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    超エアブー0530合わせで書いた紺紅SSです。本当に短いですが甘々(当社比)朝チュンとなっておりますのでおやつのチョコひとかけら食べるような感覚でお楽しみいただければと思います!以前にも似たような朝チュン書いたけど許してほしい!!

     ゆっくりと吸い込んだ空気の質が変わり始めていることに気付いた体は、深く閉ざされていた瞼を僅かに開かせた。それに伴って、深い眠りの中にいた意識も引き上げられ、紺炉はぼやけて輪郭の崩れた世界をしばらくの間じっと見つめる。
     瞼が半分ほど開いてから六度目の呼吸で、ああ、目覚めたのだと己の内側で呟いた。
     いつもよりも瞼が重いのは、まだ空が白んでいくらも経っていない早朝であるということ、ようやく眠りについたのが真夜中も過ぎた頃であるということ。
     そうして、瞼を心地良く閉じる直前まで、浮いた汗が幾筋も流れ落ちるほど濃厚な蜜事に溺れていたことも、原因の一つであろう。
     紺炉はゆっくり、長く息を吐きながら、瞬きを繰り返して視界を磨いていく。鳥の声はまだ聞こえていない。満ちる静けさは夜半と変わりないが、夜はもう暗い水底から浮上して、部屋の隅に小さく残されているだけだ。陽を含み始めた空気を吸い込むたびに、意識もはっきりとしてくる。
     右腕に感じる、温かい重み。僅かに視線を下げれば、そこには艶やかな黒髪があった。快楽の限界を超えて気を飛ばしてしまった紅丸を抱きしめたまま、心地いい疲労感に包まれて眠りに落ちたのだと、髪の香りを深く吸い込みながら昨晩のことを思い起こした。
     二人の寝間着は布団の横で、雑に放られた形のまま重なっている。汗も拭かず、抱き寄せて肌を合わせ、頭に何度も口付けをしながら目を閉じた幸福感がまだ紺炉の胸の内に濃く残っていて、昨夜の続きとばかりに、また唇を黒髪に優しく押し付けた。
    (あぁ、……堪んねぇな)
     己の欲を全て紅丸の中へ埋めた時の満たされた心地も、何度味わっても恍惚とするが。こうして静かに、ただ紅丸の体を抱き締めているだけでも、頭の芯が柔く溶けそうになる。
     紅丸の体温。鼓動。呼吸。匂い。全てが腕の中にある。
     この時ばかりは、己の独占欲を抑え込むことはしない。好きなだけ、存分に、
    (――俺のだ、)
     そう思うことを許している。
     音を立てずに、また紅丸の髪に唇を押し当てる。起こさないように加減をしていたつもりだったが、何度目かの口付けで、腕の中のぬくもりが小さく身動ぎをした。
    「……ん、」
     短く呻き、睫毛が僅かに持ち上がると、とろりとした蜜にも似た赤い瞳が現れる。それはまたすぐに隠れてしまったが、紺炉が目覚めている気配を感じ取ったのか、顔ごと上向いてゆっくり瞬きをし、視線を合わせた。
    「起こしちまったか、悪ぃ」
    「……起こすつもりでしてたんじゃねぇのか」
     その返しに、紺炉は表情を綻ばせた。紅丸がそう感じたのなら、そういうことにしてもいいか、などと思う。実際、本当に起こさないようこっそりと口付けていたのかと問われれば、真っ直ぐに目を見て頷くことはできないだろう。
     昨夜はかなり消耗したはずだ。ゆっくりと眠らせてやりたい。そう思う反面、心のどこかでは、早く朝焼けの双眸と見つめ合いたいと、小さな欲の芽を揺らしていたのだ。
     さあな、と短く返し、今度は額に口付ける。紅丸の体温がしっかりと唇に宿って、また幸福感が膨れ上がった。紅丸の瞼は随分と重そうだが、まんざらでもない様子で額に二度目の口付けを受け、ニヤ、と笑った。
    「あんだけやって、まだ足んねえか?」
     紺炉の唇から敏感に感じ取ったのだろう。これにもまた、さあな、と返すが、少し高い紺炉の体温は、紅丸への想いを燃料としてじわじわと上昇していく。体は正直だ。
     朝の縁のほんのりとした白い明かりが、室内にも滲み始める。腕の中から真っ直ぐに見上げてくる紅丸の顔にはまだ影がかかっているが、表情ははっきりと見て取れた。瞳だけではない、その唇の赤も。
     紺炉は、ふくりと腫れた下唇に指の先で触れる。痛々しいという程ではないものの、情事の最中で軽く噛み切ったのか、薄く血の滲んだ跡がある。親指の腹で、少しざらつく小さな傷跡を繰り返し撫でていると、唇の向こうから伸びた舌先が、指を押し返すようにして舐め上げてきた。
     熱さと感触に、そわ、と背筋が震える。これでは落ち着かせようとした情欲も、再び大きく育ってしまう。
     肘をついて横向けていた体を軽く起こし、体勢を変えて紅丸の上に覆い被さる。緩く括った髪の一筋が流れ落ちて、紺炉の動きに合わせて仰向けになった紅丸の耳元をくすぐった。
     息がかかりそうな距離まで顔を落とし、優しく紅丸の頭を撫でる。
    「声、我慢しなくていいって言ったろうが」
     更に顔を近づけて、今度は紺炉が舌を伸ばし、指で撫でていたところを舐める。かさついた感触の後に、ジン、と薄く鉄の味がした。
    「……っせぇ、こんなもん痛くもねぇ」
    「我慢してる時ぁ苦しいだろう。それにな、」
     ちゅ、と軽く下唇を啄み、どこか夜の香りがする笑みを口の端に滲ませる。
    「我慢されると、声聞きたくて余計に燃え上がっちまうんだよ」
     深い紺色の瞳の奥で何かが揺れ動いたのを見て、紅丸は一瞬息を止めた。その揺らぎが現れるのは決まって、蜜事の前である。
     ゆったりと、何度も、浅く口付けを降らせる。触れ合うたびに紅丸の欲もジリリと音を立てて燃え、頭の芯が心地良く痺れた。
     そう、火はもうついてしまっている。ほんの数時間前まで深く体を重ねていたのだ、僅かに熱を残していた火種に少し息を吹きかければ、容易に燃え上がってしまう。
    「朝からやらしく喘がせようってか」
    「っは、さすがにそりゃまずい」
     言うなり、薄く開いた唇で紅丸の口を塞ぐ。繰り返していた浅い口付けから一気に深さを増し、ぬるりと舌を滑り込ませて、微かな水音を立てながら舌を絡ませた。
    「んっ……んん、……っは、」
     夜の間に味わった深い快楽が瞬時に甦り、紅丸の肌が騒めいた。一糸纏わぬ姿のままの二人。紺炉がゆっくりと腰を落とせば、徐々に熱を集め始めている敏感なところが重なり合って、小さく声が漏れる。
    「……もう止めらんねぇが、声は全部、直接俺の喉の奥に流しこみゃいい」
     ――塞いでいてやるよ。低く、甘く囁いて、紺炉はまた熱く紅丸の口を貪る。体を寄せ、肌を合わせて。誘うように脚を開いた紅丸の腿を撫で上げ、緩く腰を揺する。
     徐々に浮上する朝の気配を拒むかの如く、室内の空気は再び甘く蕩けて、隅へ隅へと引いていく夜を追って沈んでいく。
     吐息。笑い声。衣擦れ。熱い水音。どれも微かな響きではあるが、二人だけの世界を作り上げるには十分だ。
     肌に浮いた汗が、白く、艶めかしく朝の光を纏う。
     チチチと一羽が、どこかで鳴いた。
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    frnt_2

