❏設定❏
・彰人と冬弥が成人を迎えている
・二人は高校生の時から付き合っている
・冬弥より少し遅れて、彰人が二十歳になった記念に二人でお酒を飲むことになる
❏本文❏
~居酒屋の個室~
彰人「まさか、冬弥から居酒屋に誘われるとはな」
冬弥「そんなに意外だったか?」
彰人「当然だろ。酒なんて羽目を外すために飲むようなもんに、真面目なお前が興味を持つとは思えねえって」
冬弥「なるほど、そういうことか。とくに酒が飲みたいわけではないが、どんな味かには興味がある。それに、お互いが二十歳になったお祝いを兼ねて、今までできなかったことを彰人と二人で経験してみるのも、悪くはないと思ってな」
彰人「……ったく、酒の席に誘う理由すら真面目なんだな、お前」
店員:運んできたお酒をテーブルの上に並べて去っていく
彰人「それじゃ、人生初の乾杯するか?」
冬弥「ああ」
彰人・冬弥:グラスを重ね合わせる
~一時間後~
冬弥「彰人……大丈夫か?」
彰人「……」
彰人:テーブルに突っ伏している
冬弥「あまり無理はするなと言っただろう。彰人、起きてくれ」
冬弥:彰人の体を揺らす
彰人「……う、ん……もう飲めねえから、パス……」
彰人:冬弥の手を払いのける
冬弥「それは見れば分かる。帰るぞ、彰人」
冬弥:再び彰人の体を揺らす
彰人「……だから、飲めねえって……」
彰人:再び冬弥の手を払いのける
冬弥「彰人、もしかして俺の声が聞こえていないのか?」
彰人「……」
彰人:すうすうと、小さな寝息を立てはじめる
冬弥「……寝てしまった」
冬弥:彰人の寝顔を見つめながら呟く
冬弥「……起こすのは、可哀想だな。しかし、俺一人で彰人をお宅まで運べるだろうか……」
冬弥:口元に手をあてて考え込む
冬弥「……いや、出会った頃とは違って、彰人との身長差は十センチ以上ある。体力に自信がついたわけではないが、自分より身長の低い彰人を運ぶことくらい、俺にだってできるはずだ」
冬弥:自問自答した後に納得したように頷く
冬弥「彰人、聞こえていないだろうが、俺の肩に掴まってくれ」
彰人「……」
彰人:静かに寝息を立てている
冬弥:彰人に肩を貸そうとする
冬弥「初めて知ったが、身長差があると相手の腕を自分の肩に回すことが難しくなるんだな……」
冬弥:肩を貸すのを諦めて、どうしたものかと考えこむ
冬弥「無事に運べるか自信はないが、この方法しかないか」
冬弥:彰人の背中と膝裏に手を回し、お姫様抱っこをする
冬弥(成人男性の体重を腕だけで支えることができるかは疑問だったが、危惧していたほど重くはないな……)
冬弥:お姫様抱っこをしたまま個室を出ると、二人に対して好奇の視線を向けながらざわつく周囲には一切目もくれずに会計を済ませる
~シャッターが閉まっている駅前~
冬弥「……終電を逃してしまった。彰人を抱えたままだと、歩く速度が遅くなることを計算に入れていなかった」
彰人:ぐっすりと眠っている
冬弥「どこかに、泊まることのできる場所は……」
冬弥:きょろきょろと周囲を見回し、ラブホテルが目に入ると動きを止める
冬弥「……」
冬弥:無言で彰人を見る
彰人:ぐっすりと眠っている
冬弥(一体何を考えているんだ、俺は。ここは、彰人の合意なしに入るべきでは……)
冬弥:彰人を抱きかかえたまま、その場に立ちつくして考え込む
冬弥(いや、終電を逃したから休憩できる場所に入るだけだ。別にやましい気持ちは……)
冬弥:近くに普通のホテルもあることに気がつく
冬弥「……」
冬弥:再び、無言で彰人を見る
冬弥(すまない、彰人――――――――!)
