台風でカタリナをしまうジオルド ぬかるんだ土をものともせず、愛しい妻は城の裏手へ駆けていく。
「待ってください、カタリナ! これから嵐が来るのですよ! 危ないから戻ってください!」
「だからこそです、ジオルド様! 支柱の補強をしないと!」
今日は朝から雨が降っていて、真っ黒な雲が不穏な速さで流れていた。窓の外を眺め、落ち着かない様子でソワソワしていたカタリナは、嵐の前の静けさでほんのわずか雨が止んだ隙に、ドレスのまま外に飛び出してしまったのだ。
やっとのことで追いつき、後ろから抱きしめたところで頬にぽつ、と大粒の雫が落ちる。
「ほら、降ってきた! カタリナ、部屋に戻りますよ」
「でも私のそら豆が……」
「気持ちは分かりますが、君の安全が第一です。それに、この前一緒に支柱を立てたばかりじゃないですか。きっと大丈夫ですよ、カタリナの野菜を信じましょう」
2994