アラサー なんだか喉が渇いて、ぱちりと目が冷めてしまった。
現在時刻を知りたいのはやまやまだったが、携帯のあかるい画面を見るのは少々おっくうである。夜目がきくと言ったって、そもそも自分の部屋には時計を置いていないのだから見ようもない。結局、いまが夜である、という情報以外を持たぬまま、宵闇のなか、拘って選んだ寝具から身を起こしてリビングへと向かうことにする。素足がフローリングの上でぺちぺちと情けない音を出しているが、その辺はもはや気にしないでおくとしようか──こんな夜更けともなれば、自分はともかく恋人はきっとぐうすか寝ているだろうから──きっとこの程度で彼に迷惑をかけることはあるまい。とかく、冷蔵庫にあったサンペレの瓶を開けてそのまんま口をつけてぐびっと飲み干すと、さながら砂漠でオアシスを見つけたがごとく体が生き返るのであった。
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