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    1_raru3

    ブレワシリーズ書いてます。
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    タイトルまんま。
    同じ「武器の話」のタイトルでそのうち別の組み合わせの話を書く。かも。
    今回は屋上組。リボンの話書きたかったから満足です。

    武器の話・類と瑞希の場合「おや?珍しいお客様が来ているものだねぇ」
     とある日、類が装置の整備のために(授業をサボって)セカイへと訪れると、しゃがみ込んでぬいぐるみと戯れる瑞希が先客として来ていた。
    「やっほ〜、類。暇だし賑やかなここだと明るめな動画の制作もできるかなーって思って来ちゃった!そしたらさ、ぬいぐるみくん達が集まってきちゃって、こんな感じになっちゃった!あははっ!」
     そんな瑞希の周囲には、リボンやレースで可愛く着飾られたぬいぐるみ達が駆け回っていた。そんな彼女の手には先程彼等彼女等に着けたものの余りなのだろうか。リボンが握られていた。
    「司くんが幼少期のショーで衣装を着せていた時があるのかな?ここのぬいぐるみくん達は着飾るのも好きみたいだからねぇ。たまに衣装制作ができる司くんやカイトさんに衣装を強請っているのを見るよ。それにしても流石瑞希だ。可愛らしく仕上がっているよ」
     このセカイのバーチャル・シンガー達に見せに行くのであろう。わいわいがやがやと多くのぬいぐるみ達がこちらに手を振りながらテントの方へと駆けていくところを眺めながら、類は瑞希の隣へと座った。類は彼女が手に持ったリボンや鋏を見て、そういえばと話しかける。
    「その手に持っているリボンで思い出したのだけれど、そういえば瑞希がセカイで穢れの怪物と戦う時の武器もリボンだよねぇ」
    「あー、そうそう!これだよね!」
     瑞希は手元に武器を出現させる。それは、片方の先は彼女の手首に巻かれている、少し長めのリボンだった。手首側はブルーで、ちょうど瑞希が握っているあたりでグラデーションされており、それ以降はピンク色、といった配色だった。
    「今更だけれど、よくリボンで戦えるなぁ、と思うよ。どのような仕組みなんだい?」
    「んー、戦闘用の武器なだけあって見た目はリボンだけどめちゃくちゃ耐久力がいいんだよね。よっぽどのことがない限りちぎれないと思う。あとね、これ見た目以上に伸びるんだ。あとボクの意志である程度勝手が効く」
     瑞希の返答に類はふむ、と相槌を打つ。
    「そういえば、はじまりの頃にバーチャルシンガーのみんなから『戦う力の源泉は想いの力』と教えてもらったことがあったな…はっきりとした原理がわからないから断定はできないけれど、そういうものが関係しているのかな。ほら、瑞希が攻撃したい対象を攻撃するために伸びる…といった感じに」
    「へぇ〜。…たしかにミクとリンもそんなこと言っていたような…まぁそれは置いといて。コレで結構いろんなことできるんだよね。巻き付けてぶん投げたりとか!あと、類ってボクの力のこと知ってたっけ?」
    「あぁ、もちろんだとも。瑞希の能力は相手に掛けられる能力変化…バフやデバフといったものを反転させるものだろう?」
    「そうそう。それってボク自身が触れたりこの武器が触れてたりするとよく効くんだ。あとうちのルカの能力…触れた敵の能力を奪う力なんだけどね、それの媒介もできるんだ」
    「なるほどねぇ。つまりこのリボンはみんなを支えて繋ぐためのものでもあるのか。瑞希らしいじゃないか」
    「え〜?そうかなぁ。ボクらしいなんてそんなことあんま思わないんだけど…本当にそう思ってる?」
     じぃ、と見つめる瑞希に対して、類はいつもの笑みでこう告げる。
