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    めいや

    @meiya_gsonly

    めいやです。吸死ロナドラ小説を書いてます。
    無配のパス限SSや、ツイッターに上げた短めのものを上げていく予定です。

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    めいや

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    新横に住む、とある男性のお話です。
    盆先生のnoteを読んで、どうしても書きたくなって書きましたが、ただの蛇足でしかありません。

    #吸血鬼すぐ死ぬ
    vampiresDieQuickly.

    新横在住Mさん(仮名)の日常──少し遅くなっちゃったな。まだいてくれるといいけど。……なんだ? なんか騒がしい……?

    「…………うわっ」

    『…… ッ……! …………』

    ──びっ……くりした。いまの? デカい蚊か? 誰か助けてくれ……あ。

    「……ありがとうございます。ハイ。怪我はないです。いきなり出てきたからちょっと驚いたけど。……あのお、ハンターのロナルドさんですよね?」

    「ええ。もちろんお顔は知ってます。この先に自宅があるので、よくお見かけしますし。先週の週バンも表紙でしたよね? ……それに、あの……ロナ戦読んでます!」

    「す、すいません、お仕事中に……え? 本当ですよ? 最初は息子が読んでたんですけど、今ではすっかり僕も妻もファンになりました。週バンを買ったのも妻です。ロナルドさんが表紙だと絶対買うんですよ。……自分は建築の仕事をしておりまして……お恥ずかしい話ですが、子供の頃から小説は全くと言っていいほど読んだことがなかったんです。息子が読み始めた時も、なんだか難しそうだな、と思ったくらいで」

    「はい、それが……家族に勧められて読み始めたらスルスルと読めてしまって。やっぱり、自分の住んでる街が舞台ってのが大きかったんだと思います。情景が目に浮かぶというか……ロナルドさんの書かれ方が、とてもわかりやすかったんだと思います。……本当ですよ! それに」

    「ロナ戦三巻に、お兄さんが親代わりだったって書いてあって……実は自分もそうなんです。うちは祖母がいましたが、金銭的な面では兄が支えてくれました。高校に入ったら、すぐバイトして……寝る間も惜しんで働いて。僕はいつも、そんな兄の背中を見て育ちました」

    「だからロナルドさんのこと、なんだか凄く身近に感じてしまって……あ、すいません、勝手に。ただのファンに、いきなりこんなこと言われても困りますよね。やだな、ベラベラ喋っちゃって。ごめんなさい、忘れてください……え? ええ……兄とは今でも仲は良いです。自分もやっと独立して事務所を構えることができたので、これからは兄と祖母に恩返しをしたい、と……ロナルドさん えっ、泣いて……」

    「……は、はい。そうですね! 家族に恩を返せるように、お互いに頑張りましょう! それに……ロナルドさんのお兄さんって、きっと素晴らしい方なんでしょうね。貴方を見ていればわかります。僕も、兄に恥じない人間になりたいです。……いえいえ。僕たちが平和に暮らせるのは、ハンターさんや吸対の人がいてくれるからです。さっきだって、下等吸血鬼から守ってくれたじゃないですか。きっと、お兄さんはロナルドさんのこと、誇りに思ってると思うな。……あ、すいません、また勝手なこと言っちゃって。はい……そろそろ失礼します。本当にありがとうございました。ロナルドさんもお気をつけて」

              ◆◆◆◆◆◆◆

    「ただいまー……まだいるよね? あ、ただいま。ごめんね、遅くなっちゃって。あのねコダマ、お父さんね、さっきすごい人に会ったんだよ!」

    「実はさっき、下等吸血鬼に出くわしちゃってさ……大丈夫、怪我なんかしてないって。見れば分かるでしょ? 相変わらず心配性だなあ。……えっ? コダマも心配した? ごめんごめん。本当に大丈夫だから。デカい蚊に襲われそうになったけど、それを追ってたハンターさんが、すぐに退治してくれたんだ。その人がね……誰だと思う?」

    「……そう。“あの”ロナルドさんだったんだよ。遠目では見たことあったけど、まさか自分が助けてもらうとは思ってなかったなあ。……うん。やっぱり格好よかった。背高いし、強いし、しかも滅茶苦茶男前だし。でも……なんか前より雰囲気が柔らかくなった気がするよね。ハンターさんって、いつもピリピリしてるイメージだったけど。今はそうでもないかも……もちろんお仕事中は、すごくビシっとしてるけど」

