それは非日常という名の日常(短編1)初夏の日差しが眩しい、休日の午後。
俺は手土産片手に骨董屋を訪れていた。
先輩刑事曰く『変人しかいない』という骨董屋は、今日も閑古鳥が鳴いている。
仏頂面の店主——ユウさんの脇を通って上り込んだ、いつもの座敷。中庭を臨む縁側では、やる気のない店員——アヤさんが昼寝を楽しんでいる。
今日は『おねむの日』らしい。
少し、いやかなり残念だ。
ユウさんが用意してくれたお茶請けをいただきながら、俺はひっそりとため息をついた。
折角アヤさんの喜ぶ顔が見られると思ったのに。確率五割の『おねむの日』を引き当ててしまった。
傍に置いた紙袋も、心なしか淋しそうに見える。
アポ無しで訪れた俺も悪いのだが、偶の休日である。落胆するなという方が無理だろう。
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