石乙散文 乙骨が経験豊富かと思ったら想定外に初だった。しかも一度「セックスしたい」と明かしてから、妙に警戒されてしまってちょっとしたスキンシップにも身を引かれるようになってしまった。
(これじゃあ、あのままさっさと手を出しておくのが正解だった気すらするぞ…)
石流を避けるように去って行く乙骨の背中を見ながら、石流は追い掛けることも出来ずに打ちひしがれていた。
結局あの日は、顔を真っ赤にして無理だと言い張る乙骨を無理矢理どうこうする気にはなれずに、自分の欲を引っ込めた。石流だって、自分の欲望を一方的にぶつけるのはいかがなものかと思うし、出来るならお互いに気持ち良くなりたいと思うし。
だが、その考え方が甘かったようで、翌日の乙骨は石流に指1本触れさせてくれなくなってしまった。でもよくよく考えたらそうだよな、隣にオオカミがいたことに気付いてしまったのだから。
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