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    まるた

    @marutav

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    まるた

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    ロロ監♂webオンリー展示作品
    1月29日に頒布したロロ監♂布教本に掲載していました小話になります。ロロくんに餃子と白米をワシワシ食べさせたかった。
    pixivに掲載している「慢心人魚と花泥棒(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18738281)」の前日譚の気持ちでかいています。読まなくても大丈夫ですが、お時間がありましたらそちらもどうぞ!

    ロロ→監♂「宣戦布告 前夜」 ロロさんの歓迎会をしましょう。
     そう言って用意したのは、ユウの故郷の料理。
     ニンニクを抜いた香味野菜をたくさん混ぜた挽肉を手作りの皮で包んで餃子を山のように作ると、談話室が食欲をそそる香りで満ちる。
    その匂いにつられてくれたのか、ロロの腹から可愛らしい音が鳴ったのが聞こえて、ユウは嬉しくてニコニコと笑ってしまった。
    「たくさん作ったのでいっぱい食べてくださいね。ごはんもお替り自由です!」
    はいどうぞ、とユウが湯気の立つほど熱いご飯をロロに差し出すと、腹の音が気になったのか、ロロはいつもより小さな声で「ありがとう」と口を開いた。
    「初めて見る食べ物だね、いい匂いがする」
    「俺様も手伝ったんだからな、お前ら心して食うんだゾッ」
    「はいはい、グリムが火の番してくれたから美味しく出来ました。じゃ、食べましょう。はい手を合わせて」
     イタダキマース! と挨拶をしてから食べ始めると、自分達に倣ってくれたのか、ロロもその挨拶をしながらフォークをとった。
     ユウは山盛りのギョウザの皿から一つを突き刺し、購買で奇跡的に再会できた醤油にほんの少し皮を浸す。そうして白米に乗せて一緒に食してみせると、見様見真似で口に運んだロロが途端に目を見開いた。
    「……美味しい」
    「あ、よかったぁ。俺の唯一の得意料理だから安心しました」
     ホッと息を吐きながら、ユウは二つ目の餃子を箸で摘む。
     異世界に来てそろそろ半年。学園の食堂で用意された夕食も上品で美味しいが、食べ盛りの男子高校生にはいささか少ない時があるから自然に上達した料理スキルだったけど、役に立ってよかったと、ユウは本気で安堵する。
    「子分の料理はレパートリーが少ねぇからな。でも味はマズくないから、安心して食え」
    「なんでグリムが偉そうに言うのさ……。でも本当にいっぱい作ったので、いっぱい食べてくださいね」
    「そうか……、ならユウくん、さっそくで悪いが、おかわりを頂いてもよいかね?」
    「え、へ?」
     ユウがパチリと瞬いてロロの手元を見ると、皿に山盛りにもったはずの白米は空っぽで、米粒一つも残っていない皿が差し出されていた。
    「……ロロ、オメーいまイタダキマスって言わなかったか?」
    「言ったとも。だがユウくんの『ギョウザ』が本当に美味しくてね。はしたないがすぐに平らげてしまった」
     すまない、と口をもぞつかせて謝るロロの姿にグリムと揃って顔を見合わせる。
     そんなまさかと言いたげなグリムにアイコンタクトで合図すると、ユウは受け取った皿に先ほどより山盛りの白米を盛りつけた。
    「ロロさん、本当に遠慮しないで食べてくださいね。冷凍の焼きおにぎりも作ろうと思ってご飯を一升炊いていますから」
    「イッショウ、の単位が分からないのだが、沢山あるんだね? よかった」
    そう言って皿を受け取ったロロはまたイタダキマスと言うと、山盛りの白米の皿にフォークを突き立てる。そうしてユウとグリムが驚くほどの量を一度にすくうと、大きな口を開いて口の中にすべて収めた。
    もぐもぐと何度か咀嚼をして嚥下をして、今度は餃子にフォークが伸びる。ユウが食べたように醤油をつけて白米に乗せると、先ほどと同じような量をまた口の中に収めてみせた。
    「わぁ」
    「す、すげぇんだゾ」
     まるでテレビで見た大食いチャレンジのような食べっぷりに、ユウもグリムもついつい見入ってしまう。
     どんどん消えていく餃子と白米の行方を想像してユウの意識が宇宙に行きそうになるところで、ロロが不思議そうな顔をして「食べないのかね?」と首を傾げた。
    「このギョウザもライスもとても美味しいから、私が食べつくしてしまうが、いいのかね」
    「……は、あ! よくねぇんだぞっ」
     ギャンッと叫んだグリムも手を伸ばし、一人と一匹のおかげで見る間に作った料理が無くなっていく。
     まだ知り合って間もないけれど、その体のどこにその量が入るのか。ギャップの凄さにユウが感嘆の息を零すと、「ユウくん?」の声が聞こえてきて、ユウは慌てて頭を振って意識を引き戻した。
    「あーすみません、ロロさんの食べっぷりが良くて見惚れてました」
    「んふふ、なんだねそれは。私も君と同じ食べ盛りなのだよ」
    「そうなんですけど! なんていうか、ロロさんの食べっぷりは見てて気持ちよくて、ずっと見ていたくなるというか……」
    「そうかい? なら、卒業後は花の街に来ると良い。歓迎するよ」
    「ん、え?」
     突然飛んだ会話にユウはコテンと首を傾げる。
     なんで? と疑問符を頭の上にいっぱい浮かべていると、ロロはまた特徴的な笑い声をあげながら空になった皿を机に置いた。
    「私は君の料理が気に入った。このタイミングで言うのは卑怯だと思うが、私は君を好ましく思っている。編入期間が終わっても、君とは特別な関係を築きたいと思っているんだ」
    「は、」
    「難しいかね? まぁいい、時間はたくさんある。編入期間が終わるまでに理解してくれれば。私も努力しよう」
    「え、あの、ロロさん?」
     言われている意味がやっぱり分からなくて、ユウは身を乗り出す。するとロロがおもむろに手を伸ばし、ユウの髪をひと房指に絡めるように撫でた。
    「これからが楽しみだね。今後とも末永くよろしく頼むよ、ユウくん」
    「え……は、はい、よろしくお願いしま、す?」
     思わず条件反射で言葉を返してしまったが、やっぱりロロの言葉を咀嚼できなくてユウはまた首を傾げる。

     そんな二人のやり取りなど全く聞いていなかった、口の周りを米粒だらけにしたグリムの「おかわりなんだゾッ」の声が響いた。

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