永遠だなんてものを夢観てた『魏嬰っ!』
夢の中の自分は必死に彼の名を呼ぶ。
毎回同じ、このただただ広がる暗闇を闇雲に走りながら、時折足をもつれさせ、それでも必死に走り続ける。
『魏嬰!どこだ!』
左右を見渡し、再度彼の名を叫んだ。それでも辺りから反応はない。先刻と同じ、ただ広い暗闇が辺り一面を飲み込んでいる。微かな音すらも聞こえてこない。
『魏嬰!』
諦めずに名前を紡ぐ。その言霊が彼の元に届くよう、自分は彼の名を呼ぶことを止めなかった。
どこへ走ろうとも一向に闇は消えず、彼の姿はない。そして彼からの応答もない。
ーもしかしたら、と、己の心に最悪の未来を描く。
それだけはない、それだけは絶対にありえないと自分に何度も言い聞かせたが、気持ちとは裏腹に脳裏には鮮明に最悪の情景が思い浮かび、軽い吐き気を催す。
1947