~ラブホテルの中~
冬弥:廊下を歩いている
冬弥(……誘惑に負けて、つい入ってしまった。酔いつぶれて眠っている彰人の合意を得るには、どうすればいいのだろう)
彰人:目を覚まして、薄目を開ける
彰人「……冬、弥……?」
冬弥「……! 彰人、起きたのか」
彰人:意識がはっきりとしない様子で状況を確認する
彰人「……ちょっと待て。なんで、冬弥に抱きかかえられてんだよ……それに、どこだ、ここ……?」
冬弥「駅前のホテルだ。彰人が居酒屋で酔いつぶれてしまい、家まで送ろうとしたんだが、終電を逃してしまった」
彰人「……は? なんだよそれ、普通起こすだろ。こんな姿、誰にも見られてねえだろうな」
彰人:酔いで染まっている頬に、さらに赤みがさす
冬弥(大勢に見られたが、黙っておこう……)
冬弥「気持ちよさそうに眠っていたから、起こすのは可哀想だと思ったんだ。もうすぐ部屋に着く。ちゃんとベッドで寝かせるから、まだ眠っていても大丈夫だ」
彰人:眠たそうに、まどろんでいる
彰人「……そう、か。悪い……」
彰人:言い終わると、すぐに眠ってしまう
冬弥(……今の様子だと、ここがラブホテルだということには気づいていないようだな。彰人に合意を得なければいけないのに、タイミングを逃してしまった……)
冬弥:部屋に到着し、開いているドアから彰人を抱きかかえたまま室内に入ると、彰人をベッドに寝かせる
冬弥「……」
冬弥:寝ている彰人の隣りに座り、無言で彰人の寝顔を見つめてから、起こそうと手を伸ばす
冬弥「……」
冬弥:伸ばした手を空中でぴたりと止める
冬弥「……いや、無理やり起こす必要はないだろう。どうにかして、彰人をその気にさせることができれば……」
冬弥:空中で止めていた手を動かし、彰人の髪を撫でる
冬弥「彰人……」
冬弥:ゆっくりと顔を近づけてキスをする
彰人「……っ、ん……ぅ……」
冬弥「……」
冬弥:キスをしながら彰人の上に覆いかぶさると、口内に舌を入れる
彰人「……っ、ん……、はぁ……ん……っ」
冬弥:唇を離して、彰人の様子を窺う
冬弥(起きない、か……)
冬弥:彰人の服の中に手を入れ、胸の先端を指先で刺激する
彰人「あ……っ、……」
彰人:眉根を寄せて身じろぎするものの、起きる気配はない
冬弥「……すごいな。寝ていても、快感を得ることはできるのか」
冬弥:指での刺激を続けながら、もう片方の胸の先端にも舌を這わせる
彰人「ぁ……、はぁ……っ……ぅ……」
彰人:時々びくりと震えたり、甘い吐息を漏らすものの、起きる気配はない
冬弥「……彰人、このまま最後までしてしまってもいいのか?」
冬弥:彰人の耳元で問いかける
彰人「……っ、とう……や……」
冬弥「……!」
冬弥:名前を呼ばれ、彰人が起きたのかもしれないと思うと体を起こす
彰人:すうすうと寝息を立てながら、ベッドに横たわっている
冬弥「……すまない、彰人。文句は後で聞く」
冬弥:室内に備えつけられているローションを手に取り、中身を手のひらに垂らすと、彰人の中に指を入れる
彰人「……っ、……ぁ……」
彰人:大きく身じろぎして、嫌がるように冬弥の胸を押す
冬弥「……彰人? 起きては、いないようだが……」
彰人「ん……っ……ん、ぁ……と、うや……」
冬弥「寝言か……彰人、夢の中でも俺に抱かれているのか?」
冬弥:準備を進めようと、指を増やしていく
彰人「……や……ぁ、……あ……っ……そこ、いや、だ……っ」
