置かれたコントローラーにそっと手を伸ばした。