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    refrain0411

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    refrain0411

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    叔父甥です。

    ※曦澄前提です。
    ※雲夢の街で名も無きモブの女児が出てきます。
    ※唐突に始まり唐突に終わります。
    ※そのうちpixivにもあげると思います。

    良ければどうぞ!

    だいじなもの金凌が怪我をしたと金鱗台から知らせが入った。
    江澄はその知らせだけではどの程度の怪我をしたのかも分からないため、すぐに蓮花塢を発つことにした。

    「阿凌が怪我をした。金鱗台入ってくる。急務があれば伝令蝶を寄越せ!ただ、すぐに返事が来るとは思うな!できるだけお前らで解決しろ!」

    江澄は門弟に告げた後、御剣で金鱗台へ向かう。金凌はまだ6歳。身体も成長途中であり、大きな怪我をすると成長の妨げになる可能性があった。心配と不安から気が急く思いで向かった。
    今日は元々、藍曦臣が私的に蓮花塢に来る予定であったが、今の状況で金凌とどちらが大事かと言われれば、迷うことなく金凌だ。藍曦臣には何も告げずに蓮花塢を出たが、門弟が良いように対応してくれるだろう。






    怪我の度合いは両の掌と膝を擦りむいた程度で、すぐに治るものであった。
    しかし、怪我をした経緯が問題であった。金凌は階段から、同年代の門弟に落とされたというのである。
    江澄は以前より金氏門弟に懸念を持っていた。金凌は言わないが、金氏門弟に親がいないことで有る事無い事を言っては金凌に虐めていたのを知っている。その時は金氏門弟に江澄が直接罰を与えたため落ち着いたが、江澄の居ない場では虐めが続いていたのであろう。
    金光瑤に金凌の怪我の経緯を全て聞き終えると、金凌の私室へ向かった。

    「阿凌。入るぞ。」
    「え!?舅舅?」

    扉を開けると、金凌は部屋の隅で小さくなって座っていた。

    「怪我したと聞いた。大丈夫なのか?」
    「だっ大丈夫だよ!叔父上来なくても大丈夫だったのに!」
    「見舞いに来た奴にそんな事言うやつがあるか!?」
    「阿凌、これくらいの怪我痛くないもん!」

    江澄は金凌のその言葉が強がりであることは分かっている。性格というか、思考というか、とりあえず強がってしまうところは似ているのだ。

    「阿凌。誰に落とされた?」
    「落とされてない。自分で転けた…。」
    「嘘つけ。こういう時は、素直に言え。」
    「…」

    金凌は完全に口を閉ざしてしまった。江澄に知られたく無かったからだ。
    金凌は階段から落とされた後、門弟に何でも江澄に頼ってばっかりで1人では何もできないんだと、言われた。
    それが悔しくて悔しくて…江澄には言いたくないのだ。それに、知られたら、江澄が金鱗台に来てくれないかもしれないとも思ったのだ。

    「言わないなら、金氏の門弟を片っ端から締めてやる。」
    「何で門弟って分かるの?」
    「金宗主に聞いた。」
    「だったら阿凌に聞かなくていいでしょ?」

    金凌は頬を膨らませている。

    「いや、阿凌に聞かなくては意味がない。金宗主も人伝に聞いた話だ。本人に聞かなければ事実か分からんからな。それに、阿凌の嘘はすぐ分かるぞ。」

    江澄は金凌ににやりとして見せた。

    「阿凌、嘘つかないもん!」
    「ほらみろ、嘘ついた。」
    「なーんーでー!?」

    江澄はふっと笑った。金凌は嘘をつく時に絶対に目が合わない。こんなに分かりやすくて良いのかと思いつつもそんな金凌が可愛くて仕方がない。



    結局、金凌は口を割らなかった。
    金光瑤が金凌の私室に来て、金凌を落とした門弟を特定し、金凌に何を言ったのかも全てが明らかになった。
    今後は、金光瑤がその門弟の家を処罰するとの事となった。江澄は金光瑤に全て任せた。
    江澄は金凌と話がしたかった。とりあえず、処罰が確定するまでは金凌を蓮花塢で預かることにした。金凌に今はまだ大人の汚い面を知って欲しくないからだ。
    急遽、蓮花塢に行くことになったこと、数日の滞在予定のため、小仙子は金鱗台でお留守番となった。


    金凌は小仙子を撫でる。

    「小仙子、すぐ戻ってくるから、良い子にしてるんだぞ!」
    「阿凌!行くぞ!」
    「叔父上待ってー!」

    御剣で雲夢の街へ向かった。
    金凌を抱きながらの御剣中、江澄は金凌に話をした。御剣中に話をしたのは、対面だと小恥ずかしくて言えないと思ったからだ。

    「阿凌。」
    「なあに?叔父上?」
    「阿凌は俺の大事な家族なんだから、俺に気を使わなくて良い。」

    江澄は金凌を見ることなく、進行方向を見据えている。金凌は江澄の言葉に目をきらきらとさせている。江澄が金凌のことをどう思っているのか中々口にしない。だから嬉しかったのだ。それが、江澄の視線が金凌と合わなくとも、本心であることは分かるのだ。

