いつかそうなれたら「ただいま戻りました」
執務室で書類と格闘していると、にこやかに戻ってきた彼。1時間ほど前に彼の世界で何やらトラブルがあったようで部下から呼び出しをくらっていたが、どうやら無事に終えたらしい
「お疲れ様です。大丈夫でしたか?」
「えぇ、よくあるクレームです」
ふふっと柔らかく笑ってデスクに付く彼。何故そこで笑うのかは謎だが(私だったらイライラが完全に顔に出る…たぶん)。暫くして書類に手を伸ばし始めたので、私も作業を再開させた。
「………」
「………」
沈黙の中ペンが走る音が響く。私の筆圧強めな音と、彼の流れるようなサラリとした音………が二重奏を奏れば良かったのですが、あいにく響くのは私の心地よくもない音のみ。
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