どうしよう、と思いながらイルカは上映が終わった大きなスクリーンの前を通り、人の流れに乗って映画館のロビーへと出た。ロビーの一角では上映中の映画のグッズなども売られていたが、足を止めるほどの興味もなかったのでそのまま映画館の外へ向かった。隣をカカシが黙って歩いている。カカシもグッズには興味がなさそうだった。
薄暗かった館内に対して、外は日が照っていて少し眩しかった。次の上映時間が近く、チケット売り場は列ができて賑わっている。
イルカはカカシと二人で映画を見に来ていた。カカシに誘われて断り切れずに来たのは良かったが、見た映画は余りにもつまらなかった。観る映画を選んだのはカカシで、随分と楽しみにしていたようだし、きっと原作か監督か、役者のファンなのだろう。それを、つまらなかったと正直に言うは気が引けた。しかし映画の内容に触れずにいるのも気まずい。
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