    「……なーんか、二人ともニヤニヤしてない? てっきりお父さんだけズルい!って言われると思ってたのに……ん? なにそれ? 兄さんが持ってきたの? あ……」

    「ロナ戦サイン会のチケット」

    「えーーーーーーっ すごいじゃん! 兄さんが当てたの うちも新刊の帯についてたヤツと、あと週バンのも応募したのに、全部外れたんだよね……え? コダマ……もらった? いいの 兄さんもロナ戦好きなのに」

    「保護者同伴はOKでしょ? なら兄さんとコダマで……サインはいいの? いや、僕もさっき会えたから。……お母さんと一緒に並ぶ? おじさんがそうしろって言ったの? ……ちゃんとお礼言った? うん、ならいいよ。お母さんもロナルドさんに会いたいだろうし……興奮して叫んでた? 新しい服買うって? そっかあ。……多分実物見たらもっとヤバいと思う。僕もヤバかったもん」

    「ありがとう、兄さん。まあ、兄さんは、作品のファンでもサインがほしいタイプじゃないもんね。最初からコダマのために応募してくれたんでしょ? ……最初にコダマにロナ戦買ってくれたのも、兄さんだもんね。僕と違って、小説とか、そっち系が好きなのは、兄さんに似たのかなあ。……ヒカリに似た? そうかもね」

    「そうだ。サイン会の日、兄さんも暇だったら一緒に行こうよ。二人が並んでる間、久しぶりに買い物でもしない? それで終わったら、みんなでご飯食べに行こ。お礼にご馳走する、って言ってもファミレスだけど。……たまには大人しくご馳走されてよ。ねえ? コダマもおじさんと一緒にご飯食べたいよね? コダマは何がいい? ハンバーグ? お母さんは? ……決まりだね。その日に仕事入れちゃダメだからね、兄さん!」

            ◆◆◆◆◆◆◆

    『……あれ? 三木さん? 今日はここでお仕事ですか? ……さいんかい? へっ……今日ここで誰か他の人のサイン会してましたっけ ……えっ、オレ、の……? うぇっ ままままさか三木さんがロナ戦読んでくれてるなんて! ……っつーか、そちらはこないだ会った方ですよね? なんで三木さんと一緒に……弟さん? あーー……つまり息子さんが三木さんの甥っ子さん! なるほど! ……奥さんと息子さんがサイン会に並んでくださってるんですか うわ……滅茶苦茶嬉しい。あの、内緒ですけど……三木さんに頼んでくれたら、俺のサインくらいいつでも書きますから! はい! ……あ、そろそろ時間みたいです。それじゃあ、また」

    「兄さん……ロナルドさんと知り合いだったの いろんな仕事してるから、顔が広いことは知ってたけど……ああ、うん。確かに僕もこないだ会ったくらいだし。兄さんくらい顔が広かったら、顔見知りくらいにはなるだろうけど……兄さん、なーんか隠してない?」

    『やあやあ! 先日はお世話になりましたな! おかげで助かりましたよ。その後どうですか? なんとか上手くやっているようで、私は安心してるんですが……そうですか。本人がここで暮らすのを希望したのでね。楽しくやってくれてたら、私も嬉しいです。それもこれも、貴方のお力添えがあってこそ! いやいや、謙遜はナシです。貴方のフォローなくては、転化したての言葉もままならない吸血鬼が、見知らぬ街で一人で暮らせるわけがない。こんな面倒なことを引き受けてくださり、感謝の念にたえません。一族を代表して、お礼申し上げます。……正直、私なら断りますよ。こーんなしちめんどくさいこと! しかも……あのクソ髭も、ちょくちょく訪問してやがるんでしょ? なぁに考えてるんでしょうね いくら親の立場とは言え、百年以上ほっといたくせに! そんなに気になるなら、直接本人に聞けっての! 私にまで探りを入れてくるんですから……ホント、何百歳になっても素直に慣れないヘタレクソヒゲヒゲなんですよ。……これからもご面倒をかけると思いますが、この超絶キュートで世界の宝である私に免じて許してやってください。あ、もし本当に勘弁してくれって事態になったら報告お願いします。お父様にチクりますんで。それでもなんともならんかったら、お祖父様になんとかしてもらいます。ハイ』