    「阿凌は舅舅のだいじ?」
    「あぁ。大事な家族だ。だから、気を使われるほうが悲しい。」

    悲しいと言った時に江澄が金凌をちらっと見ると、金凌は江澄の首に両腕を回して嬉しそうに顔を綻ばせている。

    「阿凌、舅舅悲しくしちゃった?悪い子?」
    「阿凌は俺を守ろうとしてくれたんだろう?良い子だよ。…でも、俺には全部隠さず言えよ。」
    「分かった!阿凌、全部舅舅に言う!」

    呼び方が、叔父上から、舅舅に戻っていることは分かっている。ただ、今はそれを直す必要もないと、そのままにした。

    「あぁ。それでいい。」
    「ねえ?舅舅?」
    「何だ?」
    「舅舅の蓮根と骨付き肉の汁物食べたい!」
    「分かった。なら、肉を街で買っていこう。」
    「うん!」



    街に降り、金凌の掌の傷が痛まないように優しく手を握り、2人で肉屋へ向かう。
    そこの肉屋の人とは顔見知りである。
    少し前に、江澄が街を歩いていると、犬が寄ってきた。その犬は明らかに飼い犬で、何処からか脱走したのだろうその犬を連れて街を歩いていた。その犬が肉屋の飼い犬であったのだ。
    その肉屋の娘が犬を連れて来てくれたら江澄のことを好きになったらしく、江澄の手を握って離れなかった。その娘は金凌と同じくらいの年であり、江澄は子供に好かれることが殆どなかったので懐いてくれて嬉しかったのだ。
    肉屋を去る時に、その娘が、「そーしゅっ!絶対、また来て!」と縋りついていたのを思い出して、行くことにした。


    肉屋に着く前に藍曦臣を見つけた。

    「藍宗主。今日は急用で、断りも入れずに不在ですまなかった。」
    「江宗主、気にしないでください。金公子が怪我をしたと門弟に聞きました。金公子の一大事では仕方がございません。金公子の怪我は大丈夫ですか?」

    藍曦臣は金凌に視線を合わせるように屈んで尋ねた。

    「阿凌大丈夫だよ!」
    「ああ。少し擦りむいただけだ。心配はいらない。ところで、雲深不知処に帰らなかったのか?」

    藍曦臣は江澄の言葉に少し悲しそうに眉を顰めながら立ち上がった。

    「江宗主、悲しい事を仰らないでください。貴方に会えないと分かった時の私の落胆を知らないからそんな事を言えるのですね…。」
    「っう゛…。」

    そう言われると何も言えない。

    「貴方に会えないと知って少しでも貴方に近づきたくて街で歩いていたのです。折角貴方に会えたのですから今日はこのまま、蓮花塢にご一緒しても?」
    「わ、分かった。」


    肉屋に着けば、例の娘が出てきた。

    「そーしゅっ!きてくれたの?」

    と言って江澄の太ももに抱きつき、江澄の衣に顔を擦り付ける。江澄は子供には怖いと恐れられることが多く、慕われることが殆どないため、好意を表に出してくれる子がいることが嬉しい。

    「元気だったか?」
    「うん!そーしゅ!いつわたしとけっこんしてくれる?」

    江澄は子供の言っていることだと気にしなかったが、結婚の言葉に過剰に反応した者が2人いた。

    「だめ!舅舅は、阿凌の舅舅なの!」
    「阿澄?結婚とはどう言うことでしょうか?」

    金凌は娘に。藍曦臣は江澄に問い詰めていた。
    金凌は年下の子供を遠慮なく江澄から引き剥がしていた。
    その様子を見ていた、店主は娘の言葉におろおろとしている。

    「江宗主、すっすみません。娘にはしっかりと言い聞かせますので…。」
    「いや、構わない。ところで、肉をいただけるか?」
    「は、はい!お代は不要です。持って行ってください!」

    店主は娘を店の奥に追いやっている。中からは「いやー、そーしゅー」と娘の鳴き声が聞こえる。江澄は申し訳ないと思いながらも、2人を連れている状態では話ができないと判断した。

    「お代は、次来る時に払う。」

    折角子供が懐いてくれたのに、これでは嫌われたかなと少し寂しく思った。


    蓮花塢に戻る時、金凌は江澄に抱っこをせがんだ。

    「阿凌の舅舅だもん。」
    「分かった、分かった。」

    拗ねている。そんな、金凌も可愛いと思えた。
    一方…。

    「私の阿澄です。誰にも譲りません。」
    「…貴方は、子供にまで嫉妬するのか?」
    「勿論です。誰にも渡しません。」

    藍曦臣の悋気には正直呆れながらも、内心は嬉しいものである。
    肉屋の娘には申し訳ないが、今の俺にはこの2人がいれば十分なのだ。

    「ほら、早く蓮花塢に戻らないと、料理を作る時間もなくなるぞ!」

    江澄は照れを隠しながら、そう言って急いで蓮花塢へと向かった。
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