今日は帰るって言ってたんだけどな、とイルカは部屋の壁に掛けてある時計を見ながら思った。カカシの帰るという言葉を信じて待っていたが、日付が変わるまで三十分も無い。
カカシが火影になってからはこういった事が多かった。この時間で帰って来ないのなら何か緊急であったのかも知れない。
あと少し起きてれば帰って来るだろうかと思いもしたが、口からあくびが出た為イルカは早々に諦めて寝室へ向かった。
部屋の明かりを消してベッドに潜ると、ふとんを体に掛ける瞬間に猫がベッドに飛び込んで来た。ぼすん、と音を立ててイルカの体の横に着地する。
「わっ。なんだ、今日はいっしょに寝るのか?」
「なん」
猫が可愛らしい声で答える。ベッドの足下で常夜灯が点いていたが、明かりが少なくてイルカの目には猫の耳と尻尾の生えたまるいシルエットしか見えない。
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