    「……今の、ドラルクさんだよね。ロナ戦にも出てる。兄さん、ドラルクさんとも知り合いだったんだね。そう言えば、お隣に吸血鬼の人が越してきたって言ってたけど……もしかしてドラルクさんの一族の人なの? ……ふうん。兄さん、三カ国語くらい喋れるもんね。もしかしたら、もっと喋れるの? ……やっぱりすごいなあ、兄さんは」

    『お、なんや三木君やないか。こんなとこでなにしてんの? ……あ、サイン会に並んどんのか! そんなら控え室来ればええやん。三木君なら顔パスやろ? ……甥っ子くんが並んどる? そか! ええなあ。こーゆーのって、並ぶのも含めて、ええ思い出になるもんな。三木君にしては珍しくチケット用意できないか、とか聞いてきたのは、そのためやったんやな。……え? 内緒だった? すまんすまん! クワちゃんうっかりや! お詫びと言ったらなんやけど、サイン会の後、新刊発売祝いも兼ねた打ち上げをやるんよ。ヴリンスホテルで。三木君もけえへん? もちろん甥っ子君たちも一緒に。ご馳走出るで! ………………神ちゃん? 神ちゃんは……こんよ。いま……一時間くらい前かな? オータムの執筆室に入ったところやから……あっ、三木君 どこ行くん? 今回は大丈夫! 八時間セットやし! 大丈夫やって ……多分。バーベキューの準備とか、全然してへんし! 三木君? 待ってえな! おーい』

    「バーベキュー……ってなに」

    「さっきの人……編集さんなの? 兄さんは本当に顔が広いなあ。……サイン会のチケット、頼んでくれたんだね。……ううん、怒ってないよ? 兄さんがコダマのために言ってくれたんだし。ホント、ありがとね。……あ、でもコダマには言わないでね。ただでさえ、カナエおじさんのこと、なんでもできるスーパーマンみたいに思ってるんだから。……僕も、子供の頃は兄さんはビームを出せると思ってたし……んんっ、なんでもない……なんでもないったら!」

    「アイジャ飯? もちろん読んでるよ。そもそも兄さんが、一巻出た時に貸してくれたんじゃん。今はヒカリもコダマも読んでるし……コミックス出るまで待つ、って約束してるんだけど。実は電子で雑誌買っちゃってるんだよね。あ、二人には内緒だからね! だってさあ、気になるじゃん! こないだ出た巻の続き! コミックス出るまで待てないよ。……なに? なんでそんなに嬉しそうな顔してるの?」

    「アイジャ飯もそうだけど。兄さんの勧めてくれるものって、ハズレがないんだよね。ロナ戦もさ、最初はコダマにはまだ難しいんじゃないかなって思ったんだよ。漢字も多いし。ハンターのお仕事も、子供には刺激が強いかなって。……でも全然そんなことなかった。みるみる間にハマってくの見て、そんなに面白いの?ってヒカリも読み出したんだよね。ヒカリはもともと、ロナルドさんのこと、格好いいって言ってたし。僕もさ、こないだ助けられて、もっとファンになっちゃった。へへ……単純かな? ……やっぱりさあ、好みって似るのかな。家族って……ん? なんだか外が騒がしくない?」

    ──ピンポンパンポーン──

    「なんだろ?」

    『ただいま、当店の出口付近に、吸血モンゴリアンアームが発生したと、吸血鬼対策課から連絡がありました。よって、しばらく出入り口を封鎖いたします。店内は安全です。お客様におかれましては、吸対から許可が出るまで、ごゆっくりと店内でお買い物をお楽しみください』

    ──ピンポンパンポーン──

    「あ……ホントだ。ハンターさんたちが来てる。これならすぐに収まりそうだね。……えっ 見て、ロナルドさんだ! こんな時でも真っ先に駆けつけるんだね。やっぱり格好いいなあ……あれ? 他の吸血鬼も……なんだか集まって来てない?」

    ──ピンポンパンポーン──

    『先程お伝えした、吸血モンゴリアンアームは、ハンターと吸対によって、無事に退治されました。許可が出たので、店内から出入りができるようになりました。お客様には、大変ご不便をおかけしました。なお、近隣には、騒動に乗じた野球拳、マイクロビキニ、マナー違反、全裸のオッさん等が出没しております。お帰りの際は、充分にお気をつけください』