冬弥「……嫌? 逆だろう、彰人」
冬弥:いやだと言われた場所を集中的に擦る
彰人「あ……! ……ぁ、とう、や……っ、ぁ……だ、め……っ」
冬弥「……っ、彰人……」
冬弥:彰人の中から指を引き抜く
彰人「……っ、あ…………」
冬弥:ファスナーを下ろし、しっかりと反応している性器をズボンの中から取り出す
冬弥「彰人……」
冬弥:先ほど指を引き抜いた場所に、自分の性器をあてがう
彰人:ようやく意識が戻り、薄目を開ける
彰人「……とう、や……? なに……」
彰人:状況が理解できず、自分に覆いかぶさっている冬弥を見つめる
冬弥:奥を突くように、根本まで一気に性器を挿入する
彰人「――っ!? あ……っ、……とう……」
冬弥「……っ、彰、人……」
冬弥:我慢できずに彰人の腰を乱暴に掴むと、挿入したばかりにも関わらず、中を激しく突き上げはじめる
彰人「……っ! あ、んっ……ゃ、待……! な……ん、で……っ、こん、な……ぁ、抜、いっ……あぁ! 冬、弥……!」
冬弥「……すまない、文句は後で聞く……」
冬弥:嫌がるように身をよじる彰人の腰を動けないように両手で固定すると、先ほど集中的に攻めた一箇所を何度も突く
彰人「あっ、あ……あぁ……! や、ぁ……だめ、だ……っ、冬……弥……! そこ、ばっか……やめ……っ、イく、イっちま……っ」
冬弥「……彰人……っ、我慢は、しなくていい……っ」
彰人「〜〜っ、とーやぁ……っ」
彰人:瞳を潤ませながら、冬弥にしがみつく
冬弥「彰人、可愛い……」
冬弥:突然襲われてなすすべなく犯されている状況にも関わらず、必死に自分にしがみついてくる彰人に興奮すると、急速に律動を激しくしていき彰人の中を好き勝手に蹂躙し続ける
彰人「~~~~っ! や、あ……ぁ、あぁ! とう、や……っ、あ、あ、んっ……イ、く……!」
彰人:大きく背を仰け反らせると、絶頂に達する
冬弥「――っ!」
冬弥:同時に絶頂に達すると、彰人の中に出す
~場面転換~
彰人:冬弥に背を向けながら、ベッドに横たわっている
冬弥:気まずそうに彰人を見つめながら、彰人の隣りでベッドに横たわっている
冬弥「そういえば、初めて二人で酒を飲んだな」
彰人「……そうだな」
冬弥「彰人さえよければ、また……」
彰人:何事かをぼそりと呟く
冬弥「……彰人? 今、なんと言……」
彰人「……っ! 飲んでた時のことなんか、覚えてねえって言ったんだよ! ……オレの記憶にあんのは、目が覚めたらお前が上に乗っかってて、訳も分からずにヤられてたってことだけだ」
冬弥「彰人、そのことだが……」
彰人「謝ったら、ぶん殴るぞ」
冬弥「……」
冬弥:一瞬しょげたように眉を下げるも、すぐに意を決したような表情を浮かべると、がしっと彰人の肩を掴み自分の方向に顔を向けさせる
彰人「……っ!? 冬、弥……?」
冬弥「彰人が言い訳を嫌うことは分かっている。だから、俺も言い訳はしない」
彰人「冬……」
冬弥「無防備に眠っている彰人をホテルに連れ込んだのも、寝込みを襲って犯してしまったのも事実だからな。……だが、それは彰人のことが好きだからだ」
彰人「……っ」
彰人:頬を染めて、視線をそらす
冬弥「この際だから言っておくが、俺は常に彰人に対して下心を抱いている。こんなふうに……」
彰人「は? ちょ……」
冬弥:彰人の体をぐいっと引き寄せると、胸元に手を這わせる
冬弥「まさしく俺の目の前に、彰人を抱けるチャンスが転がってきた。……そんな状況で、俺が彰人に何もしないわけがないだろう?」
