石乙散文「オマエのことが好きだ」
そう言われて抱き締められて、身体が竦んだ。
その言葉の意味を理解し、飲み込む前に唇を奪われて、お誂え向きに背後にあったベッドに押し倒された。
そこでやっと言われた言葉の意味を理解した。それでも信じられない気持ちが勝っていたけれど。
「…っ、なん、で……」
なんで、僕なんかのことを。
苦しげに顔を歪めたけれど、再び降ってきた唇に言葉を塞がれた。
その後はもう、雪崩のようにあっという間に崩れていった。
(ヤバい……石流さんとセックスしちゃった……)
翌朝、乙骨はパンツ一丁でベッドの端に腰掛けて頭を抱えていた。身体中に残る痕跡だとか、お尻の奥に残る生々しい感覚だとか、それらすべてが昨晩の出来事が夢でなかったことを物語っている。
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