seasons of love 仕事終わりに取るものもとりあえず駆けつけた、恋人の住むマンション。時計の針はとうにてっぺんを超えており、とても人を訪ねる時間ではなかった。けれどそんな事を気にしてなどいられない。
猗窩座は取り出した合鍵を焦りながら鍵穴に突っ込む。鍵を開けるほんの少しの時間さえ惜しい。
杏寿郎と連絡がつかなくなったのは三日前。
互いに不規則な仕事と生活であるから、急に連絡できなくなるのは今回が初めてではない。だが事前の連絡なしで三日も音沙汰がないという事は今までになく、それが猗窩座を不安にさせていた。
そして今日、仕事で一緒になった杏寿郎の事務所の後輩俳優から、猗窩座は思いがけない事実を知らされたのである。
杏寿郎の話を振ると、彼は訳知り顔で答えたのだ。
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