彰人「~~っ! 謝んなとは言ったが、開き直れとは言ってねえ!」
冬弥「……彰人、可愛い」
冬弥:耳元で囁きながら、彰人の胸の先端を指先で刺激する
彰人「……っ、あ……っ、冬、弥……っ、人……の、話……ん……っ」
冬弥「……彰人、もう話を聞ける状態ではない」
冬弥:彰人の手を握り、しっかりと反応している自分の性器へと導く
彰人「……あ、~~っ」
冬弥「彰人、好きだ……」
冬弥:片手で彰人の胸をいじりながら、もう片方の手で彰人に自分の性器を握らせ、彰人の手に自分の手のひらを重ねると上下に手を動かす
彰人「……っ、冬、弥……やめ……っ、わかっ……た、許す、から……っ」
冬弥「彰人……っ」
冬弥:彰人の体を軽く押す
彰人:胸への刺激で力が抜けた様子で、ベッドに突っ伏すように倒れ込む
彰人「……っ、冬……弥……?」
冬弥:彰人の背後から上に覆いかぶさると、彰人の尻に性器を擦り付ける
彰人「あ……っ」
彰人:冬弥がやろうとしていることに気がつくと、無意識にシーツをぎゅっと握り締める
冬弥:抵抗する隙を与えないようにすぐに彰人の中に先端を入れると、今度は焦らすようにゆっくりと性器を挿入していく
彰人「~~っ! ざけ、んな……冬弥……っ」
冬弥「……っ、彰人……」
冬弥:根本まで挿入し終えると、すぐには動かずに彰人の髪の毛を指で梳く
彰人「……っ、冬……弥……っ」
彰人:だんだんと焦れったくなってきた様子で、冬弥を見上げる
冬弥「……彰人がねだるまで、動かない」
冬弥:そう言いながらも、軽く刺激を与えるように何度か腰を揺らす
彰人「あ……、んっ……あ……っ、~~っ、とう……や……っ」
彰人:動いてほしいと思いながらも、おねだりはしたくない様子で睨みつける
冬弥「……俺が、いつも彰人を強引に抱いてしまうことに関しては言い訳しない。だが、彰人のほうこそ俺にそうされたいと思っているだろう?」
彰人「……な……っ、思って、ねえよ……!」
彰人:強がりながらも、瞳を潤ませる
冬弥「そうか」
冬弥:呟くと同時に彰人の腰を掴み、突然激しい律動を開始する
彰人「――っ!? あ……あ、あぁ! とう、や……っ、そ、んなっ……急に……っ、あ、ん、あ、あぁ……!」
冬弥「……っ」
冬弥:何度か彰人の一番感じる場所を突き上げてから、ピタリと律動を止める
彰人「……っ、や……ぁ……」
冬弥「……」
冬弥:なにも言わずに、彰人の中から性器を引き抜く
彰人「……とう……や……?」
冬弥「彰人が望んでいないと言うのなら、ここでやめる」
彰人「……っ! とう……や、てめえ……っ」
彰人:力の入らない手で、冬弥の胸ぐらを掴む
冬弥:動じた様子はなく、彰人の顔をじっと見つめる
彰人「……っ、くそ……オレの、負けだ……っ」
彰人:顔を伏せながら小声で呟くと仰向けになり、冬弥の唇に噛みつくようにキスをする
冬弥:驚いたように目を見開いたものの、すぐに目を閉じると彰人の後頭部に手を添えてキスに応える
彰人「……、冬弥……」
彰人:唇を離すと、熱を帯びた眼差しで冬弥の目を見つめる
冬弥「どうした……?」
彰人「~~っ、分かってんだろ……っ」
冬弥「……いや、言ってくれなければ分からない」
冬弥:微笑みを浮かべながら、わざとらしい口調で言う
彰人「てめえな……」
彰人:体を起こすと、冬弥を突き飛ばす
冬弥:ベッドに背中から倒れ、驚いた表情で彰人を見る
