屈強な男たちにタンゴ踊らせてみた。【月島基】
三十半ば。無愛想だが親しい者には饒舌。
見た目に似合わぬ人情家。公園のベンチに座っていると猫が寄ってくるし、おばあちゃんにもモテる。
今の職業らアルゼンチンタンゴ教室のアシスタント。
若い頃は劇団に所属しており、下北に住んでいた。
劇団が解散し困っていた時にアルバイト先のホテルで出会った鶴見にナンパ?され、アルゼンチンタンゴ教室に通う。筋トレ馬鹿で、服のサイズがいつも迷子になる。なぜか絶品の鶏ハムの作り方を知っている。
テーマ曲はピアソラ「螺鈿協奏曲 レント・メランコリコ」。地味な出だしの長い曲だが、途中からの美しい転調がとても月島(?)っぽい。
【鶴見篤四郎】
不惑の四十路。ナイスミドル。男女からめっぽうモテる。モテるが今作では特定の相手を持たない。
学生時代から続けていた競技ダンスのアマからプロに転向したが成績が伸びず、アルゼンチンタンゴに鞍替えした変わり種。
アルゼンチンタンゴのワールドチャンピオンで、今は外れとはいえ銀座の一角(ほぼ築地)でタンゴ教室を主催している。
男女どちらのパトロンもいる。ブランドのレセプションパーティーのデモ、CM、テレビドラマなどでアルゼンチンタンゴの振付をしており、芸能界にも顔がきく。ヒルズクラブにも出入りするが、乗っている車は国産車。
真っ直ぐだが情熱を内に宿す月島にアルゼンチンタンゴの真髄を見出し、熱心に指導する。
タンゴは踊るセックスだと月島に教えた。
下戸。タバコはポーズだけ。
器用なのかドジなのか分からない。
甘いものが好きで、血糖値を気にしている。
テーマ曲はプグリエーゼの「ガジョ・シエゴ」。
トラディショナルなタンゴなのに、トリッキーな印象という相反するイメージの曲が鶴見にぴったり。
【鯉登音之進】
二十代前半。
俳優。文武両道、眉目秀麗と非の打ち所がない存在のようだが、童貞気質。真面目で熱心で可愛い。
運動神経がすこぶる良く、大学のサークルにも助っ人で呼ばれるスーパースター。社交ダンスをかじっていたことがあり、それがきっかけで、バラエティのダンス企画に呼ばれる。
アルゼンチンタンゴの大会に出ることを目的とした企画(金曜日のアレ)で、鶴見の教室でレッスンを受ける事に。
パートナーは「元アスリートのモデル美女」。
アスリート時代のポテンシャルを見込まれての採用だったがやる気にムラがあり、練習熱心な鯉登とソリが全く合わず、企画は難航している。
月島とは、鶴見の教室で出会う。アシスタントとしてレッスンに付き合ってもらう内、パートナーよりも体の相性が良いことに気づいてしまう。
踊るセックスという発言に最初は真っ赤になっていたが、月島とのセックスわっぜ気持ちよかぁ!と開眼?し、月島にハマっていく。
一方で月島は、B専の気がある元アスリート美女に粉を掛けられ辟易していたし、その現場を見てしまった鯉登は悩むしで、軽くパニック。
鯉登のテーマ曲はマリアーノ・モーレスの「タンゲーラ」。打楽器のイントロがないバージョンでぜひ…。
【杉元佐一】
二十代半ば。運送業のあんちゃん。
金色便という自転車を使うエコな配達の配達員。
むかしからプチ不運だが、諦めないナイスガイ。
銀座にある鶴見のスタジオに荷物を届けに来るうち、月島と知り合う。イカつい顔の人なのにチャラチャラとしたダンス?と半信半疑な杉元だったが、ある日レッスン中の月島を見て、普段はただの髭坊主なのにダンス中はセクシーの最上級だったのでびっくり。気になる存在となっていく。
ぶっきらぼうながら差し入れをくれる月島に母性をちょっと見ている。
そんな折、家が近所だと知り、徐々に接近。
飲み屋で泥酔した月島と鉢合わせ、ハプニングでキスしてしまうが、キスぐらいなんだタンゴは踊るセックスみたいなもんだ!と開き直る姿にますます心をかき乱される。
テーマ曲はピアソラ「ロコへのバラード」。
やっぱり僕はイカれてる。