ふわふわのうみ「…フロイドさん」
「なぁにクリオネちゃん?」
「…なにこれ」
オルト・シュラウドは布団で包まれたまま、困惑の表情を浮かべていた。
布団に包んだ張本人であるフロイド・リーチはオルトの問いかけに答えず、笑顔を浮かべたまま彼の頭を撫でる。フロイドが何も問いかけに答えないのでオルトは頬を膨らませた。
「んもう。なにか言ってよフロイドさん!」
まるでフグかハリセンボンのように膨らんだオルトの頰をフロイドが面白がってつんつんと突っつく。
「あはぁ!クリオネちゃん、クリオネちゃんじゃなくてフグみてぇ」
「フグじゃないもん!」
布団に包まったままオルトはそっぽを向くが、フロイドは布団ごとオルトを抱き抱えてぽんぽんとそっとあやす様に叩いた。そしてポロリと言葉を漏らす。
「クリオネちゃん、最近寝れてないってホタルイカ先輩から聞いたんだよねぇ。だから、オレが一緒に寝てあげようかと思って」
「…フロイドさん…」
布団の暖かさとフロイドの暖かさが、今まで忘れかけていたオルトの眠気を誘う。
徐々にアンバーイエローの目が閉じていき、遂にスゥスゥと寝息が聴こえてきた。
その音を聴いたフロイドはオルトを起こさない程度にぎゅうっと布団を抱きしめた。
「…おやすみ、クリオネちゃん」