チョコはいくつ貰うかよりも誰から貰うか「よし!できた」
新八は達成感に包まれながら、ふぅと息を吐き出した。その目の前にはハートや星といった様々な形に固められたチョコレートが並んでいる。初めてにしては上出来じゃないかと、新八は思った。
「あとは銀さんが帰ってくるのを待つだけか」
新八は台所から玄関の方に視線を向けた。
バレンタインデーが女性から好きな男性にチョコレートを渡すロマンチックな日だったのは今や昔の話。近年は友人、家族、はたまた自分自身へのご褒美といった多種多様な相手にチョコレートを渡すようになった。そんな中、姉のお妙がすまいるでチョコレートを客に配るのだと話してくれた。『それでまたお店に来てお金を落としてくれるならチョコレートの1つ2つ安いものよ』と笑うお妙の言葉に、新八はそうだと閃いた。万事屋でもバレンタインにチョコレートを配ろう。そうすれば後々の依頼に繋がるかもしれない。こうした地道な種まきが無ければ花は咲かないのだ。
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