    DONE超エアブー0530合わせで書いた紺紅SSです。本当に短いですが甘々(当社比)朝チュンとなっておりますのでおやつのチョコひとかけら食べるような感覚でお楽しみいただければと思います!以前にも似たような朝チュン書いたけど許してほしい!! ゆっくりと吸い込んだ空気の質が変わり始めていることに気付いた体は、深く閉ざされていた瞼を僅かに開かせた。それに伴って、深い眠りの中にいた意識も引き上げられ、紺炉はぼやけて輪郭の崩れた世界をしばらくの間じっと見つめる。
     瞼が半分ほど開いてから六度目の呼吸で、ああ、目覚めたのだと己の内側で呟いた。
     いつもよりも瞼が重いのは、まだ空が白んでいくらも経っていない早朝であるということ、ようやく眠りについたのが真夜中も過ぎた頃であるということ。
     そうして、瞼を心地良く閉じる直前まで、浮いた汗が幾筋も流れ落ちるほど濃厚な蜜事に溺れていたことも、原因の一つであろう。
     紺炉はゆっくり、長く息を吐きながら、瞬きを繰り返して視界を磨いていく。鳥の声はまだ聞こえていない。満ちる静けさは夜半と変わりないが、夜はもう暗い水底から浮上して、部屋の隅に小さく残されているだけだ。陽を含み始めた空気を吸い込むたびに、意識もはっきりとしてくる。
     右腕に感じる、温かい重み。僅かに視線を下げれば、そこには艶やかな黒髪があった。快楽の限界を超えて気を飛ばしてしまった紅丸を抱きしめたまま、心地いい疲労感に包まれて眠りに 2685

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