    「あぁ、もちろんだとも。どうにもならないことがあっても、瑞希は最善を探して仲間達を繋いで背を押すだろう?彼女達にとって、瑞希はなくてはならない存在だ。もちろん、僕達にとってもだけどね。それに、今瑞希は“あんまり”思わないと言ったね?それは少しはそうだと思っている証拠ではないのかい?」
    「あっはは…これは一本取られちゃったかな。ま、そういうことにしておいてよ。武器と言えばさ、類のって銃剣だよね?」
    「あぁ、そうだね。これだろう?」
     類はぽん、と自分の武器を出現させた。それは、シンプルな見た目の銃剣だった。ブン、と刃を出現させると、それは紫色のエネルギーの刃だった。
    「そうそう!それにしても類ってイメージのようでなんか違うようにも感じるデザインだよね〜。なんていうか、類のってもっとメカメカしい感じだとおもってたもん!うーん、スチームパンクって言うの?とかもっとリアルっぽいイメージ。コレ、なんていうかSFファンタジーゲームの武器っぽい感じするんだよね〜」
    「うーん。多分それは司くんを通してこの武器が生まれたからじゃないかな?」
    「司先輩を通して?」
     意外な名前が出たことで、瑞希は身を乗り出していかにも興味津々です、といった顔で続きを促す。
    「あぁ、始まりの話ってお互いしたことが無かったんだっけ。このセカイが本来彼のセカイだからかな。僕達の…なによりも司くんの決意から彼の武器が生まれて、そこから僕達の武器も出現したんだ」
    「へぇ〜。ボク達のところもまふゆのセカイだけど、よっつ一緒に出現したように見えたんだよね。もしかしたらボク達の預かり知らぬところで武器が生まれてたのかもしれないけれど…同じひとりの人物から生まれたセカイでも、違うところがあるのかな?」
    「まぁそういう話は置いておいて。恐らく、司くんの持つイメージを通して僕達の武器が生まれたんじゃないかと僕は思っているんだ」
    「なるほどね〜。たしかにリアルな武器よりも今の類の武器の方がこのセカイにも似合っているし、なによりもああは言ったけれど、この武器が類に似合ってると思うし!」
    「おや、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
     くすくすと笑い合う2人に、テントの方からリボンやレースで飾られたぬいぐるみ達と共にKAITOが2人に近づいてきた。
    「こんにちは、いらっしゃい2人とも。瑞希ちゃんはみんなを飾ってくれてありがとう。みんな喜んでいるよ」
    「ミズキチャン、アリガトウ!」
    「どういたしまして〜!喜んでくれてよかったよ!」
     手を振り合う瑞希とぬいぐるみ達に、類とKAITOは自然と笑顔がこぼれた。
    「さて、カイトさん。何かあったんですか?」
    「あぁ、そうだった。君達は学校の時間帯みたいだけど大丈夫?もうすぐお昼だよ」
    「ボクはそもそも今日は行ってないから大丈夫〜!類は?司先輩や寧々ちゃんが待っているんじゃない?」
    「そうだね…授業をさぼってここに来たことがバレたら司くんに怒られそうだ。流石にそろそろ戻らないとかな」
    「あはは…今はもう戻らなくちゃだけれど、また練習に来てね。みんな待っているから」
     類は「セカイはまだ始まってすらいない」の再生を止めて、現実世界へと帰っていった。
    「瑞希ちゃんはどうする?もう少しここにいるかな?僕達は歓迎するよ」
    「んー、ボクも帰ろっかな。ちょっとインスピレーションも湧いてきたしね!」
    「それはよかった。それじゃあ、君達のセカイまで送るよ」
    「ありがとー、カイトさん!また来るね〜!」
     瑞希は手をブンブン振りながら、薄紫のプリズムに包まれて彼女達のセカイへと帰っていった。
     残されたこのセカイの住人たるKAITOは、この衣装で何かショーをしたいと話すぬいぐるみ達を見つめながら、今日の微笑ましい光景を思い出しながら、彼等と共にテントへと帰っていった。
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