彰人:すぐに冬弥の上にまたがり、冬弥の性器を自分の尻に擦り付ける
彰人「早くこいつをぶち込めって言ってんだよ」
冬弥「……、ああ、分かった……」
冬弥:彰人の腰を掴み動けないように固定してから性器をあてがうと、ゆっくりと焦らすように挿入する
彰人「……あ……っ、ん……はぁ……っ」
冬弥「彰人……」
冬弥:根本まで挿入し終えたものの、すぐに動かずに彰人を見上げる
彰人「……また、焦らすのかよ……っ」
冬弥「そうだ。彰人が俺を求めていることを、しっかりと自覚させたいからな」
彰人「~~っ、冬、弥……っ」
彰人:哀願するような視線を送る
冬弥「……っ、まだ駄目だ」
彰人「……とう、やぁ……はやく……っ」
彰人:瞳を潤ませ、無意識に腰を揺らす
冬弥:彰人の顔に手を伸ばすと、目じりに溜まった涙を拭う
冬弥「情けないが、俺も限界のようだ。……っ、彰人……!」
冬弥:再び彰人の腰を掴むと、下から激しく突き上げはじめる
彰人「……っ! あ、んっ……あ、あぁ……! とう、や……っ、そこ、もっと……っ」
冬弥「ここ、か……っ」
彰人「〜〜っ! そ、こ……っ、あ、あぁ! だ、め……イくっ……や、あ、ん……! とう、やぁ……イ、く……!」
冬弥「彰人、好きだ……っ」
彰人「……っ、オレ、も……っ、とう、や……すき……っ、ぁ、すき……だ……っ、ん……あ、あ……! あっ、あぁ……!」
彰人・冬弥:ほとんど同時に絶頂へと達し、冬弥は彰人の中に出す
~駅前~
冬弥「本当に送らなくても大丈夫なのか、彰人。まだ酒は抜けきっていないのだろう?」
彰人「お前に送ってもらったら、送り狼されるって分かってるからな」
冬弥「……っ」
彰人「なんてな、冗談だよ」
冬弥:彰人の言葉に表情を曇らせるも、すぐにほっとしたような笑顔を浮かべる
彰人「酒はもうこりごりだって言いたいところだが、また飲もうな。今度はオレかお前の家で」
冬弥「ああ、その時は自制するように気をつける」
彰人「いや、どうせ無理だろ」
~終~
❏ボツ❏
彰人の「いや、どうせ無理だろ」というセリフの後の展開を書いたものの、ちょっと蛇足すぎたかな…と思ったのでボツとして載せます。
彰人:苦笑いを浮かべながらそう言うも、冬弥の頬を両手で包みこむと軽く触れるだけのキスをする
冬弥:目を閉じる間もなく離れていく彰人を、驚いたような表情で見つめる
冬弥「彰……」
彰人「好きだ、冬弥」
彰人:いつもの意地悪な微笑みとは違う、たまに浮かべる柔和な微笑みよりさらに柔らかな微笑みを浮かべる
冬弥「……っ」
冬弥:彰人を強く抱きしめたい衝動に駆られる
彰人「じゃあ、またな」
彰人:確信犯であるかのように意地悪な微笑みを浮かべると、冬弥の体が動きだす前に体を離す
冬弥:自分に背を向けて駅の中に去っていく彰人の姿を、呆然と立ちつくしたまま姿が消えるまで見つめ続ける
冬弥「もしかして、仕返しのつもりなのか……彰人」
冬弥:ぼそりとそう呟くと、先ほど彰人からされたキスの感触を思い返すように唇に指を触れる
冬弥(だとしたら、全然仕返しになってはいないな……)
冬弥:微笑みを浮かべながら心の中でそう呟くと、駅とは反対方向に向かって歩き出し、すぐにピタリと足を止めると駅を振り返る
冬弥「さっきは言わせてもらえなかったが……俺も、彰人のことが好きだ」
冬弥:見えるはずのない彰人の姿を見つめるような眼差しでそう呟くと、ゆっくりとその場を立ち去る
~終~