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    さわら

    @sawaragomu
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    さわら

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    イル誕。書き途中
    カカイルです

    「イルカ先生、もうすぐ誕生日だよね。欲しい物やしたいこと、ある?」
     イルカの誕生日まであと三週間となり、五月に入る前からいつ切り出そうかとそわそわしていたカカシは、待ち切れずにイルカの家に行ったタイミングで話を振った。任務が入ったら次はいつ会えるか分からないし、ナルトに先を越されてイルカの先約を取られても困る。
     イルカは、自分の誕生日をカカシが覚えていたことに少し驚いていた。照れくさそうに「覚えていてくれたんですね」などと言っている。覚えているに決まっている。
     付き合い始めたのは昨年の春の終わりで、イルカの誕生日は僅差で過ぎていた。こうした関係になってから初めて迎えるイルカの誕生日、そしてカカシにとっては初めて祝うイルカの誕生日だった。ずっと楽しみに待っていたのだ。
     イルカの誕生日には、料亭のお座敷で食事も良いし、温泉街に行くのも良いし、その裏通りにある連れ込み宿で好きなだけイチャイチャするのも良いと思っていた。いつもとは少しだけ違う特別な日を、二人で過ごせたら素敵だと思う。
     その為にカカシはここ一ヶ月の間に、料亭や温泉街の話題をさりげなくイルカに吹き込んでいた。連れ込み宿の話はしていないが、温泉街に行けばどの道通る道である。寄って行こうと誘うのは簡単だ。
     イルカはカカシの質問に対して、顎に手を当て、目を瞑って考えていた。
    「うーん、やりたいこと……カカシさんと一緒に過ごせればそれで良いですけど……欲しい物……」
     イルカはウーンと考えていたが、パッと目を開けると同時に「あ!」と声を上げた。それから何か期待するような甘える目で、カカシをじっと見つめた。
    「なんでもいいですか?」
    「もちろん」
     カカシは内心ドキドキしながら頷いた。そんな潤んだ目で見つめられたら期待してしまう。誕生日は二人きりでイチャイチャしたいと言われようものなら、特別な一日の為に今から三週間かけて、毎日少しずつベッドでの濃密な時間を積み上げてゆくのも良いなと咄嗟に思った。
    「なにが欲しいの?」
     カカシがやさしく尋ねると、イルカは照れくさそうに口を開いた。
    「カカシさんの誕生日みたいに、みんなと一緒に過ごしたいです」
     カカシは一瞬ぽかんとした。
    「みんな」
    「はい。カカシさんと、カカシさんの忍犬たちと」
     イルカは忍犬たちのことを考えていたのか表情を緩めて笑っていたが、カカシの顔を見ると締まりのない笑顔を引っ込めた。
    「あっ、でもダメですよね! もし任務の前後にかち合ったら忍犬たちもゆっくり休みたいだろうし。あの子たちには、俺の誕生日なんて関係ないですし……」
     イルカはそう言ってから、あからさまにしょんぼりした。
     イルカはカカシの忍犬たちのことが好きだった。可愛がってくれるし、大切にしてくれる。忍犬たちもイルカのことを随分と気に入っていて、イルカの家へ行くと言うと喜んで付いてくるし、カカシがいなくても仲良くやっているようである。
     あんまり仲が良いので嫉妬することもあるが、カカシはイルカと忍犬たちの触れ合いを見るのが好きだった。安らぎと幸せに溢れている。
     カカシは隣に座っていたイルカに体を寄せて、両腕で抱きしめた。
    「わっ、カカシさん?」
    「わかった。イルカ先生の誕生日には、みんなで来るよ。あいつらも喜ぶと思う」
    「いいんですか?」
    「うん。みんなで一緒に過ごそう」
     カカシが答えると、イルカはカカシの胸にしがみついて、ぎゅっと抱きしめた。
    「嬉しいです。カカシさん」
     イルカが顔を上げてカカシを見つめる。カカシはイルカの頬に手を添えて、ゆっくり唇を重ねた。
     イルカの唇が、控えめにカカシの唇を吸いながら押しつけられ、何度も口づける。イルカの唇がチュッと音を立て、互いの口が薄く開くと舌先が触れ合った。
     カカシはもっと烈しくしたいと思いながらも、イルカとの穏やかで幸せなキスを堪能した。
     カカシの誕生日も、こんなふうに穏やかで幸せだった。イルカと忍犬たちがカカシの誕生日を祝ってくれた。イルカはきっと羨ましかったのだろう。
    「はぁ……」
     イルカは長く続いたキスを中断して漸く唇を離すと、カカシの肩に手を置いたまま甘い息を吐いた。 
    「カカシさん。それから、もうひとつ……」
     イルカが潤んだ目で見つめてそう言った。

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