    ──ピンポンパンポーン──

    「あ、ヒカリからRINE来てる。……サイン会、予定通りにやるって。よかった! じゃあ僕たちも、その辺見てようか……兄さん? 外に誰かいたの? え……行くの? あの中に? ……うん。わかった。後で、いろいろ終わったら連絡してね。もし間に合いそうだったら、ご飯は一緒に食べようね。いつものファミレスにいるからさ。二人にも言っとくから。ちゃんと連絡してね。……いってらっしゃい、兄さん!」

             ◆◆◆◆◆◆◆

    「……もしもし、兄さん? 大丈夫? ……ああ、うん。なら仕方ないね。うん。……こっちは大丈夫。サイン会終わった時には、外の騒ぎは収まってたし。今はファミレスでご飯食べてる。……コダマ、おじさん来れないって。うん……うん。今度会った時、ロナルドさんのこと教えてあげてね。ロナルドさん、あの状態でもサイン会をしっかりこなすんだもんなあ。……プロってすごいよね。……ホントにありがとね、兄さん。……じゃあ。風邪ひかないようにようにね」

             ◆◆◆◆◆◆◆

    『弟さんの方、大丈夫ですか? ……風邪ひかないように? マイクロビキニなら仕方ないって? ……そうですか』

    『ヨクできた、オトウトさんデスね』

    『……帰って、私たちも飲みますか!』

    『おフロ入ってカラ、デスね?』

    『はい! 今日はとことん飲みましょう!』

    「………………ですね」

         【新横在住Mさん(仮名)の日常】終幕
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    めいや

    DONE新横に住む、とある男性のお話です。
    盆先生のnoteを読んで、どうしても書きたくなって書きましたが、ただの蛇足でしかありません。
    新横在住Mさん(仮名)の日常──少し遅くなっちゃったな。まだいてくれるといいけど。……なんだ? なんか騒がしい……?

    「…………うわっ」

    『…… ッ……! …………』

    ──びっ……くりした。いまの? デカい蚊か? 誰か助けてくれ……あ。

    「……ありがとうございます。ハイ。怪我はないです。いきなり出てきたからちょっと驚いたけど。……あのお、ハンターのロナルドさんですよね?」

    「ええ。もちろんお顔は知ってます。この先に自宅があるので、よくお見かけしますし。先週の週バンも表紙でしたよね? ……それに、あの……ロナ戦読んでます!」

    「す、すいません、お仕事中に……え? 本当ですよ? 最初は息子が読んでたんですけど、今ではすっかり僕も妻もファンになりました。週バンを買ったのも妻です。ロナルドさんが表紙だと絶対買うんですよ。……自分は建築の仕事をしておりまして……お恥ずかしい話ですが、子供の頃から小説は全くと言っていいほど読んだことがなかったんです。息子が読み始めた時も、なんだか難しそうだな、と思ったくらいで」
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    めいや

    DONE吸死 ロナドラ 
    ロナルドくんが事務所で喋ってるだけ。
    つきあってるかどうかはご想像にお任せしますが、ラストは結婚してます(多分)
    You are my lucky charms「氏名、住所、電話番号……と、事務所も同じだな。あと……チャームポイント? なんだよこれ」

    「あ? これか? ギルドに出す書類。ハンターの活動状況とか把握しておかなきゃならないからな。毎年書かなきゃいけねぇんだよ。どこでもあるだろ、組合的なヤツ。そんで、最後にアンケートがあったんだけど……」

    「チャームポイント……ねえな。男に可愛いもクソもねえだろが。……セールスポイント? 余計ねえだろ、んなもん。そりゃあ、それ書いて依頼人が来てくれたらいいけど。それこそ看板に偽りありってことになりかねねえだろうが」

    「……顔? 吸血鬼退治するのに顔が意味あるか? ああ、でも兄貴くらい格好良かったら、目当ての依頼人もいたかもしれないなあ……あ“? なんだその顔? 言っとくけどな、兄貴はカッコいいだけじゃねえからな! ハントの腕も超一流で、ルーキーなのに、新横の誰もが知ってるスーパーヒーローだったんだぞ あの頃、レッドバレットといえば、新横みんなの憧れだったんだ……今でもそうだけどさ。兄貴はいつだって、みんなのヒーローなんだよ」
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