結局もうひとつの布団は使わなかった「あれ?まだ起きてたんですか」
てっきりもう寝息を立て始めてると思っていたのに意外だと思いながら、新八は襖を静かに閉めた。銀時は腕を枕にしながら布団に寝転がっていたが、目はしっかりと開いていた。
「待ってた」
「え?」
『待ってた』とはどういう事だろうか。銀時の真意を汲み取ろうと、新八は目を凝らした。
「そんな怖ぇ顔しなくても取って食やしねぇよ。それに、今日はさすがに疲れたわ」
今日の依頼は有名な料亭の草むしりだった。真夏日の中での草むしりは3人の体力を恐ろしい程に消耗させた。1番元気のある神楽でさえ早々に風呂を済ませると、寝床に籠ってしまった。今ごろ深い眠りに就いている事だろう。銀時も相当疲れたようで、夕飯の最中何度も欠伸をしていた。だから自分を待たずにさっさと寝てしまっていると、新八は思ったのだ。
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